“夕凪の時間”に身をまかせる心地良さは永遠に・・・
2006/06/02 16:43
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投稿者:カルバドス - この投稿者のレビュー一覧を見る
ゆるゆるとした時間が、とても心地良かった。
後の世で“夕凪の時代”とよばれる、数多の都市が水没した近未来を舞台に紡がれた、アンドロイドと人間達の物語。
物語が始まった12年前といえば、今ほどではないにしても、世の中がかなり物騒になり始めていた頃だ。人と人の心がうまく噛み合わなくなってきて、常に何かに対して神経を尖らせていた。そんなピリピリとした感情を「まあまあ」となだめ落ち着かせてくれたのが、この『ヨコハマ買い出し紀行』という作品だった。登場人物達と共に「ほぅ」と息を抜くと、ようやく自分自身が見えるようになった気がしたものだ。
ゆったりてろてろと流れていたような時間はやはり「光陰矢の如し」で、人間の登場人物達はどんどんとその姿を変えていった。ちょっと生意気だった子供達は大人になり、人生の先輩達の姿は次第に見えなくなっていった。変わらずにいるのは、主人公のアルファさんをはじめとするアンドロイド達だけ。人々と同じように、大地もまだその姿を変え続けている。
この作品を、一体何人の友人知人に紹介しただろう。無意識のうちにそうした人物を選んでいたのかも知れないが、一読を勧めてファンにならなかった人間は一人もいなかった。みんながみんな「なんか落ち着くよね〜」とか「癒される〜」といった感想を述べていた。きっと彼ら彼女らも、既に最後のこの巻を味わったことだろう。
スローライフだのロハスだのと言っても、現代人は常に時間に追われている。心が急いていたのでは、落ち着くものも落ち着けない。本書を含めた全巻を通して読み、心に休息を与えてはいかがだろうか。
はかなく、遠い記憶のようなものがたり。
2015/03/27 23:25
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投稿者:周防 - この投稿者のレビュー一覧を見る
どうにも懐かしくなって購入した全14冊。
ロボットがたどる、衰退期に入った世界を描いた漫画、とでも言えばいいのだろうか。
1コマを見れば穏やかな田舎の風景であっても、読み進むうちに長い時の流れを感じさせ、そこには何故か懐かしさがある。
少しずつ滅びていく世界に悲壮感が無いのは、やはり主人公であるアルファ(ロボット)がこの世界や他者に抱く好奇心や優しさ、寂しさといった感情が、不思議と胸に響くからだ。
12年の歳月がもたらしたものは
2006/06/08 23:31
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投稿者:シノスケ - この投稿者のレビュー一覧を見る
コミックスで読み続けている自分は、開始6ページ目で驚いた……。作品の持ち続ける雰囲気は変わらず、ただ内側の時間だけがぴゅっと過ぎてしまった感覚。カフェアルファのドアベルを鳴らして入ってきたマッキにまずびっくり。
この最終巻では、今までの遅かった時の歩みをあざ笑うかごとく、時間が進行する。とはいえ、具体的な時間は明示されない。何か変化があったかと問われればイエス。何が変わったかと聞かれると困る。アルファさんは果たして変わったか? 12年の間に彼女は変化したか? 過ぎ行く時の中で、台風にお店を半壊させられたり、カメラに愛情を示してみたりしたけれども、そういった周囲の環境からもたらされる変化以上に彼女は何も変わっていないのではないか。初めから持っていたモノが、何かをきっかけにしてようやく外へと浮上したのだろう。それは彼女の周りの人間も、読者も例外ではない。アルファさんとカフェアルファの空気に触れることで、忘れていた何かを思い出させてくたのだ。
そういえば、ラジエータを拭かれるだけのバイクは壊れなかった。海に飲み込まれそうだった砂浜はどうなっただろうか。そもそもこの世界はどこへ向かっていたのか。その答えはないが、地上を想い懐かしむ鳥も、ちょっとずつ前進していく幼子も、アルファさんを通して見えたモノがあるはずだ。この物語の中には変わらない何かがあり、変わらない時間がある。
ありがとうアルファさん。
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12年間の最終回に、あまりに「らしい」お話で、ほっとしたというか安心したというか、作者の方に感謝したというか。
ただ単に連載が終わっただけなのであって、みんなは生きているんだな、とか。
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ゆっくりまったりと、時間と空気がまどろんでいるような。特に盛り上がりもなく最終巻。そういう雰囲気もいいかな。
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12年間のまとめという感じでしょうか…。
シリーズを通して分かっていたことだけれど、アルファ・ココネ・丸子と周りの人間たちの時間のあり方が違いを、改めて強く感じます。
そして、分かっててもやっぱり、最終話のスタンドや子海石先生の家の様子とかは、凄く寂しいかな…。
そんな中、アルファの「ずっと 忘れないよ」がとても温かく感じられました。
ふらりとカフェ・アルファを訪れるように、これからもきっと読み返す作品かな…と思います。
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長く静かに続いてきた本作品も最終巻です。このシリーズは、ストーリーよりも作品の持つ雰囲気が好きな作品でした。
この巻では、一気に時間を進めてしまった感がありました。ですが、主人公のアルファからの視点を取る限り、こういう時間の進め方が正しいのかなと、再読したら感じるようになりました。
又、アンドロイドで在るが為に時間に取り残されるといった面を押し出して往くのかと思っていましたが、そこを控えめに表現したのは、アルファの前向きな性格がそうさせたのでしょうか?
