異種のミステリー小説
2024/01/20 17:06
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さくら - この投稿者のレビュー一覧を見る
日光に引き寄せられたそれぞれに疑問を持つ人物が自分の抱えた疑問と対峙する。描写が独特で自分の中に落とし込むまでに時間が掛りました。
登場人物が個性的でうらぶれた日光の 登場人物が独特でうらぶれたた日光の裏町が作品の醍醐味になっていました。
面白く拝読しました。
書店で実物を見て、手に持って。
2024/03/17 10:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:万年朗 - この投稿者のレビュー一覧を見る
京極堂「関口君、妄想の世界に在ってはならない。目の前の物をありのままに見るのだ。これは。」
関口「これは。」
京極堂「…辞書だ。」
投稿元:
レビューを見る
大好きな京極の最新作で楽しみにしていた。
が、流石に問答集的なものが多すぎストーリー展開もこんなに遅いと流石に読むのに疲れてくる。
作品の内容に心に掴まれないと言うか感情移入出来ない。
僕には少し退屈と言うか読むのに難しかった作品。
投稿元:
レビューを見る
正直感想と評価に迷う。
中盤までのワクワクや満を持しての京極堂登場や、蘊蓄語りの数々はさすがは京極堂シリーズと手放しで喜んだ。
が、現地でリアルタイムで事件がどんどん展開するわけでもなく純粋なミステリとして読めば緊迫感が薄い。鈍器ほどの長編じゃなくてもという気がする。むしろもう少しすっきりした方がとさえ感じる。
とはいえ、蘊蓄や登場人物同士の会話で示される、陰謀論や原子力や戦争やマスコミについての警句を、現代に特化した我々世代への京極先生からの憑き物落としと捉えれば非常に有効だし、最後の最後で語られるファンサービス的な一幕もたまらないファンがいるだろう。
投稿元:
レビューを見る
あえてお値段の高い単行本版で読む。
電車では立ったままでは読めないし、膝の上に置いて読むと首が痛いしで苦労しましたが、読み了った悦びたるや。
さて、これは最早巷で言われる「鈍器本」などではありません。「碑」そのものです。表紙、黒いですし。黒で縁取られ中に向かって染み込むような本文ページ!うっかり職場に持ち運んでしまった時についた傷やうっかりナンを千切った指で触ってしまった時についたと思われる脂汚れが外側に目立って仕舞い易いじゃないですか。いやそんなことはどうでも良いのですが。カバーを外すと小学生の時に使っていた緑蛍光ペンで塗りつぶしたような色合い。仮に本を見失っても、遠くから見てもそれとわかるゴツい色味です。いや、分厚さだけでわかりますねこれ。
内容ですが、レギュラーメンバー&新キャラが回転テーブルに乗っているが如く入れ替わり立ち替わり出てきます。シリーズを通して読んでいる読者は、何時もどおりにちょっとずつ交差し始めるキャラクター達や集積していく情報を存分に愉しめるわけです。ただし、今回も、そう言った「お約束」を守りつつも、巻毎に攻め手を変えてくるトリックスターぶりは健在でして。「あれ?いつもと違って新キャラが〇〇〇〇ぞ?」 そしてある意味期待を裏切るような、それでいて期待以上でもあるような、奇妙なクライマックスへ……
投稿元:
レビューを見る
蛇(一)~(六)
虎(一)~(六)
貍(一)~(六)
猨(一)~(六)
鵺(一)~(六)
鵼
蛇~鵺までの(一)から(六)までが入れ替わりに現れ、鵼に収斂していく。お馴染みの登場人物に新しい人物が関わって、少しずつ明らかになる成り行き。
長くって、蛇って主に誰だったっけ等 うろうろしながら読み終わる。独特な世界観に慣れたつもりがとんでもなかった。ちょっと疲れたけど少し新鮮だった。
投稿元:
レビューを見る
鵼というだけあって、虎の部分から見る人、猿の部分だけ見てる人、蛇の部分を見る人と一つの物事を多方面から見て全体像が見えなくなっている感じがよく出てました。今、この時代だからこそ感じられることもあり、厚さのわりにはスイスイと読み進められ、内容にも満足しました。何より、最後に明かされた他のシリーズとの関連性に興奮冷めやらず、またシリーズ読み返したくなりました。 あと、カバーとカバーを外した中の本の色の差に目がくらみそうでした…。
投稿元:
レビューを見る
今年に入って「姑獲鳥の夏」から電子書籍で再読開始。
「魍魎の匣」が中盤に差し掛かろうとしていた時。
YouTubeで告知動画を見る。
シリーズ17年ぶりの新作。
京極堂はまず紙で読みたい。
即予約。
年齢のせいか、それとも集中力散漫な性格が熟成してきたのか、1日30ページが限界。
ページ数は1273。
約40日かけて読了。
家で読んで、職場にも持って行って休憩時に読んで。
ページ少し折れちゃったり、引っ掻き傷だったり、ちょっと汚れちゃったり。
この本に愛着湧きすぎて、読み終えても机の上に置きっぱなしで1週間経ちます。
とても面白かったです!
