ソウル・コレクター 上
著者 ジェフリー・ディーヴァー , 池田真紀子
史上もっとも卑劣な犯罪者にライムが挑む!リンカーン・ライムのいとこ、アーサーが殺人容疑で逮捕された。アーサーは一貫して無実を主張するも、犯行現場や自宅から多数の証拠が見つ...
ソウル・コレクター 上
商品説明
史上もっとも卑劣な犯罪者にライムが挑む!
リンカーン・ライムのいとこ、アーサーが殺人容疑で逮捕された。アーサーは一貫して無実を主張するも、犯行現場や自宅から多数の証拠が見つかり、有罪は確定的に思えた。だがライムは不審を抱く。証拠が揃いすぎている――アーサーは濡れ衣を着せられたのではないか? そう睨んだライムはサックスらとともに独自の捜査を開始する。2009年週刊文春ミステリーベスト10第3位、このミステリーがすごい!第5位。【リンカーン・ライムシリーズ第8作】
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近未来の犯罪を予感させる一篇
2012/11/24 22:07
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書はディーヴァーによるリンカーン・ライムのシリーズ第8作目である。シリーズ物は難しい。読者はシリーズに何を期待しているのか? 作家はそれをよく汲み取らなければならない。たとえば、ディーヴァーのスピンアウト作品であるキャサリン・ダンスが主人公のスリーピング・ドールは期待外れであった。
何故ならば、キャサリン・ダンスの持ち味であるキネシクスが活躍する場がほとんど描かれていなかったからである。それを期待していた私は肩透かしを喰らったような気がした。ライムのシリーズは、ライムとサックスのコンビ、あるいは周囲の仲間であるセリットー、クーバーなどの絡みが面白く、人気が高まったのであろう。
しかし、そもそもライムの持ち味である捜査手法に興味を覚えた人が多かったのではなかろうか? 現場を隈なく調べ上げて証拠を分析するライムの捜査手法である。シリーズではこれを必ず出して欲しいものである。それが私の期待なのだ。しかし、今回はそれがほとんど出てこない。少なくとも犯人逮捕への貢献度は低いように描かれている。
そろそろ材料が枯渇してきたのか、あるいはいつもそれでは飽きがくると考えて、異なる趣向を用意したのか? それはそれでディーヴァーの考える効果は出ていないとは言えない。しかし、今後はこれが当たり前の描き方になるのであれば、落胆してしまう。このようにシリーズになった場合の期待の仕方は、読者毎に分裂を始めるので、当初の作品のように簡単ではないと推定する次第である。
今回はライムの成長過程でいわくのあった従兄弟の登場である。ライムは今まで事情によって絶縁状態にあった従兄弟と接触する必要が出てきた。この従兄弟が殺人の容疑者となったからである。
シリーズ物は難しいと書いたのだが、実は本書ではライムの捜査手法を登場させる暇がないほど、犯人の策略が巧みであった。この策略が面白い。ディーヴァーの発想は近未来の犯罪を想起させる。つまり、個人情報を利用した犯罪である。情報を巧みに利用して他人を犯人に仕立て上げるというものである。
この種の犯人は個人情報にアクセスできる立場にある人物に限られるのだが、情報管理が杜撰であれば容易に悪用されてしまう。そういう点で近未来的な犯罪の姿が描かれているといっても過言ではない。ディーヴァーのアイデアの泉はまだまだ滾滾と湧き出ているといってもよい。次回もどのような展開を見せるのか期待できよう。
ソウルコレクター
2021/03/16 17:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:にゃお - この投稿者のレビュー一覧を見る
今回も素晴らしく面白かったです。
ライムの学生時代が少し過去を思いだすときに出て来るんですが、アーサーに裏切られたって話は本当にそうだったのか、後ほどアーサーと話してる場面等が見たいです。
ロナウドがいいキャラで目立ってて好きなキャラの一人になってしまいました。笑
すごい!
2017/08/29 09:52
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投稿者:笑う門ふう - この投稿者のレビュー一覧を見る
個人情報の怖さが身にしみます・・・
現金払いしなければ。
日用品はネットで買ったらダメだわ…などなど。
現代社会、身につまされます。
テーマは情報社会
2017/06/18 02:44
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投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
今回のテーマは個人情報。いかにもありそうな情報社会が描かれたミステリー。コンピュータ関係の話は難しいですが、分からない範囲ではなく、比較的読みやすかったです。多分、今回もあるであろう終盤の、いつものどんでん返しに、今から胸が高まります(^ ^)
このテーマをどう扱うのか楽しみです
2017/02/02 19:19
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投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
リンカーン・ライム シリーズの8作目です。
時代の流れでしょうね、この作品では現代の情報化社会の危険性が大きなテーマとなっています。
個人データを無意識に提供していく多くの人々に対して、どこまでも貪欲にそれを収集していく組織。その組織の運営者をどれほど信用できるものなのか?
この巻だけで400ページちょっとですが、多くの伏線が張られていて、これからどう収斂していくのか楽しみです。