この作品は、音や空気を自然に感じ取ることの出来る数少ない作品でした。アニメにもなったようですが、見なくて良かったと思います。
作者の次回作にきたいしています。次回作も、似た雰囲気の作品を描いてくれるとよいのですが。よく意欲作として描きだすと、作者の特色が消えることが往々にし有りますので・・・。
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雰囲気がすごく好き。
切なかったり暖かかったり。
時間の流れとか、人やその土地の記憶とかを考えさせられるような作品です〜
イラストも好みです。
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全1~14巻
時の流れを感じる作品。
話の余韻に浸れる作品。
ほんわかしてるけど、ちょっぴり切ない。
そんなお話。
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最終巻。
アルファさんの時間はゆるやかに流れていきます…。
★ あなたも カフェ・アルファで ほのぼのしてみませんか ★
とうとう完結しましたが、刊行中は本の出る時期になるとこころのおんどがちょっぴりあがったものです。
舞台は、かつて大災害が起こったらしく、大半が海に没している日本。
終末の気配が漂っています。
文明も崩壊し、日本中が田舎状態です。
ある岬で、はやらない喫茶店をいとなんでいる女性アルファさんは、アンドロイドです。
めったに客は来ませんが、まわりのみんなとのんびり暮らしています。
月琴を弾いたり、いい風景見たり、雷に打たれたり、お散歩したり。
「カフェ・アルファ」はたぶん、今でいうところの三浦半島あたりにあるのでは、と想像しています。
ほわほわします。常に手が届くとこにおいといて、疲れたら読みます。
読む者をほのぼのっとさせる、のんびりして、素敵なストーリーが綴られます。
これといったことは起こりません。こういう設定の中での日常が描かれます。
題名の由来は、ときどきアルファさんがコーヒー豆や砂糖などを買い出しに行くのがヨコハマだからだと思います。
ヨコハマと言っても、アルファさんが住んでいるところよりはにぎやかですがすごい都会というほどではありません。
これを読み始めたのは、今度は「題名買い」でしょうか。なんとなく気になる題名だったので。
まあ、その後ちょっとした評判を聞いたこともあったので、「アタゴオル物語」を表紙買いしたときほどリスキーではありませんでしたが。といっても、「アフタヌーン誌上で、読者をほのぼのさせている」というていどの評判だけでしたが。
いっときはアタゴオルより上位にしていました。これはぼくとしては破格の位置づけになるのです。
読んでいると、いつのまにか、にまにましています。
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これはもう何ていうか究極の擬人化。主人公達の特殊な感覚を借りるだけでなく、さまざまなアプローチでヒト以外の存在をただのモノ以上として描く。謎のままの部分も多いのだが、そこをあえて明らかにしないで許されるのは漫画というジャンルの強みかも。バイクツーリングの景色を五感で受け取る感じや、エンジンが冷えていく音の描写など、琴線をかき鳴らし過ぎてどうしようかと思った。
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自分の核となる部分に大きな影響をあたえまくってくれた作品の最終巻。
長い時を生きるロボットのアルファさんだからこそ感じる、人の夜の切なさや、それを安らかであるように願いながら見届けていこうとするアルファさん達の優しさが、ゆったりと詰っています。
巻を追うごとに流れる時間が少しずつ加速していって、この最終巻ではページをめくる度になめらかに加速していき、アルファさん達が感じる時間の速さとリンクするような感覚を憶えました。
読むというよりは、今までの物語を思い出しながら、見て・感じるといった方法で楽しんだほうがより一層楽しめるかと思います。
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そうそう、1巻の表紙とこの最終巻の表紙を見比べると・・・
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1-14巻読み
12年間で14巻。
内容もかなりゆっくりまったり進んで心が癒された感じになった。
なんか海沿いの田舎に旅行とか行きたくなる。。
そんな漫画だった。
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夕凪の時代と呼ばれた、未来の物語。
手元になくてもいつでも触れられる、僕の心のバイブルです。
※ブックシェアのポップ用として記載しました。
◆レビュー・感想
自分の核となる部分に大きな影響をあたえまくってくれた作品の最終巻。
長い時を生きるロボットのアルファさんだからこそ感じる、人の夜の切なさや、それを安らかであるように願いながら見届けていこうとするアルファさん達の優しさが、ゆったりと詰っています。
巻を追うごとに流れる時間が少しずつ加速していって、この最終巻ではページをめくる度になめらかに加速していき、アルファさん達が感じる時間の速さとリンクするような感覚を憶えました。
読むというよりは、今までの物語を思い出しながら、見て・感じるといった方法で楽しんだほうがより一層楽しめるかと思います。
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1-3を読んでしばらくたって4-14まで一気に読んだので感想はココにまとめて書く
ある程度登場人物が描かれるまでは舞台準備って感じで、タカヒロが大きくなってきた描写から物語はテンポよくなってくる。
小道具としてのカメラが秀逸だった。あとスクーターも。
ARIAが好きな人が好きな作品とよく聞いていたけど、アルファさんと灯里ちゃんはかなり重なってる。特に笑顔とか、ふっと考え事をするところとか。
衰退していく世界の中で人々がのどかに暮らしているというなんだか心温まる作品だった。
郷愁が人間の年輪なのかもしれないと思った
メモ
個人的に最後までわからなかったのが空のアルファ室長あたり、まあSF雰囲気をだすエッセンスだと思ってスルー。
ココネ、タカヒロ、マッキとの絡みが見ていて楽しかった一方、じいちゃんと先生のあたりのエピソードはあまり盛り上がるものがなかった印象。
マッキの声は斎藤千和さん(テンション高い時)になったり釘宮理恵さん(ぼやくとき)になったりした。ミサゴは斎藤千和さんで再生された。