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名探偵夢水清志郎事件ノート みんなのレビュー

  • はやみねかおる, 村田四郎
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みんなのレビュー37件

みんなの評価4.3

評価内訳

43 件中 1 件~ 15 件を表示

二重の袋とじ本って、ナンダ?こればっかりは図書館で借りたんじゃあ、愉しみを味わえません。一家に一冊、袋とじ。あ、でも変な期待しないでね、オトーサン!

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「おなじみ名探偵夢水清志郎事件ノート、今度は魔術師が作った館に起きた人間消失と脱出の謎に挑む」本格推理。
今回の売りは、児童向け推理小説として初の袋とじ本。しかも二重に封印されているというのがミソですね。どういうことかは、本を手にして確認してもらうしかありませんが、小学校の低学年だったら、わけもわからず泣いちゃうかも、お母さん、よそしく。ただし、村田四郎の絵は、今回はすこし崩し過ぎ。
タイトルとなる長編の前後を、短編で括るお馴染みの構成。最初は、虹北学園文芸部の文芸部誌『それわた』の原稿締め切りに追われる中学三年生岩崎亜衣の話です。彼女が何とか書き上げた推理小説の謎に夢水挑むという二重構造になっています。それは雨の降り続く、虹北学園の野球部部室で起きた密室事件だった「六月は雨の〆〆密室」。
メインの話は、海外で評価の高い魔術師グレート天野、引退した彼が作った『ミステリーの館』に招待されたお馴染みの面々、岩崎姉妹に中井レーチ、上越警部や岩清水刑事など。地下の迷路もあるという壮大な館を舞台に、幻夢王の挑戦が始まります。消失マジック、脱出マジックの謎を夢水が空腹をこらえて解き明かす「『ミステリーの館』へようこそ」、二重に封印された部分が何ともミステリアス「赤い夢へようこそ」。
いつも長編では機械トリックがメインになって興ざめすることが多いのですが、短編は相変わらずモダンな推理でスマート。その点で言えば、今回の最大のトリックは、造本にあるといったら怒られるでしょうか。離れ技を袋とじ部分で見せてくれています。レーチと亜衣のロマンスは、正直うんざり気味ですが、子供たちは、この造本トリックに驚くことでしょう。
ともかくこの袋とじ本には、はやみねの思い入れがあるらしく、あとがきで、B・S・バリンジャー『歯と爪』、島田荘司『占星術殺人事件』という二つの封印本との衝撃の出会いを紹介しています。はやみねの言葉では、児童書で袋とじ本というのはこの本が初めてとのこと。しかも二重の袋とじ。冒頭にも書きましたが、初めてこの本を手にした少年少女や、読書慣れしていないお母さん達が慌てないこと願います。
といっても、今回の袋とじは、泡坂妻夫の洒落たアンカットのフランス装本不良品扱い事件のような、混乱を引き起こすほどのものではありません。子供たちはワクワクしながら読むのかもしれません。むしろ、この袋とじで最も困ったのは、著者が言うように製本会社だったのかもしれませんね。

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紙の本機巧館のかぞえ唄

2006/06/28 19:48

小学校の先生をやめて、はやみずが満を持して送る一冊。メタミステリ、人間消失、そして大飯喰い、どれをとっても面白い

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「老推理作家の平井龍太郎の自宅である機巧館で開かれた記念パーティ。屋敷から作家が消えた。招かれていた探偵 夢水清志郎は」推理小説。はやみねファンには怒られるかもしれませんが、彼の仕事の中で唯一、楽しんでいるシリーズです。
こんかいは夢水ものの第六作だそうです。前作のあとがきで「今度はがちがちの本格」と宣言しただけあって、かなり高度な叙述推理、というかメタミステリといえるでしょう。これを本当に理解できる小学生がいるんでしょうか、他人事ながら気になります。
話はかなり複雑で、全体は三部構成というのはいつものとおり。といっても第一部「怪談」と三部「さよなら天使」は独立した作品で、前者は岩崎亜衣、真衣、美衣の三つ子姉妹の個性と、彼女達が語る話の謎でもない謎を強引に解き明かしていく夢水の探偵術がユーモラスな作品です。後者は、村田四郎の挿絵に出てくる赤ん坊がとても可愛らしい好編。これだけでも、読む価値はあった、そう思います。
そして中心となるのが第二部「夢の中の失楽」、話自体が二部に分かれ、さらに三章づつに別れいぇいます。前半は、推理小説界の老大家が三姉妹やレーチ、そして夢水を招いた機巧館でのパーティの様子と、老作家の別れの言葉とも言える作品執筆宣言などが中心で、相変わらず夢水の食べっぷりが見事です。
後半が、消えた老作家と殺人事件。それにタイトルが絡んで、とても小学生を対象にしたとは思えない本格的なメタミステリになっています。ここでも三姉妹と夢水のやり取りが楽しいのですが、犯人消失のところもかなりいけるものとなっています。レーチの眠る姿も可愛いのですが、それがどこかは読んでのお楽しみ。ともかくタイトルの意味が良く分かります。
あとがきに、かなり苦労したとありますが、その理由が振るっています。解説は同じく推理作家の辻真先。これだけでも青い鳥文庫として異色といえるでしょう。少し持ち上げ過ぎの気がしないでもないのですが、再読に耐えうる、というか再読しなければ本当のところが分からないといっても良い傑作です。
これだけ安定した作品を書き続け、子供たちに愛されるシリーズを作り出したのですから、小学校の先生を辞めて、作家生活に入ってしまった、というのもわかりますが、では彼にとって教員とはなんであったのか、単なる飯の種であったのか、と皮肉のひとつもいいたくなります。うーん、新しい門出を祝いたいのですが、我ながら人間が小さい・・・

