犯人に告ぐ 下
著者 雫井脩介
犯人=〔バッドマン〕を名乗る手紙が、捜査本部に届き始めた。巻島史彦は捜査責任者としてニュース番組に定期的に出演し、犯人に「もっと話を聞かせて欲しい」と呼びかけ続ける。その...
犯人に告ぐ 下
商品説明
犯人=〔バッドマン〕を名乗る手紙が、捜査本部に届き始めた。巻島史彦は捜査責任者としてニュース番組に定期的に出演し、犯人に「もっと話を聞かせて欲しい」と呼びかけ続ける。その殺人犯寄りの姿勢に、世間および警察内部からも非難の声が上がり、いつしか巻島は孤独な戦いを強いられていた──。犯人に“勝利宣言”するクライマックスは圧巻。「普段ミステリーや警察小説を読まない人をも虜にする」と絶賛された、世紀の快作。
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犯人に告ぐ
2024/05/02 16:49
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
清濁合わせ持つ、孤高の刑事、巻島。
感情を表さずに、何を考えているかわからない言動は独特で、特に最後のテレビ出演の様子は冷たい刃のような雰囲気で、圧倒された。
捜査の邪魔をする植草に対する実力行使も冷静で、その冷たい口調にはゾゾッとするものがあった。清々したけど。
過去の事件を自分の中でどう位置付けるのか。感情を抑える巻島の、感情が溢れ出す場面が、印象的だった。
現実的には無理がある。
2018/06/16 18:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ライディーン - この投稿者のレビュー一覧を見る
読みやすい内容ではあったが、現実的には「そりゃあない」と言った感じです。
内部の敵についても、ガッツリと懲らしめて欲しかった。
なんか、全体的にやんわりとした感じでした。
犯人にたどり着いたのも、仕事に意欲のない、運のみの脇役だったというのも、少し笑ってしまった。
テレビのチカラ。
2008/03/18 09:58
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
インタネットの普及が進むに連れ、テレビの時代は終わるのでは無いかと言われた時期が合った。しかし今日に至るまで、やはりテレビは最大のメディアである事に間違いは無い。そのテレビの力を犯罪捜査に活用する、という試みは実際に何度か試されてきて、それなりの実績を上げてきている。本作品では一つの誘拐事件に特化して番組で取り上げ、実際の捜査指揮官が捜査と平行して連続的にテレビ出演をし、事件解決を呼びかけていくと言う物。ふむなるほど、確かにかなりの確立で、犯人へ呼びかけが届くようには思われる。自分の犯罪の特番が組まれるとなれば、見たくもなるのが道理。
かつて子供を攫った営利誘拐事件で失態を演じ、子供を死なせてしまった現場捜査責任者、巻島。当時の上司曾根は、全ての罪を巻島に抱えさせる事で、まんまと自分は逃れて出世の街道を登っていった。一方巻島は左遷され、また一から現場捜査官として出直しを強いられていたのだが。それから数年が経ち、曾根が抱える神奈川県警でまたやっかいな連続誘拐事件が起きた。捜査はなかなか進展が見込めず、このまま迷宮入りになるかとさえ思われた。そこで曾根が思いついたのが、巻島の復帰だった。しかしそれは決して巻島に再度チャンスを与えようと考えたわけではなく、敗戦処理投手的な役割を押し付けようとしたのだ。巻島は嫌とは言えず、現場責任者として赴任。ところが、巻島が取った捜査手法とは、それまでの常識を覆すものだった。テレビへの連続出演、そして捜査の現況を逐一報道し、視聴者に協力を得る、と言う物だった。しかし実際の目論見はテレビを見ているだろう犯人を、燻りだす事。かくして始まった番組は大好評で、視聴率はうなぎのぼり。そうなると今度はテレビ局同士のぶつかり合いも始まり、純ならぬ思惑で、他局へ情報をリークする獅子身中の虫まで現れてくる。かつてのあの苦い思い。強いトラウマとなって巻島の心に巣食う、あの事件。そこから脱する為にも、この事件を解決させたい。その純粋な思いは、果たして成就するのか。
横山秀夫氏の物語ほど警察組織のしがらみには偏らず、かといって天童荒太氏ほど異常犯罪に拘ってもいない。非常にバランスの取れた作品であった。またエログロな描写もほとんど存在しない事から、誰にでも薦め易い作品。警察とテレビと犯人と身中の虫と四つ巴で進んでいく物語は、まさにエンターテイメント。テレビドラマを観る様な感覚で、誰もが楽しめる作品に仕上がっていた。