ウィルスを視点に進化を考えたユニークな生命科学ミステリー読本です。
2020/01/28 09:59
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、誰にでもわかる言葉で様々な情報・知識を提供してくれる大人気の講談社のブルーバックス・シリーズの一冊で、同巻は生物進化について、これまでとは別のウィルスの視点から語られた貴重な書です。同書では、ヒトや細菌とは遺伝的系統を異にするウィルスが、私たちの共通祖先に感染して、生物の発展・繁栄に不可欠なDNAや細胞核をもたらしたという事実を基礎にして、その子孫たる「巨大ウイルス」というものを明らかにした、生物進化を語ったもう一つの科学的お話しです。同書を読むと、これまでの生命への見方が一変します。進化とは何なのか、ウイルスはそれにどう関わってきたのか、そして生命とはどういうものなのか、を改めて深く考えさせてくれるユニークな生命科学ミステリー読本です。
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投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
ウイルスといえば電子顕微鏡でしか見ることができない微小なものというイメージだったが、光学顕微鏡で見える細菌サイズのものもいるということに驚いた。
ウイルスが増殖する仕組みとして細胞性生物の中にウイルス工場のような区画された部分を作ってそこでウイルスのDNA(またはRNA)が作成されているということがわかった。
そして原核生物から真核生物に進化する時に獲得した核膜がこのウイルス工場に由来するのではないかという新説と唱えておられ今までの常識が覆された思いがした。
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
ウイルスを死滅することが人類の使命という、これまでの考え方を覆す発想が大胆です。ウイルスこそが進化の中心であり、更には生物との共生という未来を見据えていました。
巨大ウイルスから入って、生命とは何かを揺るがす様々な事実
2020/04/10 17:35
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:y0a - この投稿者のレビュー一覧を見る
普通の細胞と同じくらいに大きなウイルスがあるって??(巨大ウイルス)
しかも実は、それがけっこうあちこちにあるって?
という驚きから始まって、生物進化の大元の時点で、もしかするとウイルスの立ち位置や役割が、現在のイメージと大きく異なる働きをしたのかも知れない、という仮説に話が進んでいく。
ウイルスの粒子だけ見ると生物の定義に当てはまらないけれど、細胞に感染してウイルス自身を複製している状態を「ヴァイロセル」と考えて、これがウイルス本体だ!と見れば、生物とみなせるんじゃないか、という新仮説など、いろいろ出てきて面白い。
コロナ流行のおかげで、ウイルス=悪者イメージになりがちだけれど、そうではなく、生物界に独特の位置を占める、まだまだ未知の存在と見えてくるかも。
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『ウイルスの本体は「ヴァイロセル」、ウイルス粒子は”生殖細胞”に過ぎない』など、腰帯の『「常識が覆る快感」を味わう、極上の生命科学ミステリー。』に、偽りを感じませんでした!
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生命への見方ががらりと変わる!
進化とは何か?
ウイルスはそれにどう関わったか?
そして生命とは?
「常識が覆る快感」を味わう、極上の生命科学ミステリー。
巨大ウイルスが引き起こす「コペルニクス的転回」!
数十億年前、いま最も注目を集めるあるウイルスの祖先が誕生した。
ヒトや細菌とは遺伝的系統を異にする彼らが、私たちの〈共通祖先〉に感染し、生物の発展・繁栄に不可欠なDNAや細胞核をもたらした!?
そして、その子孫たる「巨大ウイルス」が明らかにする、生命と進化の知られざるからくりとは?
日本初の巨大ウイルス=トーキョーウイルスの発見者が語る、生物進化のアナザーヒストリー。
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2017/6/10 ジュンク堂三宮駅前店にて購入。
2018/10/1〜10/5
ミミウイルスという巨大ウイルスが見つかった、という話は知っていたが、その学術的意義についてはあまり知らなかった。この本はそのあたりと生命の進化に関して書かれており、凄く面白かった。良い本でした。
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積読していたが、ウイルスの話題が多くなったので、改めて読んでみた.最近の研究成果からウイルス自体の存在について、これまでの考え方を一変させる議論が展開されている.様々なテクニカルタームが続出するが、ヴァイロセルが最も重要だと感じた.ウイルス粒子が普通の細胞(ライボセル)に侵入してウイルス工場を作る という話(p224)だが、土台としてのライボセルをベースにRNAがDNAに進化し、生物が誕生した由.凄い話だと思う.
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内容メモ: 巨大ウィルスはtRNA合成酵素遺伝子を持っている
ウィルスの進化系統樹
ウィルスによる遺伝子の水平移動
イントロンスプライシングはミトコンドリアからもたらされた、でスプライシングによって細胞核が必要となった、かも
胎盤に関わる遺伝子はウィルス遺伝子由来
ヴァイロセル仮説: 生命観の再定義?