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紙の本ギヤマン壺の謎

2006/02/28 23:03

この「六地蔵事件」、私は傑作だと思うんですよ。夢水シリーズは、はやみねにとってだけではなく、日本の児童ミステリの水準を大きく変えた、そう思いますが、とくに今回は、お見事

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「19世紀のエディンバラで起きた路地裏での追跡劇。消えうせた犯人の謎を解いたのが、日出る国からきたという夢水清志郎左右衛門。かれが出島に現れて」推理小説。
おなじみ夢水清志郎シリーズの外伝、大江戸編です。
出島にある南京錠が掛けられた15番蔵から、ギヤマンの壷が消えた。左門の旦那に連れられた麗一は、宗之進に執拗に質問を繰り返すが、犯人らしい人間は浮かび上がって来ない。宗之進が思い出したのが、最近出島に現れた黒眼鏡姿の、物忘れの激しい年齢不詳の男「ギヤマン壷の謎」。
江戸に向う清志郎左右衛門が、道中をともにしたのが才谷梅太郎。2人が拾ったお金で木坂の宿。途中で地蔵が倒れているのを並べなおした二人が、宿を出て再び旅を始めたときに見たのは、昨日綺麗に並べた6つの地蔵が、全くちがう場所に綺麗に並んでいる光景だった「六地蔵事件」。
ほかにも、竹光で真剣と渡り合うことの出来る心優しい武士 中村巧之介と新撰組との出会いや、江戸に到着した清志郎左右衛門が亜衣、真衣、美衣と会い、見世物小屋に現れる大入道の謎をとく話など、実に盛りだくさんです。
個人的には、平和を錦の御旗にすれば、どんなことでも絶対に正しいという巧之介の考え方なは、必ずしも好きではありませんが、小学生以上が読書対象であれば、それもやむをえないかな、なんて思います。
どの話も小味な印象ですが、すっきりした謎解きはいかにも心地よいものです。やはり登場人物がいいと、話し全体も楽しくなるという好例でしょう。時代ものに始めて挑んだというぎこちなさと、新しい設定に喜ぶ作者の初心な気持ちが爽やかで、好ましい佳品といえるでしょう。江戸時代の長屋の図面もついていて、話の理解に大変役立ちます。
子供の本だから、ではなくて大人の本にも図版や絵をつけることは必要だ、とつくづく思いました。

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紙の本消える総生島

2006/06/12 19:41

やっぱりメイントリックが海外ミステリの名作のそれに酷似しているっていうのはねえ、後日、それを読むひとには不親切だと思うんです。漫画などで安易にトリックを借用するのもどうだかねえ・・・

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「映画に出演することになった岩崎亜衣、真衣、美衣の三つ子の姉妹。撮影現場の総生島で起きる消失の謎」本格推理小説。
名探偵夢水清志郎シリーズ第三弾です。青い鳥文庫ですから、対象は小学生上級以上ということになりますが、大人でも十二分に楽しめるところがこのシリーズのいいところでしょう。
オーディションで万能映画に出演することが決まった岩崎亜衣、真衣、美衣の三つ子の姉妹。その話を聞きつけた夢水清志郎は、映画会社の社長に自分を売り込んで、探偵として彼らの撮影に同行することにしてしまいます。
彼らが向かうのが、タイトルにもある総生島。そこには万能財団が巨費を投じて建設した館 霧越館があります。そこで万能映画が目指す理想の推理映画が撮影されるのです。そして島に集まった13人の人々。以前の事件で知り合った上越警部も見守る中、彼らが乗ってきた船は爆破され、彼らは島に孤立するのです。もう完全に本格推理小説の舞台が準備されたといえますね。
起きるさまざまな消失劇。人が、山が消えていきます。事件の背景にあるものは何でしょうか。そして事件の真相は。
これを先に読んでしまってからクイーンの名作中篇を読む人は不幸ですね。ミステリの骨格はしっかりしているし、動機も納得がいくのですが、肝心のトリックが過去の名作を利用したような印象を与えるのは問題でしょう。勿論、食い意地の張った名探偵夢水清志郎と三姉妹のやり取りは、大人でもニヤリとしたくなるほどに面白いのですが。

