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投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
千年以上前に書かれた小説とは思えないほど現代に通じるところがあります。登場人物たち、一人ひとりの性格や価値観がよく分かるし、男女間の苦悩が丁寧に情緒豊かに語られていて、大好きです。
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投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
とかく、光源氏の物語に比べて、ストーリーの起伏に欠けるとか、人物の描写が冗長だとか言われる宇治十帖だが、読み終えてみて感じるのは、作者はたぶんこのパートでは、ストーリーの面白さで読者を引き付けようとは思っていないのだということだ。
このころは、結婚といっても、鳴り物入りで披露されるショーのような政略結婚(匂宮と薫の結婚)か、個人的に見初めてあくまで「愛人」のような立場におかれる関係、さらに男の好き心でレイプのように始まり、やがて飽きられ、手近なところの女房勤めに入って「召人」のような不安定な関係に移っていく・・・などというのが一般的だった。
さらに言えば、当時もっとも一般的だったのは、親戚関係を強固にするための身内同士の結婚(そこには「幼馴染」のような当人同士の淡い恋愛感情も当然あっただろうが)なのである。
こういうことを考えると、宇治十帖のヒロインたちは、世知辛い男女関係のなかでもがきながらも、それぞれに生きた女性たちだったと思う。自己の意思を貫いて、愛しながらも現世では結ばれない道を選んだ「大君」、始まりは心ならずだったが、持ち前の聡明さで、堅実で現実的な幸せをつかむ「中の君」、そして「愛してる」と口では言いながら、その行動はあくまで自分本位な二人の男性に、男の不実さをみてすっぱりどちらとも縁を切る「浮舟」。
三者三様の生き方を提示した作者だが、彼女の本意はどこにあったのだろう。誰が本当の意味で幸せだったのか?現代にまで及ぶ問題提起をこの時代に投げかけた、紫式部の先進性はやはりすごいものだと思う。
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
源氏物語、最後はけっこう衝撃的に終わりました。この長い話を最後まで面白く読むことが出来て充実感があります。
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
他の源氏物語に比べて圧倒的に読み易い作品.ただ台詞回しに品性が足りない感じがしました。全体的に下世話な印象でした。
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源氏物語の中でもとても読みやすい本だと思いますです。難しいのが苦手な人はこの本からとっかかってみたりしたらどうかな???って思うのです。時代は、光源氏と言うよりは息子の時代なのですが、、、小説で初めて泣いた本がこれだったのです。。。
高校生の時によみました。。
今読んだら また違った感情がでるかな???
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浮舟は、現代風にいえばうつ病でひきこもりになっちゃってる。男たちも悪いけど、心の弱い浮舟も悪い。修羅場、でもおもしろい。
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読み手である自分の状況で、好きな女性・嫌いな女性が変わります。
自分の心を映してくれる、そんなところも源氏物語の魅力のひとつかもしれません。
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上巻に続くお話。浮船の出した結論はそれだけ激しい恋愛をした結果からでたものだと思います。ほんと、誰も傷つかない恋愛は無いのかも?
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(2007.05.31読了)(2003.06.27購入)
田辺さんの源氏物語の最終巻です。宇治十帖の最後の5章が収められています。
「東屋」「浮舟」「蜻蛉」「手習」「夢の浮橋」です。
この巻の主人公は、浮舟です。脇役は、薫と匂宮です。
宇治の八の宮の残した姉妹、大君(長女のこと)と中の君(次女のこと)の面倒を見ることを頼まれた薫は、大君を自分の女にしたいがために、中の君を匂宮に託します。
ところが大君はあくまでも薫を拒み通し、死んでしまいます。薫は、大君をあきらめきれず、匂宮の不在の時に中の君のところを訪ねて、中の君に迫ったりします。
困った中の君は、父の八の宮が認知しなかった異腹の妹の存在を知らせます。この女性が浮舟です。
八の宮の異腹の妹を生んだ女性は、常陸の介の妻になっており、常陸の介の子供も何人か生んでいます。常陸の介には、先妻の子供も何人かいたようです。
常陸の介は、比較的裕福ですので、貧乏貴族達は、冨を目当てに常陸の介の娘達に結婚を申し込んできます。その中から左近の少将という青年に的を絞り、浮舟を嫁がせようとします。ところが、左近の少将は、浮舟が常陸の介の実子ではないことを聞きつけると実子のほうに鞍替えしてしまいます。
常陸の介の北の方(浮舟の母)は、中の君を頼って、浮舟を中の君のところに預けます。
中の君のところには当然ながら、たびたび匂宮が訪ねてきます。
中の君が髪を洗っている時に匂宮が訪ねてきてしまって、手持ち無沙汰な匂宮が今まで見かけたことのない女に気付きます。それが浮舟でした。一目で気に入ってしまいました。
北の方は、浮舟を三條の仮住まいの宿に隠します。
薫は、中の君を通して浮舟への気持ちを伝えてもらい、三條の仮住まいの宿を訪れた後、宇治へと浮舟を移してしまいます。
これで、薫は浮舟を確保することができたのですが、これで終わらないところが源氏物語のすごさです。
匂宮が一度見て忘れられない浮舟を探し出し、夜陰にまぎれて薫を装って、浮舟と情熱的な一夜を過ごしてしまいます。
浮舟は、当世の二人の美男子に気に入られたわけで、薫を選ぶことも、匂宮を選ぶこともできない状態です。誠実な薫と奔放な匂宮とどちらもいいので、板ばさみになってしまいます。
思い余った浮舟は、宇治川に身を投げて死んでしまおうとするのですが、心が弱っているところを物の怪に取り付かれて、さまよい倒れているところを尼たちに助けられます。
浮舟がいた屋敷では、浮舟は、身投げして死んだものと思い、葬儀を営みます。
薫も匂宮もあきらめるしかありません。
浮舟は、尼達の介護と坊さんの加持祈祷により回復します。
今度は、尼さんの知合いの中将が、浮舟を垣間見て、迫ります。
思い余った浮舟は、髪を下ろして、出家してしまいます。
薫の下に、浮舟の生存が伝えられて、薫は、浮舟を訪てゆきますが、会ってもらえず都へと戻ります。
最初から最後まで、ドキドキハラハラしながら一気に読ませてしまいます。原作のすごさもあるでしょうが、田辺さんの筆もたいしたものです。
田辺さんは、勢い余って、「私本・源氏物語」という源氏物語外伝とでも呼ばれるものも書いたようです。
☆田辺聖子さんの本(既読)
「甘い関係」田辺聖子著、文芸春秋、1975..