投稿元:
レビューを見る
図書館の新刊棚にあるのを見つけてしまったからには、読まなければ。
懐かしい、ああ、こんな感じだった、と思い出す。
何も起こっていない、騒ぎでこれだけの物量。
すでに解っている結果へ向かっての、ものすごい語り。相変わらずだな、京極堂。
榎木津も相変わらず破壊力が絶大だ。
ハードカバーと新書版があるようで、今回はハードカバーだったのだが、ページの端が黒く、段組みがないので読みやすいというか、余白が多いというか。
新書版はもっとみっちりなのかな。
投稿元:
レビューを見る
シリーズを読んだことがなく、この本から読み始めた自分が悪い。
やはりシリーズものは順番に読むことに意味がある
投稿元:
レビューを見る
17年ぶりの長編とか言われると、自分がいつの間にか年取ったことに気づかされて愕然とする…
私の読書記録ノートによると「姑獲鳥の夏」を読んだのは1998年(平成10年)で、なんと26年前でした!
恐ろしいぃ
その後何回も読み返しているし、途中短編も読んでるからそんなに久しぶりな感じはなかったですが
作中の会話に出でくる事件がどんなだったか、すっかり忘れてる部分もあり
あれ~??となりながらも、特にストーリー的には問題ないので、読み進めました
いつもながらに「厚み」が凄い
ちょっとした辞書の厚み(約6cm)だったから笑ったわ
とてもじゃないけど、持ち歩けないし、ゴロゴロしながら読むも不可
厚ければ厚いほど、ワクワクしながら読むからいいんだけどね
内容としては、いつもながらあちこち色々絡まりながら、最終的に京極堂が祓っちゃうパターンです
今回は、ちょっとあっさりしてたかもなぁ
緑川さん(女性)という魅力的なキャラが登場したけれど、あの方は別な話にも出てたのかなぁ?私の記憶には無いんだけれども、自信はない
また続きがあるなら緑川さんの活躍に期待したい
五味太郎さんが、ドキュメンタリーの中で
「男女平等とか人権尊重とか、そんなのあたり前でしょ?
言葉が出来たから不平等に目が行くし、尊重されてないって思うのよ」
みたいな話をしていたと私は記憶してるんだけど、
言葉が出来るということは概念、文化が出来たってことなんだよね多分
みんなの心の中にモヤモヤと形になりきらない「何か」はあったんだけど
それに名前がつけられたことによって、厳然と「ある」ことになっちゃうのよね~
鵼もそんな感じだったのかも知れないね
投稿元:
レビューを見る
過去作については事件があったことが触れられるくらいで主要キャラクタを知っていれば内容的には憶えてなくても問題なし。前半は何を読まされてるんだろうといういつもの感覚。そこを我慢して後半からエピローグに向けて収束していくのは流石。本作の主人公?は誰だったのかな。腐れ縁にもう一人幼馴染みが加わって楽しく読めました。後半は。
投稿元:
レビューを見る
折角この判型を買ったわけだから装丁から記録する。日本人は七センチ以上の厚さの本は持てないのだよセキグチくん。ギリギリだ。ページの周りに向かって黒くなるグラデーションが施されており酩酊感を誘う。カバーを外せば蛍光イエロー。目線よりも高いところに立ててみるのだ。そう。それはあの…崖の上の…神秘…科学…いや化物…
こだわりがすごいです。こうでなくっちゃ!