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紙の本笛吹き男とサクセス塾の秘密

2007/03/07 21:12

いつものことですが、ミステリの部分はいい。でも夢水の大食漢ぶりなどはユーモアになっていない。登場人物も、これじゃ維新に負けちゃうぞ

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

久しぶりのはやみねかおる、というか名探偵夢水清志郎です。図書館の青い鳥文庫コーナーを覗いていたら奇跡的に見つけました。汚れた様子もなく、新刊だとばかり思っていたら奥付を見ると3年前の作品。はやみね作品といえば書架を覗いてもほとんど貸し出されているので、これは間違いではないか、そう思いました。
で、さっそく家に帰って大学受験で失意の中にある高三長女に「はやみねの新作だよ、どうして貸し出されていなかったんだろう」って聞きますと「最近は、村田四郎の絵より可愛いく描かれた子どもが活躍する小説が増えて、はやみねにこだわる理由が無くなったんじゃない」とズバリ。うーむ、たしかにシリーズ10年ともなると周囲も変わるか・・・確かに西尾維新『化物語』に出てくる少年少女のほうが可愛いしなあ・・・
帯の文句は
「名探偵夢水清志郎事件ノート」シリーズが、
————ついに10周年!————
怪人笛吹き男vs.夢水清志郎
世紀の対決!!
待望の最新作
第12弾
カバー折り返しには
「どこからともなく聞こえてくる、
あやしく響く笛の音・・・・・・。
笛吹き男が子どもたちを、
夢の国へといざなうのだ。
さあ、赤い夢の世界へ、
ようこそ!」
カバー裏の内容紹介は
「夕暮れの街で、一つの都市伝説がさ
さやかれる。笛吹き男が、子どもたち
を夢の国へ連れていってくれる、と。
うわさの中心は、かならず成績が上
がるという評判のサクセス塾だった。
夢水は、岩崎3姉妹らと、サクセス
塾の合宿に潜入。すると、笛吹き男
は、生徒130人を消してみせる、と
予告してきた! 夢水は、笛吹き男
を止めることができるのか?
シリーズ10周年を飾る、第12作!」
とあります。 で、目次を見てビックリ!長いのです。これを写しても時間の無駄。ということで、構成が分る程度に端折ると
主な登場人物
OPENING
第一部 二つの都市伝説
第二部 三日間の奇跡
ENDING
あとがき
はやみねかおる作品リスト
となっています。圧巻は、巻頭の「主な登場人物」でしょうか。見開きに2頁にわたって村田四郎描く似顔絵つきで紹介されるのは、ナント18人。うーん、これを見ると伊藤真里さんて好みかも・・・。でも今回の小説で殆ど活躍しない人まで出てくるのは、ちょっと使いまわしみたいでいやだな・・・それに黒姫はもっと美人でなきゃ、話と合わないし・・・
でも、推理はいいです。深夜に街を徘徊しているはずの人間がビデオに映らないことや、月食そのものが消えてしまう謎は見事に解決されます。好きですよ、このさりげない論理性。新キャラである黒姫こと小野田硝子も栗山千明を思わせて悪くない。星野英雄、小川健太郎という少年二人もいいし、高校受験を控えて真剣になっているレーチも好ましい。
児童ものによくある男の子と女の子の恋愛ごっこみたいなものが影を潜めたのも好感度アップ。でもねえ、推理をしていない時の夢水清志郎、特に食事をめぐる彼の卑しさは、今回はちょっと行き過ぎ。笑う気がしません。ユーモアにならない。むしろ物語りの足を引っ張っているんじゃあないでしょうか。こんなところも維新『化物語』に敵わない。
ここらがいまいち人気が伸びない理由?ミステリとしてよく出来ているだけに、勿体無いなあ、なんて思っちゃいます。

