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48件
図書館の大魔術師
著者 泉光(著)
アムンという小さな村に暮らす耳長の少年は本が大好きであったが、耳長で貧乏だった為、村の図書館を使うことができなかった。そんな少年は差別が存在しない本の都・アフツァックに行くことを夢見る。ある日、少年は憧れのアフツァックの図書館で働く司書(カフナ)と出会う。この司書との出会いが、少年の運命を大きく変えることに──。孤独な少年が未来を切り拓く、異世界ビブリオファンタジー堂々開幕!!
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図書館の大魔術師(8)
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図書館の大魔術師 1 (アフタヌーンKC)
2018/04/07 17:40
司書の願い
13人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:求道半 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作は謎の図書館で働く女性司書と主人公の少年との出会いが、少年のその後の人生を大きく変える、本に関わる人々の物語であり、かつ想像上の生物や異形の種族、また不思議な書物が登場するファンタジーである。
第一巻を最後まで読めば、謎の図書館の成立過程やその背景が読者に分かる構成となっており、その途中では、特に、本の修復に携わる司書の手仕事が、丁寧に描写され、最終頁まで読者を飽きさせる事はないであろう。
作中では司書の仕事だけではなく、主人公が暮らすアムンの村やその周囲の自然も緻密に繊細に活写されて、中近東風の地理や習俗には実在感が宿り、作中に登場する本やその存在意義にも、説得力がある。
主人公は読書が好きだが、所属する社会的階層の違いにより、自由に本と触れ合う機会がなく、更にその特異な容貌が、村人との軋轢の原因となり、社会的にほぼ孤立している。
そのような状況下で、本の都アフツァックから村に派遣された司書の一団が主人公と知り合い、少年は未知の世界の一端を知る事になるのである。
タイトルに「大魔術師」が含まれるので、本と魔術との関係が気になる読者もいるだろうが、それも第一巻を最後まで読めば、明らかとなる。
本作には、本を渇望する者の気持ちが、詰まっている。
書物への愛も溢れている。
司書の役割は重大である。
主人公は司書になれるのだろうか。
図書館の大魔術師 2 (アフタヌーンKC)
2018/11/08 23:55
無謀な少年
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:求道半 - この投稿者のレビュー一覧を見る
物語の主人公に憧れるだけの読書体験から脱却して、現実と向き合い自分の人生を主体的に生きる事の大切さを司書から学んだシオの、難関の司書試験に挑むための本の都への旅が描かれる第二巻では、第一巻に登場した人物の大半が姿を見せず、旅の途中で出会う人々との交流が話題の中心となり、壮大な序章とも言い得る第一巻の結末から話が継続していても、各巻の独立性は高いと言える。
仮に第一巻を全く読まずに第二巻から読み始めたとしても、本を巡る作品の根幹は当然、維持されている上に、第二巻の方が作中世界の歴史や地理、本の都に関する情報が多いので、ビブリオファンタジーと言うジャンルに馴染みのない読者が、本と魔法の組み合わせで面白い漫画が成立するのか、と考えて本作を敬遠するのであれば、手始めに第二巻から読むのは間違った行為ではない。
第一巻の構成に度肝を抜かれた読者の中には、二巻目以降との落差を読む前から懸念する人もいるであろう。
しかし、気を回しすぎだ。
第二巻の冒頭から、あの感動が蘇り、第一巻とは異なる形での話の締め括り方を確認すれば、再度、その構成の妙に舌を巻く事となる。
第二巻は受験編の一部であり、合否は判明しないものの、第一巻では描かれなかった司書と別れた後のシオの行動や、成長して凛々しく、逞しく、より賢くなった被差別民の、単なる処世術とは異なる、知識の実践の仕方に、読者は多くの場面で感銘を受ける筈である。
どうか、本を題材にした作品だから、書物に愛着が湧かない読者は楽しめない、と、決め付けないでほしい。
恐竜のような獣や謎の生き物が暮らす世界においても、耳長と呼ばれて蔑まれるシオの特異的な風貌は、約百年前の惨事と無関係ではなく、その出来事への魔術師の関わり方が、本の都アフツァックを中心とする知的空間を産み出した。
本作における本の役割は重要だが、政治的な背景も、同程度に、物語の基盤となっている。
シオの住むアムン村はヒューロン族の自治区であり、世界には多くの他民族が存在する。
2021/05/01 10:59
絵が素晴らしい。
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
とにかく絵が素晴らしい。所々に出てくる風景シーンなど繊細に書き込まれていてため息が出るほど美しい。壮大なファンタジーの世界を舞台に「知恵 知識」というものの大事さを教えているストーリー展開もなかなかいい。セリフが多い作品なのだが、ストーリーの筋道がしっかりしているのでどんどん読みすすめることができる