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終わらざる夏 下
著者 浅田次郎 (著)
1945年8月15日、玉音放送。国民はそれぞれの思いを抱えながら、日本の無条件降伏を知る。国境の島・占守(シュムシュ)島では、通訳要員である片岡らが、終戦交渉にやって来る...
終わらざる夏 下
商品説明
1945年8月15日、玉音放送。国民はそれぞれの思いを抱えながら、日本の無条件降伏を知る。国境の島・占守(シュムシュ)島では、通訳要員である片岡らが、終戦交渉にやって来るであろう米軍の軍使を待ち受けていた。だが、島に残された日本軍が目にしたのは、中立条約を破棄して上陸してくるソ連軍の姿だった。――美しい北の孤島で、再び始まった「戦争」の真実とは。戦争文学の新たなる金字塔、堂々の完結。
著者紹介
浅田次郎 (著)
- 略歴
- 1951年東京生まれ。日本ペンクラブ会長。95年「地下鉄に乗って」で吉川英治文学新人賞、97年「鉄道員」で直木賞、2000年「壬生義士伝」で柴田錬三郎賞を受賞。
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紙の本
戦争末期の北方領土で、何があったのか
2014/10/27 10:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
今日に至るまで、一向に解決を見ぬいわゆる「北方領土」問題。かの四島は有史以来、日本以外の国の領土になった事は一度もない事はご存知でしょうか。さらには日露戦争や賢明なる外交(樺太との交換条約等)の結果、四島からはるか北、カムチャッカ半島直前の占守島(シュムシュ島)まで、千島列島は全て日本の領土に納められた。しかし大戦末期、その地域全てをソ連に実効支配下に置かれてしまい、今日に至っているのです。では一体あのときあの地域で、何が起きたのだろうか。それをこの下巻では、物語の中で詳しく語っています。
こういう非常に大事な「史実」を、わざわざ勉強しようとは中々思えないもの。しかし物語として読ませてもらえるというのは、とても有難い事だと思う。参考書を読んだだけでは、そこで起きた事実が語られるだけで記号のようになってしまう。しかし物語仕立てにして幾種かの感情と共にその史実に触れられれば、さらに良く記憶に残るし、また忘れる事もないでしょう。
一言でまとめてしまえば、とても「悲しい」物語です。でもそれが、「史実」なのです。日本が連合国に降伏をした後、一方的に日露和親条約を放棄して宣戦布告をし、北の領土に乗り込んでくるなんて。そしてまた悲しい戦争を起こして両国兵士を何千人も殺してまで、領地を争わさせるなんて。そこで圧勝した日本軍、それでも敗戦国に「勝ち」はあり得ない。やがて降伏した日本軍兵士全てをシベリアに送り、拷問の日々を送らせるなんて。そんなバカな事が、あっていいわけないのに。でも戦争では、まま起こりえる。「あっちゃいけない」事が、まま起こりえる。だから、戦争はしちゃいけない。そう痛感出来る一冊。だから老若男女を問わずに、ぜひ読んでもらいたい作品です。
紙の本
途中から涙が出てとまりませんでした。
2018/12/04 21:28
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まなぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
■浅田次郎さんは、ストーリーの作り方が、本当に上手だと思います。読むに進むに連れ、この先はどうなるのだろうと、思わせます。
■『おもさげながんす』『カムイ・ウン・クレ』、記憶に残る言葉です。
■作者の浅田次郎さんは、戦争をしてはいけない、ということを伝えたかったのだと思います。とくに、『平和のため・・・』と称して。
紙の本
題名の“終わらざる夏”は、終戦処理が本当に終わったのか、戦後の復興は正しく行われたのかという、問いの様に思われてならない。
2016/11/16 09:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
終戦後にソ連の侵攻を受けた占守島(シュムシュ島)を主要なテーマにしているが、著者の意図は、絶望的な戦争遂行への一般市民感情(特に実際に徴兵される人間の家族感情)、戦争が終わった後に戦死公報を受け取ることになる人々の悲しみ、更には終戦直前に突然参戦して満州方面で暴虐の限りを尽くしたソ連の行為などを一国民の目から記録しておくことにあったのではと思う。確かに、軍国主義路線に国民もこぞって加担して戦争に突き進んだ責任は国民全員にあることは否定できないが、家族を失う悲しみは全ての人に共通のものであり、生きて帰りたいと思うのは一部の職業軍人以外の全ての人の思いであろう。一部には、空想的な美談じみた脚色もあるが、多くの人々の普遍的な願いを戦争の理不尽さが鮮明に表れてきた終戦前後を舞台に綴った傑作であることに疑問はない。なお、題名の“終わらざる夏”は、終戦処理が本当に終わったのか、戦後の復興は正しく行われたのかという、問いの様に思われてならない。
紙の本
胸に迫るものがありました
2013/07/27 21:41
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ジョニー - この投稿者のレビュー一覧を見る
国家同士の戦争と、それに運命を振り回される人々。自分の郷里を守ろうという庶民の心情と、領土の拡張などの国の方針のために、自国民に犠牲を強いる為政者。それでも大切なものを守るために命を賭して戦う庶民の姿に胸を打たれました。
紙の本
マスコミよ、事実を正確に報道せよ。
2021/07/21 09:25
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
終わったはずの戦争が占守島にソビエトが攻め込んできた。ドイツと戦った軍ではなく寄せ集めの部隊であった。彼らは死者が多ければ、戦後の補償が有利に進められるという理由で、死に体の日本に宣戦布告してきたのであった。そのとき日本軍は、片岡や鬼熊・菊池の運命は・・・。
生きる希望を見出した瞬間にまた戦争が始まったときに彼らはどんな思いであったでしょうか。日本での教育ではポツダム宣言を受け入れたことで教育が終わるが、実際は占守島の戦い・中国での通化事件・インドネシア独立戦争等については教育もしなければ、報道すらされない。日本のマスコミは本来の報道を正確にして貰いたいと思う。
戦後GHQによって、天皇を称賛することや連合国を批判するような報道は規制されたと思いますが、そろそろ戦後の呪縛をといてほしい。芸能人の不倫ネタはいらない。