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紙の本徳利長屋の怪

2006/02/27 22:06

子供の本で、無理矢理明治維新が立派なものだった、倒幕は正しかった、勝海舟は偉かった、と刷り込む必要があるんでしょうかねえ。あいつら、結局私利私欲の塊ですよ・・・

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

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「花見の人出で賑わう江夢川の土手。雨の中を頑張って徳利長屋のために場所取りをした夢水清志郎左右衛門。せっかくの場所を武士達に奪われた。そこに怪盗九印からの予告状が」推理小説。
「ギヤマン壷の謎」に続く夢水清志郎外伝の大江戸編です。一応下巻とは書いてありますが、話は独立しているので、単独で楽しめます。
長崎から探偵術の修業のために上京したレーチと清志郎左右衛門の再会。彼が尾張で出会った不思議な事件。山中に住む変わり者の表具師。彼が飼う何十匹という動物たちが畑を荒らすようになったことに文句を言いに行った男がみた夥しい猫の死体。驚いて帰りついた家の襖には、べったりと血が「れーちの東海道中膝栗毛」。
時代は幕末。江戸では勝海舟と西郷隆盛との会談が行われようとしている、そんなとき。徳利長屋のぶらりと訪れたのは、なんと勝海舟だった。彼が訪ねてきたのは夢水清志郎左右衛門。彼が以前、共に旅をした才谷梅太郎が殺されたということを伝えるために。
江戸の町を戦火から救わなければならない。そう決心した清志郎左右衛門と人が殺しあうのが大嫌いな中村巧之介が、徳利長屋の連中を総動員してかけた奇策。天真流を使う剣士の宿命の対決。江戸城を夜空の闇が包んだときに、海舟と隆盛の胸中に帰来した思い「徳利長屋の怪」。
個人的には、政治的な見方が絡まない「怪盗九印は最後に笑う」の、簡単でいながら鮮やかな謎解きが好きです。正直、平和主義を標榜しながら、結局は自分が守るべきもののためには剣を振るうという巧之介を見ていると、同じく自分たちが大切だと思うもののために戦う幕府や薩長と、守るものこそ違え同根ではないかと思えてならないからです。しかも、ここには明治政府に対する擁護がほの見えるのです。
海舟や竜馬に対する評価も、あまりに一面的で、そんなに明治維新やその後に続く天皇の時代がいいのか?って聞きたくなります。私には、薩長土肥による政治の今に続く私物化、官僚による硬直した時代主義はすべて明治時代に生まれた、と思えてならないのです。
これを読んだ子供たちが、たんなる無頼の海舟を、ただただ英雄かなんぞのように無条件に思い込む、それがいやで堪りませ用にそれでも、そういう問題点を投げかけるということは素直に評価したい気もします。やっぱり大人が、そういった見方をきちんと教えてあげる、それが必要だと思います。

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紙の本ハワイ幽霊城の謎

2008/07/16 20:09

慣れてしまったせいでしょうか、期待していたわりに面白くありません。特にハワイのお金持ちの様子、お金礼賛みたいなところが子供の夢を壊すな、なんて思ったりもして・・・

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

夢水清志郎ものの情報は結構こまめに当たっているんですが、見落としていた一冊です。ま、タイトルに工夫がないので、旧作と勘違いしていたのかもしれませんが残念無念。でも、村田四郎の挿絵に再会できるならば、ここで意地を張っても仕方がありません。まずは村田の絵を使った久住和代の装丁をさっと見て、カバー後の案内に入ります。

夢水清志郎のもとに舞いこんだ、新
たな依頼は、なんとハワイから!
ハワイの大富豪、アロハ山田家を、
幽霊の呪いから守ってほしいという
のだ。しかもなんという不思議な縁
か、100年前、アロハ山田家の先祖
は、清志郎の先祖(?)夢水清志郎左
右衛門にも出会っていた!南海の
楽園・ハワイを舞台に、現在の夢水清
志郎と過去の清志郎左右衛門がみん
なをしあわせにするために謎を解く!

ふむふむ、アロハ山田家とはまた、児童書でなければありえないネーミングです。しかも現在の夢水清志郎と過去の清志郎左右衛門が登場する、いやはや長い人気を誇るシリーズ物ともなると、単なる決め技一本ではなく複合技も使わないと読者に飽きられる。上下分冊は別にした一冊の本としてはシリーズ最大かも・・・

とまあ読み始めました。印象ですが、現代篇は、ちょっとトリックが機械的に過ぎるかな、それにお金の掛け方が違うでしょ、って思います。それに対して過去篇は、トリックは自然ですが清志郎左右衛門の設定が不自然。ま、これは夢水清志郎にも言えますが、その食欲についてのエピソードにユーモアを感じないんです。我が家の娘たちはもう年齢が上になってしまい、はやみねの文章に笑うことはありませんが、今時の小学生はどうなんでしょうか。