物語の残りが10分の1になるまで「厚いのに薄いわ。先生、お約束を守るために引き伸ばしたのね」なぁんて考えてましたごめんなさい。さすが17年は短くない。シリーズ過去作のみの読了では掴めないんですね?そっちもちゃんと読まねばならんのですね?からくも読んでいたので終盤「あ?…あぁっ…!!」と違う方向から感動を持ってこられました。なんとまぁ…
科学と不思議と信仰とお化けと陰謀と。似ているものほど要注意。キメラにしてはいけないよ。
お化けや妖怪というものの持っていた役割がやっとぼんやり分かってきました。島国日本の精神的発明。記録になかった、或いは、もはや読み手が読み取れなくなってしまった物事を、多くの文字を費やして現わしてくれて感謝。
ミドリ君ナイスキャラでしたが、どこかで出た事あったっけ?多分あるんだろうなぁ。本腰入れて追い直すかぁ。
幸運にも京極先生の講演会を聴ける機会に恵まれて、結局読了はぜんっぜん間に合わなかったけど、内容はきっちり新作に合ってましたし、マジで時間ピッタリに終わるし、決め台詞ちゃんと言ってくれたし、お声素敵でした。もちろんあのカッコでした。
投稿元:
レビューを見る
[1]ひたすら「うにゃうにゃ」が続きストーリーは例によってほとんど存在せず「うにょうにょ」愉しみ続けるための作品を充分堪能しました。「うにゃうにゃ」だけでこの厚さ読ませるんやから凄いチカラです。あるいは日本には珍しい議論のある小説と言えるのかもしれません? 多々良先生が出てないのは残念かも。固有名詞を忘れたとき「ぬ」と言う彼は今作向きやと思っていたのですが。その代わり? どこかで会ったような人物たちが登場。新キャラの緑川さんにはまた出てきてほしい。
[2]バラバラな情報が少しずつリンクしていくのですが今回はなんせ最初からヌエやって言うてるんでたぶんリンクさせへんほうがええんでしょう。
[3]単行本、コレハ広辞苑デスカ。
【蛇】主人公は脚本家の久住加壽夫。場所は日光。連れはあの関口巽センセ。父を殺したメイド桜田登和子の話から、引っ張り出せなくなった記憶忘れてしまっていることすら忘れてしまっているしかし実はどこかに残っている記憶というものの話に。
【虎】薬剤師の御厨冨美が薔薇十字探偵社に行方不明になった薬局の主人寒川の捜索を依頼する。対応するのは益田。寒川の足取りは日光。虎はかつて理研が研究していた原子力の兵器利用? 考えすぎでしょ。
【貍】木場たち刑事、元刑事が軍鶏鍋をつつきながら談話から始まり消えた三つの殺人死体の謎。予断から言うと寒川の父と笹村の両親だろう。木場、桜田と出会う。彼女の祖母は猿が光ると言っていたらしい。夜光塗料でしょ?
【猨】築山公宣が主人公。輪王寺(日光にある)で最近発見された古い長持に収められている古文書や経典を調べている。友人の中禅寺秋彦や後輩の仁礼将雄が協力しつつ楽しく宗教談義。神道、特に天海が作り上げた山王一実神道や、仏教と神道の関係あれこれ。築山は中禅寺に対して敬語を使っている。光る猿を殺した男、敬った男。西遊記。築山、寒川と出会う。
【鵺】少女のように見える緑川佳乃が主人公。桐山寛作出会う。緑川はどうやら関口、中禅寺、榎木津の古い知人らしい。冷静でリアリストな緑川は魅力的。
【鵼】京極堂がすべてをほぐす。どこかで出会ったような人たちも登場。
■今回の簡単な単語集
【青木文蔵/あおき・ぶんぞう】こけしのような頭の、警視庁刑事。木場衆太郎の後輩。降格させられて「邪魅」では当初交番勤務の制服警官。その後木場よりも早く本庁に戻った。木場から教わったという「百聴いて一使えれば大収穫だ」という言葉を信条にしている(木場自身は覚えていないが)。組織の中に組み込まれて初めて機能するタイプという自己分析。中禅寺敦子に好意を抱いてはいるが恋愛感情と言えるかは微妙。敦子にとっては兄の友人の戦友の元部下。
【足尾銅山】意識したことがなかったけど日光にあったのだとか。
【伊佐間/いさま】牡蠣が食えなくなっていた釣り堀屋の主人。