感想: 面白そうな話がバラバラと出てくるが、話のまとまりにちょっと課題があるのと、どこまでが広く受け入れられた説でどこからが大胆な仮説なのかちょっと混乱しやすい。
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正直なところ、書いてあることの半分程度しか理解できなかった。
だがしかしウイルスが生物をどう進化させてきたのか、という大胆な仮説と、巨大ウィルスの概要についてはそれほぼ難しくなく理解できた。
この大胆な仮説、言われてみれば「そんなん当たり前だろ」という気しかしないが、本当に飛躍した仮説なんだろうか。
ウィルスは生物なのか、という点についても無難なところに落ち着くことなく解釈されていて、とてもおもしろい。が、ちょっと自分には難しい箇所も多々あった。
よくわからないまま自分の感想というのもなんだが、「生物とは何か?」という問いの答えは、ウィルスは生物なのか?という問いの答えの中にあり、また「巨大ウィルスのように、目に見えているものの気がつかない存在」が今後も数多く見つかって行く過程で、その答えが少しだけ見えてくるという感じでなかなか興奮する一冊。
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ウイルスについてはまだまだ未知のことが多いようである。
細胞内共生説についても、今後見識が変化するかも。
最新の科学を紹介しながら読み物として面白かったです。
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生物の細胞核の起源がウイルスにあるとする主説は、門外漢の自分にとってはさほど違和感なく受け入れられた。
『巨大ウイルスとは何か』から初学者向けに語られる細胞学も、わかりにくい部分もなくはないが、主説に至るまでの必要事項として受け入れられる程度には学べる。
ただ、筆者独特の軽口がどうしようもなく自分に合わないのと、最低限必要な部分以外への言及が薄く、筆者の自著以外へと広がる余地が少ないように思える。
細胞学の基礎を多数学んだ後ならば、箸休めとして使えるかもしれない。
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巨大ウィルスの存在など、知らない情報が多くて勉強になった。くだけた文筆に賛否あるかもしれないが、説明もうまいし読みやすくて良いかと思う
紹介されている仮説についても、辻褄を合わせた内容に留まっている部分もあるが、今後発展が期待される。
ウィルスは生物ではないとする現在の定義こそ、古いし偏屈的で、見直されるべき。
遺伝子の水平移動をふまえると、ウィルスが細胞生物の進化に寄与しているのは常識化しているが、より生命の起源に近い存在だととらえるのは飛躍が著しいとまでは言えない。細胞核やDNA、免疫システムなど、様々な革新の形成に関与している可能性が高い。ウィルス粒子を生殖細胞と対比する見方も面白かった
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この時期だから、読んでみた。
メディアでの露出度の高い感染症学者の視点ばかりが強調されるが、もっと足元のことが知りたい。免疫学やウィルス学、更には集団感染の現場で指揮をとったディーパットの方々の話などだ。
その中で今回選んだのがこの本。
「ウィルスって生物なの?」と立ち止まって考えたり、タイトルのように「生物とウィルスの関係性」に想像を馳せたりすることができる。
武村先生はオタクっぽくも感じるが、研究者ってこういう方が多い。そうでないと、自分のオリジナルの仮説の確からしさを解明するために何度も、挫折を味わっても立ち上がれない。(いやそんなことをしているからそういう雰囲気が漂うようになるのかもしれない)
このウィルスのナノマイクロの世界を見つめながら、「人類いや、生物に影響を与えてきたウィルスが本当の地上の主役だった」なんて仮説は普通の人間は受け入れられない。
でも、そんなウィルス主体WORLDが存在していてもおかしくない。もしかしたら、数年後の歴史と生物の教科書は書き換えられているかもしれない。
この本の情報はSF小説や映画を見るときに、かなりの考証のヒントを与えてくれるし、グッと深く楽しめるようにしてくれた。
18歳の俺が武村先生に出会っていたら、巨大ウィルス研究所の門を叩いていたかもしれない。
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タイトルの通り、ウイルスが生物の進化にどのように関与してきたかということを、筆者の考えを中心に述べてあった。筆者も述べている通り、内容の多くが仮説であったが、その仮説が非常に面白かった。というより、ここまで生物とウイルスの関わりが深かったのか、と驚きを隠せなかった。ウイルスが感染した細胞性生物の中で作り上げる様々な構造と、我々の体を作っている細胞との間にここまでの類似性があることに驚いたと同時に、本書で述べられている仮説は仮説ではなく、事実なのではないかと一人で勝手に興奮してしまっていた。もしかしたら未来の教科書に、本書の内容が載るのではないかと思った。そうなったら本当に面白い。