これはペンです(新潮文庫)
著者 円城塔
叔父は文字だ。文字通り。文章自動生成プログラムの開発で莫大な富を得たらしい叔父から、大学生の姪に次々届く不思議な手紙。それは肉筆だけでなく、文字を刻んだ磁石やタイプボール...
これはペンです(新潮文庫)
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商品説明
叔父は文字だ。文字通り。文章自動生成プログラムの開発で莫大な富を得たらしい叔父から、大学生の姪に次々届く不思議な手紙。それは肉筆だけでなく、文字を刻んだ磁石やタイプボール、DNA配列として現れた――。言葉とメッセージの根源に迫る表題作と、脳内の巨大仮想都市に人生を封じこめた父の肖像「良い夜を持っている」。科学と奇想、思想と情感が織りなす魅惑の物語。
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気軽に読める作品ではないが面白い
2020/04/14 15:59
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:妖怪カフェオレ男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作の『これはペンです』は、
「叔父は文字だ。文字通り。」
という出オチめいた一節で始まる。
しかし内容は至って真面目で難解である。
円城塔はかの安部公房の影響を受けている
だけあってシュルレアリスムの側面の大きい作品を多く生み出しているが、本作はその典型と言え、円城塔の小説を読み始めたい人にはぜひ薦めたい一方、学術用語がふんだんに用いられていることもあり、決して読書に慣れない人やその分野の知識を持たないが気楽に読めるものではない。
というか、いきなり「DNAのフルスクラッチによって書かれたメッセージ」とか述べられても大半の読書は面食らうだろう。
ただ、これらの用語はあくまで世界観を構成する一要素に過ぎず、意味がわからず多少読み飛ばしても話の筋自体は理解できるようになっているので、もしあなたがこれらの事情で読むのを途中で放棄してしまっているなら、取り敢えず最後まで軽く読み通してみることをおすすめする。
近代的な実験小説にはよくあることだが(もっとも小説に限らず、また近代に限ったことでも無いのだが)、この種の作品の内容をろくに理解せず頭ごなしに中傷するような一部の文学家気取りの者によって、正当な評価が得られているとは言えない状況であり、それを差し置いても決して万人受けする作品では無いが、是非とも一度は手にとって頂きたい一冊である。
新潮社から震災の年に出た本です。
2024/02/06 17:30
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:L療法 - この投稿者のレビュー一覧を見る
そのことが影響を与えたかどうかはわからない、北海道の人のようですが、関西人田辺青蛙が、パートナーでもあるし、阪神淡路大震災も身近な出来事だったと思われる。
現実とは何か、およびその崩壊は、円城塔がよく描く。
中島敦の『文字禍』は、文字が崩れてくる短編だ。
円城塔は『文字禍』という作品集がのちに編まれるが、この本が、その呼び水になったのだと思う。
円城塔は、文学とSFをわかりやすさで線引きしてるっぽい。
本書は、わかりやすく書かれた文学作品であり、ボルヘスへのオマージュとも受け取れる。
SFであれば、もっとわからぬものを、わからぬまま描く。そういったことと理解してる。
何が書かれてるかについて、ボルヘスなど読まぬ人でも、図面のようなものは浮かぶと思う。
円城塔の本はいつも、構造を描いている。
肉付けが多いものが純文学枠に、骨格がむき出しなものがSFに振られる。
「センス・オブ・ワンダー」という、SFを定義付ける言葉があるが、解説で奥泉光の書いている、新奇なもの=NOVELとまあ同じような考えだ。
演劇の延長としての映画ではなく、見せ物の延長としての映画。
そういった下世話さが、ワンダーには詰まっている。
円城塔はその輝きを、細部まで描こうとする。それはまあ、不可能に挑むといっていいかもしれない。
作品ごとに、円城塔が何かを見出しているのか、それとも入り口への案内、興行師の売り文句なのかは良くわかりませんが。
彼の文字を通して、どこか素晴らしい場所に連れて行ってほしい。
この本の感想ではなくなってる。
前衛的でビックリ
2022/01/24 23:06
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
シュールレアリストの自動手記か、はたまたビートジェネレーションの自発的創造性か。日本のお堅い文壇で受け入れられるのは、まだまだ先なのかもしれません。
くっだらない!
2016/10/16 22:02
9人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukiちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつも思うのだが、円城塔がなぜ、今の日本SF界の頂点といいわれるののだろう。
くだらない言葉遊びと、難解ぶった理論のこね回し。読者を小馬鹿にしたものの言い方。
それども読んでしまうのは、書評の罪だと思う。文学界は大いに反省すべきだ。