【伊庭銀四郎/いば・ぎんしろう】元刑事。「眼力の伊庭銀」と呼ばれていた。木場に負けず劣らずの強面。
【一白翁】戯作者の菅丘李山(すげおか・りざん)が晩年そう名乗った。中禅寺の曽祖父と交流があり化け物遣い(化物のせいということにして事を収める者)たちとも懇意にしていたらしい。某山岡百介さんが晩年この名を名乗っていたような気も。
【今出川広彬/いまでがわ・ひろあきら】久住のパトロン。榎木津礼二郎の母方の祖父。今出川欽一の祖父。
【陰謀】中禅寺《隠されているから悪事とも限りませんしね》鵼p.670
【榎木津総一郎/えのきづ・そういちろう】礼二郎の兄。商才がありホテルなどを経営している。
【榎木津礼二郎★/えのきづ・れいじろう】天下無敵の薔薇十字探偵。推理もへったくれもなく「いきなりわかってしまう」特殊能力を持つ。具体的には見た相手の視覚的記憶が脳内に展開されてしまう。超美形でスタイルもよく見栄えは良いし、強い。ほぼ無敵。傍若無人・傲岸不遜な性格、粗暴で非常識で支離滅裂な言動がすべてを台無しにしている。作中でも最も印象の強いキャラクタではある。反社会的ではなく脱世間的。個人的イメージは白洲次郎さん、ルックスの個人的イメージはドラマ「ガリレオ」の福山雅治さん。作中の年齢に合わせると、これがいない。難しいけど福士蒼汰さんにフォーゼのテンションで。父親は元華族で大財閥の主。金持ちのボンボンだが現在実家の支援は受けていない。《榎木津にとって敵対者を除く凡ての人間は、下僕なのである》邪魅p.42。京極堂の友人だが《榎木津絡みの話は凡て遠慮する。》邪魅p.176。《榎木津の凄いところは――余り褒めたくはないのだけど――その非常識な能力自体ではなく、世界を社会や世間や個人と強引に接続してしまう生き方にこそあるのだと思う。》邪魅p.289
【榎木津礼二郎の父】礼二郎と総一郎の父。財閥のトップで元子爵。
【大柴金弥/おおしば・きんや】笹村の大家。六十八歳、キンカ頭。
【可児卓男/かに・たくお】寒川薬局の経理と在庫管理を担当している。四十五六だが貧弱な見た目で三十そこそこにしか見えない。
【記憶】関口《忘れると云うのは見付からないと云うことだと思いますよ。》鵼p.165。関口《僕が思うに、我々は、記憶と云うものが生きて行く上で必要不可欠なものなんだと――脳に思い込まされてあるんじゃないでしょうかね》鵼p.171。中禅寺《記憶するのは簡単なことだよ。記憶しようとしなければいいのだ》p.474
【木場修太郎★】こわもて刑事。通称「キバシュウ」。関口は「旦那」と呼ぶ。主要人物中もっともまとまな人。でも京極堂や榎木津にほぼ同等に対していられるのだからじつはかなりすごい人なのだ。警察の中では極めて異端。元は警視庁刑事部刑事課だったが麻布署刑事課に飛ばされた。《全財産を常時携行している》鵼p.550。個人的イメージでは仲代達矢さん。作中の年齢に合わせると難しいけど、鈴木亮平さんか桐谷健太さん。
【キリヤマカンサク】日光の案内人らしい。寒川の調査上に上がっていた。緑川が出会った桐山寛作というマタギのことだと思われる。
【久住加壽夫/くずみ・かずお】鵼の「蛇」の章の主人公。劇団月晃(げっこう)の座付き作家。日光榎木津ホテルに滞在中。地蔵の数を数えていた関口巽と知り合う。けっこううまく対してはるんで感心。パトロンの今出川広彬(いまでがわ・ひろあきら)の指示により何らかのかたちで能(「鵼」という曲)を題材にした斬新な脚本を書かなければならない悩���と共に部屋の担当メイドの桜田登和子が父親を殺したと告白したことを打ち明けた。
【刑事】伊庭《この商売は何だかんだと引き摺るもんだろ》鵼p.208
【国立公園調査会】内務省の肝煎で作られた組織。寒川の父、英輔はそういう名前の組織のメンバーだったようだが内務省の組織とはまた別物かもしれない。
【小峯源助/こみね・げんすけ】仁礼が泊まっている民宿、小峯荘の親爺。
【西遊記】築山たちが調べている長持ちから出てきた西遊記は世特堂(せいとくどう)の『新刻出像官板大字西遊記/しんこくしゅつぞうかんばんだいじさいゆうき』なのだとか。