「絵草紙源氏物語」田辺聖子著・岡田嘉夫絵、角川文庫、1984.01.10
「新源氏物語(上)」田辺聖子著、新潮文庫、1984.05.25
「新源氏物語(中)」田辺聖子著、新潮文庫、1984.05.25
「新源氏物語(下)」田辺聖子著、新潮文庫、1984.05.25
「新源氏物語 霧ふかき宇治の恋(上)」田辺聖子著、新潮文庫、1993.11.25
「むかし・あけぼの」(上)、田辺聖子著、角川文庫、1986.06.25
「むかし・あけぼの」(下)、田辺聖子著、角川文庫、1986.06.25
「竹取物語・伊勢物語」田辺聖子著、集英社文庫、1987.07.25
「おちくぼ姫」田辺聖子著、角川文庫、1990.05.25
(2007年6月10日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
大君亡きあと中の君への情念にもだえる薫の前に現れたのが、中の君の異腹の妹・浮舟であった。彼女は薫に惹かれる一方で、色好みの匂宮とも通じ、恋の板挟みに思い悩んだ末に霧ふかい宇治川に身を投げるが…。極限の愛を余すところなく描いて、圧倒的な感動をよぶ田辺版・新源氏物語、堂々の完結編「宇治十帖」下巻。
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やっと読み通しました。田辺版・宇治十帖。新源氏物語があまりにも面白かったので、宇治十帖が文庫化されて比較的早い時期に買い求めていたのだけれど、どうも話に入り込めなくて中途で諦めること数回。今回は何がなんでも読み通そうと、辛抱して読み、薫が大君にはぐらかされ、中の君と一晩過ごすことになったあたりからやっと話が動き始めた感じで本を読める時間が楽しみになりました。 ただ、その後、中だるみが来て、浮舟があ〜どもない、こうでもないと一人思い悩んでいる当たりからいらいら。薫の何事につけても周囲に気を配りすぎる心配りにも、イライラ。周りの人の駆け引きにもイライラ。これが一般的な日本人の人間関係に関する人びとの心の動き、そして思惑なのだとしたら、私、とてもついて行けません。
こういうのを人間関係の機微というのかしら?
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内容紹介:大君亡きあと中の君への情念にもだえる薫の前に現れたのが、中の君の異腹の妹・浮舟であった。彼女は薫に惹かれる一方で、色好みの匂宮とも通じ、恋の板挟みに思い悩んだ末に霧ふかい宇治川に身を投げるが…。極限の愛を余すところなく描いて、圧倒的な感動をよぶ田辺版・新源氏物語、堂々の完結編「宇治十帖」下巻。(「BOOK」データベースより)
資料番号:010656262
請求記号:F/ タナベ/ 2
資料区分:文庫・新書
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高校時代に、同作家の「新源氏物語」を読んで源氏にハマり、
古文が得意になった。
その頃はまだ発表されていなかった、源氏死後の続編。
薫と匂宮は、2人足して2で割ったらイイ男だね。
源氏にはかなわない。
原文を読んだことがないのでわからないが、
田辺さんの訳は、現代にも通ずる男女の愛として
読みごたえがあるので、好きだ。
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おもしろかったです。何気なく読んでいた田辺源氏でしたが、個人的にはこの巻が一番心に響きました。浮舟、最初は優柔不断でちょっとイラっとくるところがあったのですがだんだん共感出来るような気がしてきました。特に出家後の晴れやかな浮舟さんが好きです。宇治十帖やっぱり好きです。源氏物語の一部、二部と比べると登場人物が皆リアルな造形なんですよね。しかし田辺さんは薫びいきなんですね(私は匂宮派)。私からすると薫はけっこう陰険な男にも思えるのですが…。「窯変」のほうが浮舟に同情的で薫に辛辣な描写だったような。訳者の思い入れが解るのもおもしろいですね。
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「宇治十帖」の後半、浮舟が川に身を投げようと邸を抜け出すシーン。
その後の浮舟の身の振り方。
薫と匂宮、大君と中の君と浮舟、この5人の性格がよく描かれており面白い。
光源氏の次の世代の恋愛物語であり、光源氏とはまた違った恋愛物語でもある。
最後の章に浮舟が、
「やっと心がきまったわ。・・いいえ、これから先もまだまだ、
悩みや迷いが多いかもしれないけれど、でもやがてはみんな、
なつかしくいとしいものに思えるような日がくるかもしれないわ・・」
この言葉に薫はどう答えるのだろう。
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大和和紀の「あさきゆめみし」も良いけれど、この本も中高時代に読んでおけばよかった。古典は嫌いではなかったけれど、学校の勉強では平面的な印象しか持てなかったお話が、立体的になり、イキイキと動き出すよう。