ドラゴン・ティアーズ―龍涙 池袋ウエストゲートパーク9
著者 石田衣良 (著)
時給300円弱。茨城の“奴隷工場”から中国人少女が脱走した。彼女が戻らなければ、250人の研修生は全員が強制送還される。タイムリミットまで、あと1週間。捜索を頼まれたマコ...
ドラゴン・ティアーズ―龍涙 池袋ウエストゲートパーク9
商品説明
時給300円弱。茨城の“奴隷工場”から中国人少女が脱走した。彼女が戻らなければ、250人の研修生は全員が強制送還される。タイムリミットまで、あと1週間。捜索を頼まれたマコトは、池袋チャイナタウンの裏組織“東龍(トンロン)”に近づくが…万策つきた時、マコトの母が出した秘策とは? 悪徳エステの被害者同盟、ホームレスを食い物にする失業保険詐欺、彼女いない歴28年サラリーマンの頼みと、マコトは今日も忙しい。最強人気シリーズ第9巻!
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龍の涙~中国格差社会と労働研修の実態
2012/04/18 15:02
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず最初に書いてしまうと本作品で、主人公マコトにある種の大事件が起こる。とかく池袋ウェストゲートパーク(以下IWGP)シリーズファンにとっては、これ結構な事件。思わず「えー!?」と声が出てしまう事請け合いです。お楽しみにw。
さてIWGPシリーズも9作目。正直これまでの作品の中には、少々マンネリを感じる物もあってそろそろ潮時なのでは・・・なんて感も無くは無かったのだけれど。4つの短編からなる本作品は、これ非常に素晴らしい。前作の「非正規レジスタンス」も良かったけれど、並んでシリーズ中でも相当好きな作品と言えると思う。中でも表題になっている「ドラゴンティアーズ」がいいなぁ。色々な意味で、ぜひ皆さんに読んでもらいたい一作。
一見ラノベのようなタイトルだけれど、内容は全くさにあらず。中国の格差社会と、日本 への(労働研修制度という名の)出稼ぎ労働がテーマになっている。労働内容は苛烈を究める上、搾取を重ねられて手取りは時給で270円という状況。それでも3年働けば生涯賃金に近い物が得られるというから、来日した若者たちは必死だ。
その研修生の一人、中国人の美少女クーが、労働研修から逃げ出した。このままでは出稼ぎ労働従事者250人全員が、連帯責任で強制送還されてしまう。そこでクーを見つけ出して欲しいとトラブルシューター、マコトの元に依頼が舞い込んできたのだ。いや正確には、匿っているであろう地元中国系のマフィアとの折衝役。しかし苦労して出会ったクーから話を聞くと、苦役から逃げ出したいとか東京で遊びたいとか、そう単純な話ではなかった。労働研修では、病気で死にかけている父親を救えない。だからあえて夜の仕事に身を沈め、さらなる高給を得ようとしていたのだ。違法だと分かっていても、父親を救えないのでは意味が無いのだと言う。・・・こうなると、マコトにはもうする事がない。自分で道を選ぶことを諭すのだが。苦悩の果てに、クーが選んだ切ない道に胸が痛む。
がしかし!最後の最後に、見事な切り札が切られるのだ。しかもそれを切ったのが、最近主人公のマコトをも凌駕する人気を誇る、あの人だというのだからたまらない。「うわああああ、そう来たか!」と思わず声が出そうになり、涙腺が緩む。ひっさびさに、スカ!っとした気持ちになれました。
・・・そこで最初に戻るのだが、マコトの身に大変な事が起きるのだ。これはこれから後の作品にも、きっと大きく影響するんじゃなかろうか、非常に楽しみである。
IWGPシリーズ、本作を読んでやはり比類なき独特の世界を築き上げたなと感じました。この傑作ドラゴンティアーズを含め素晴らしい短編4作、ぜひ読んでみてください。
思えば、このあたりから超長編化の予兆があったなぁ。
2020/11/05 15:14
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
IWGPシリーズ9は、「キャッチセールスででたらめなエステ詐欺の被害を受けたOLのトラブル」にはじまり…。「ホームレスの僅かな権利を食い物にする悪徳建設会社」
「母親のパチスロ依存症が原因で、新しい出会い系ビジネスの闇に沈んでゆく娘」
「研修生という名で自給300円の奴隷労働…非正規派遣社員より悲惨な労働条件で働く中国人たちの問題」
…と続き、これらは、いまだに日本が抱えて、様々な利権や面子やが根をはって、現状、根本的には越えられてない問題ばかり。それどころか、シリーズ9は2011年発行だから、ほぼ10年たってもあまり解決されてないなぁ...とふと。
それを、どこの組織にも属さない主人公・マコトが、自分の頭のみを武器に解決してしまうって、やっぱり相当爽快ですよね。大いなるワンパターンの物語ですが、それだからこそこれからも長く続くだろう安心感もある。
時代に合っています
2012/01/23 21:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぼのひろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
池袋にすむマコトという少年が主人公で、いろいろな事件を独特なやり方で解決する短編集です。
もう9作品目なのですが、毎回時代に合った社会的な事件が起こり、作者さんの題材の扱い方、取材の深さに驚きます。
主人公なりの正義や良心にのっとった事件の解決方法に、いつも驚き感動します。
こういうのが現実なんでしょうね
2020/10/12 13:48
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:gunners - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国から働きに来た中国人少女が茨城の奴隷工場から脱走して…劣悪な環境で働きに来てってのは本当にありそうで悲しい気持ちになりました。ちなみに久々にラジオが登場します
読みづらい印象が残る作品。。。
2015/09/10 12:28
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投稿者:minteey - この投稿者のレビュー一覧を見る
けしてつまらなくはないけど、設定が複雑で読みづらく少々疲れる印象が。。
勢いも弱く、一気に読み進める感じではなかったです。
でも、ラストの展開はかっこよかった!