【桜田登和子/さくらだ・とわこ】父親を殺したと久住に話した女性。日光榎木津ホテルに勤める久住の部屋の担当メイド。一年前は粗忽で明るい新人メイドだったのが一年後には完ぺきなメイドになっていたのだが瞳が濁っていた。蛇が嫌いらしい。
【笹村市雄】仏師。両親が二十年前の昭和九年に殺された事件を調べているらしい。メモを元に寒川秀巳の父にたどり着き墓前で寒川秀巳と出会った。去年の秋口に半年分の家賃を持ってきて(合計十ヶ月分先払いとなる)旅に出て以来消息不明。妹がいるらしいが両親の死後、ともに日光の知り合いに預けられた。出てくるようでなかなか出てこず、つかみどころがなく混迷のキーポイントになってるような気もする。あと、どっか余所で出会ったことごあるような人物です。某山岡百介さんの知り合いに笹村姓の人物がいたかも。
【笹村倫子】笹村の妹。美人メイド。いい匂いがするらしい。
【笹村澄代/ささむら・すみよ】笹村の母。
【笹村伴輔/ささむら・ともすけ】笹村の父。父の与次郎(よじろう)が興した一白新報という小新聞(こしんぶん)をやっていた。何かを調べていたらしい。
【郷嶋郡治/さとじま・ぐんじ】公安一課刑事。木場をして目付きの悪い悪党面と言わせる。蠍と呼ばれている。戦時中は山辺機関に配属されており京極堂の同僚だった。中野学校設立を隠密裡に支援した。個人的イメージでは松重豊さん。作中の年齢に合わせると綾野剛さんあたりか。
【寒川秀巳/さむかわ・ひでみ】寒川薬局経営者。日光で「碑が燃えていた。」とか「父さんは虎の尾を踏んだのかも」とか言っていた。
【寒川秀巳の父】英輔という名前らしい。植物学者。二十年前の昭和九年に崖から転落死した。警察は事故死と断定。その後、何かを探索しているさなかに、何か「厄介なもの」を見つけたらしいことがわかる。二十年を経てから寒川秀巳は父の不審死と向き合うことにし、何かを調べていたようだ。その途中物資の笹村と出会う。
【寒川薬局】御厨冨美が勤務している。元久遠寺医院が経営していたが独立、採算が合わず閉店しそうだったが久遠寺に世話になったらしい寒川が買い取った。
【時期】昨年は、箱根山で坊さんが大勢殺される事件が起こった。白樺湖の新婦殺害事件、大磯の連続毒殺事件、伊豆の殺人事件。一昨年は武蔵野バラバラ事件、逗子の事件。現在進行系で辻斬り事件。
【習慣】伊庭《つまらん理由で始めたこと程、続いちまうんだよ》鵼p.207
【種子真言/しゅじしんごん】一音かニ音で仏様の凡てを表す。不動明王の種子真言はカン、���ンなんだとか。他に長い真言もあるらしい。
【知る】この世には《知ることの出来ない領域と云うのが確実にあるんですよ、と関口は云った。》p.307。《人は、その領域に就いて考えることが出来ないんですよ。だから、考えないようにしている――違いますね。考えられないように出来ている、のかな》p.308。《僕にとって世界は不安に満ちているんですと関口は云う。》p.310
【信仰】《信仰とは、正しいか否かという問題ではなく、正しいと信じるか否かと云う問題なのである。》p.361。それは当然そうなわけで、信仰も鵼もあとから名付けられるようなもの。《人は信仰するために宗教を創るのです》鵼p.374
【関口巽★/せきぐち・たつみ】陰鬱な小説家。京極堂や榎木津の古い友人。学友だっけ? 木場にとっては軍隊時代の上官。百鬼夜行シリーズの、個人的には主役やと思ってます。情けなさが異常なまでに高まっているある意味すごい人。まったく無関係でも「お前が犯人やろ!」と追及されたら「僕が犯人かも…」と自白しそうな人物。しかもそういうシチュエーションを呼び寄せてしまう。《それはもう莫迦莫迦しいくらいに事件に巻き込まれる男なのである。》鵼p.185。益田《歩いてるとこ見ただけで、駄目だなあと思うでしょうに。何だか攻撃しなきゃ悪いような気になる》(百器徒然草風p.249)。《小説家であることに行き詰まっているようだった。それでなくとも関口は、能く人間で居ることに行き詰まるのだ。》邪魅p.397。《僕が駄目なのは、何もかも個人的なことに置き替わってしまうことなんだな》邪魅p.589。益田《関口さんは犯人顔なんですよ》邪魅p.590。とことん自信を持てない。《僕は自分の目も耳も信用してません。》鵼p.70。《思う程に人は他人に期待しないものですよ》鵼p.153。鵼ではいつもよりしっかりしているように見える。こんなの、ぼくの好きな関口センセじゃない!! いちおう作家なので世間的には「先生」と呼ばれている。超美形やったりするとおもしろいんやけど《どちらかと云えば無骨な面相なのに、不釣り合いに睫毛が濃く長い》(鵼p.52)とあるのでそうはいかないかなあ。なんと妻帯者。個人的イメージでは大泉洋さん。作中の年齢に合わせると、菅田将暉さんなら上手くやってくれそう。
【田貫屋/たぬきや】木場が日光で泊まった安宿。自殺したがっている娘や常連の仏師(予断で言えば笹村でしょう)が泊まっている。
【駄目なもの】《駄目なものが集まる駄目な場所は、町と云う不自然な人工物の瓦斯抜きのような役割を持っているのだ。表側の体面を綺麗に保つためには腐った裏側が要る。木場はそう思う。》鵼p.554。《悪いものごとは必要ない。》《しかし、駄目なものは――きっと必要なのだ。》鵼p.555
【近野/ちかの】麻布署での木場の上司。係長。長谷川によると木場を買っているらしい。
【知識】久住《知識と云う奴は思う程に役に立たないものなのかもしれない。》p.45。《人は、生きるのに必要なことだけを、きちんと識るものなのだ。そう云う風に出来ているのだ。》p.46。関口《僕が識っていることの意味は、僕にしかないんですよ。》p.59
【中禅寺秋彦★】古本屋にして祓い師(家業が武蔵晴明社の宮守で副業が憑き物落としの拝み屋)。特に信仰心はないようだ。博���強記のクールな男。榎木津の対等な友人。百鬼夜行シリーズではの探偵役、というかコトを解決する役。悪魔的に弁が立つ。《まるで怪しい魔術のようである。》《いつも死ぬ程機嫌が悪そうな顔をしている。》(by本島 風p.81)。敦子は《兄は多分、言葉で出来ている。》と思う(鬼p.7)。《僕は嘘しか云いませんよ》邪魅p.809。敦子《兄が出張るから解決するのではなく、解決の目処が立ったからこそ兄は出張るのである。》(河童p.62)。《この世には不思議なことなど何もないのだよ》鵼p.538。個人的イメージではちょっと古いけど岸田森さん。作中の年齢に合わせると佐藤健さんかな。仮面ライダーばっかりになってもうた。アニメ化する場合の声優なら津田健次郎さん。
【築山公宣/つきやま・こうせん】鵼「猨」の主人公。輪王寺の文書の整理などのために招聘されている。僧籍はあるが住職ではなく、学僧と自称しているがそういう身分は存在しない。
【寺尾美樹子/てらお・みきこ】寒川薬局に勤める薬剤師。御厨の先輩。四十過ぎに見えるがまだ三十前。口が悪い。本人が自分の名前を言うときどうしても「ミギ」という発音になってしまうので御厨も「ミギさん」と呼んでいる。
【徳山丑松/とくやま・うしまつ】日光の漆塗り。桜田登和子のご近所さん。
【突飛】中禅寺《突飛な方が信じ易いですからね》鵼p.675
【鳥口守彦/とりぐち・もりひこ】『月刊實録犯罪』の記者。大柄で逞しい。中禅寺敦子とは縁がある。元カストリ雑誌とはいえ、鳥口自身はけっこう誠実な記者。
【内務省】巨大な組織だったらしい。警察もその一部で特高はさらにその一部、地方行政も、土建も、神社も管轄していた。
【長門五十次/ながと・いそじ】警視庁のヴェテラン刑事。腹芸の通じる人物。本庁時代の木場の相棒。
【名前】《どんなものでも名前は後から付けられるものですよ》(鵼p.71)
【奈美木セツ】気の強い娘。二十歳前。通いの家政婦。誰もが中華そばのどんぶりの模様の童子を想起するらしい。京極堂と知らない仲ではないらしいがどっかで出たっけ? 織作さんのとこにいたと言う話やけど誰やったっけ。粗忽で雑でお節介で詮索好きでおしゃべりで勤勉で一所懸命。鵼にも日光榎木津ホテルのメイドとして登場。関口の部屋の担当。
【日光の山山】《日光の山山は、決して雄大ではない。どちらかと云うと荘厳である。豊かさや大きさに関心するより先に、厳かさや強さを覚える。険しいと云う程に聳え立ってはいないし、人の侵入を拒むような鋭さはないけれど、その深さが凄みに繋がっている。》鵼p.48。《山山が本質なのかなあと、関口は独りごちた。》鵼p.163
【仁礼将雄/にれ・まさお】築山公宣の大学での後輩。現在は史学科の教授の助手。専攻は古代の社会制度史。
【ヌエ】《御身の生は、殺されたからこそ出來たので御座いませう》鵼p.38。京極夏彦さんのいつもの感じからするとヌエはいない、すべて終わってからヌエと名付けられてヌエとなったという感じで進むのではないでしょうか。
【長谷川/はせがわ】麻布署での木場の同僚。アメリカの歌手のような髪型。
【藤村】小松川署の古株刑事。署内で最も人望と信頼がある。
【文化��中禅寺《文化は恣にすることは難しいが、簡単に壊せるものだから。》鵼p.366
【益田龍一/ますだ・りゅういち】薔薇十字探偵社の探偵見習い。実質は下僕。元神奈川県捜査一課一係の刑事だったが榎木津と出会い退職し、探偵社に勝手に入ったが特に拒絶はされなかったのでそのまま居着いている。人殺しは勿論あらゆる暴力を嫌う。前髪が鬱陶しいらしい。ルックスの個人的イメージでは『究極超人あ~る』のあ〜る。《僕自身、溢れちゃって収拾つかなくなりますから。》鵼p.80。世間一般の探偵が受ける仕事は彼が受けて調査し、報酬を得て、自分の給金を捻出している。幇間のように軽佻浮薄の革を被っているがが本来の下降指向を隠すためという面が強い。「マスカマ」と呼ばれている。《益田は、既に何かを諦めていたのである。》邪魅p.503。団子屋のおかみ《あんあたね、なってないよ。他人の話の腰を折る奴ってのはいるけど、自分の話の腰を折り続ける奴なんていやしないからね。あんたの話の腰は折れっ放しだよ。》今昔百鬼拾遺/河童p.98
【マタギ】高野派と日光派があるんだとか。山で生き物を殺してもいいという認可を与えるのはそれぞれ弘法大師と日光権現(山そのもの)。
【迷い家】山の民の寺というか公民館のようなもの。
【御厨冨美/みくりや・ふみ】鵼「虎」の章の主人公。薔薇十字社の依頼人。三十前の薬剤師。勤務先の寒川薬局の主人、寒川秀巳が行方不明になったので捜してほしいと依頼してきた。どうやら恋人のようだ。楽天家で何も考えていないように振る舞うことで自分を守っている。義母に虐待され、夫が戦死し、栄養失調で弱っていた娘は空襲から逃げている間に事切れた。登場人物の中でいちばんつかみどころがないかも。
【緑川佳乃/みどりかわ・かの】病理学者。大叔父のいた診療所に来ている。大叔父は理化学研究所に在籍していた研究者だったらしい。皆が探しているキリヤマカンサク(桐山寛作)と出会う。個人的イメージでは高畑充希さん。
【安田】輪王寺で築山たちの世話をしてくれてる(たぶん)お婆さん。
【幽霊】緑川《幽霊って、怨みやら未練やらを残したから出て来ると謂われがちなんだけど、それ、違うよね、居ないんだから。あれ、生きてる人が死人とコンタクトを取るために創られた装置なんじゃない?》鵼p.1110
【弓偏】刑事の隠語で強姦、強盗など「強」がつく犯罪のこと。
【嘉助/よしすけ】「石山ン処の嘉助」なので石山嘉助か? 光る猿を撃ち殺した大工。
【理化学研究所】澁澤榮一肝煎りの科学研究機関。純粋な研究をお金に替える仕組みを作ったところが秀逸。
投稿元:
レビューを見る
ノベルスを読んではみたものの、17年も経つと、自分自身が年をとっているわけで、字が小さくてみつしりで、読むのが大変。
・・・というわけで、コチラの単行本の方も手にしてみた。
重い、厚い。
でも、ページが大きくページ数も増えているので、字が大きい!行間広い!で、読みやすい。持ち運ぶ必要がなく、自宅で読める方ならば、こちらをおススメしたいです。