私には、はやみねのミステリが重松清のドラマのようにオーソドックスというよりは古臭く思え、むしろ桜庭一樹が描く少女たちが、角田光代のお話のようにリアルに感じられて仕方がないのです。癖のなさは認めた上で、古さが懐かしさに繋がらず、ただただ旧弊な印象を与えるとすれば、やっぱり方向を変えるべきなんじゃないか、なんて思ったりもします。最後に、二重構造がはっきり見える目次を写しておきます。

目次
おもな登場人物
OPENING
第一章 翼よ、どれがパリの灯だ?
01 幽霊の存在――ベイズ推定――
第二章 寿限無・・・・・・?
02 超マニアッククイズ~こんなのしってるやついねぇ!~
第三章 日本のネズミはサトウキビがお好き
03 Why Didn't They Ask YUMEMIZU?
第四章 You 下駄 chance!(前編)
04 レーチの文学的クリスマス
第五章 You 下駄 chance!(後編)
05 歪んでるのは・・・・・・
第六章 Big Island
06 家系図! なんたって、家系図!
第七章 「悪魔の森」と「神の荒れ地」
07 PAST――左京が消えた
第八章 呪いに関する一考察
08 バカンス!
第九章 木陰
09 PRESENT――タロウが消えた
第十章 月夜
10 朝日はどっちにでている?
第十一章 天真流vs.デモン・ディク
11 クリスマスプレゼント
第十二章 夜会
12 レーチの推理
第十三章 カナロアの眼
13 教授の推理
最終章 過去は未来につながる
14 探偵たちの独白
おまけ その1
おまけ その2
おまけ その3
あとがき
はやみねかおる特別インタビュー
はやみねかおる作品リスト

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紙の本人形は笑わない

2004/06/02 20:50

どうしてそこまでして子供に媚びるかなあ、多分、子供だってこれを可愛らしいとは思わないぞ

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

《情報誌セシーマの伊藤編集長が名探偵 夢水清志郎に持ち込んだ企画は、廃村寸前の毬音村でツーリング中の人々が見た怪を探るものだった》

何度書いても、書きすぎた気がしないのが「夢水清志郎は和泉元彌が一番」ということ。あの番組(ふたご探偵)を、毎週家族で楽しんでいた我が家の、良くも悪くもそれが常識。それに、村田四郎のイラストが、本当に鬚を生やした時の元彌によく似ている。いろいろ身辺は騒がしいようだけれど、もう一度観たいなあ、和泉清志郎、ね、そう思うでしょ。

旅と料理の情報誌「セシーマ」に文章を書いている夢水の頭にあるのはいつも「食べ物」。だから、当たり前の以来では記事を書いてくれない。その彼に何とか旅の記事を書かせようと、伊藤編集長が目をつけたのが、人口が十人にも満たない廃村寸前の毬音村でツーリング中の人々が見た怪事件の謎を解かせて、それを雑誌に載せること。

そのころ虹北学園では、中学三年生になった文芸部長の岩崎愛が、学園祭を前にゼロに削られた部の予算に頭を抱えていた。部長の悩みをよそに、予算削減の原因を作った副部長のレーチは、起死回生のアイデアを思いつく。

部長の岩崎愛がレーチに内緒にしていた名探偵 夢水との毬音村行き。彼女が洩らした一言に飛びついたレーチは愛、真衣、美衣の三つ子の旅に便乗する。清志郎が解く事件をそのまま利用しようというレーチと愛たちを迎えるものは。村はずれに聳える不気味な塔、黒く塗られた部屋に並ぶリアルな表情をした人形たち。人形師 栗須寧人が作ったと言われる「人形の塔」を舞台に連続する密室殺人。

教育TVの小学校上級以上を対象にしたドラマにもなった名探偵 夢水清志郎が活躍するシリーズ。はやみねは、とうとう小学校の先生を辞めて、専業作家の道を歩み始めたらしい。今までの作品もだけれど、推理小説としての骨格はしっかりしている。でも、今回はいつになくレーチが傲慢・無神経で読んでいて不快。新キャラ 一之瀬くんの犬のような性格設定も嫌い。現実の子供たちに擦り寄った設定だろうけれど、そこまでして子供に媚びる必要はない。これを可愛らしいとは、多分、子供たちだって思わない。

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面白い!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:なのはな - この投稿者のレビュー一覧を見る

名探偵夢水清志郎シリーズの1作目です。江戸川乱歩を彷彿させる洒落た児童向け本格ミステリでした。4人の子供とプラス1名がいなくなる連続消失事件。しかも衆人環視の中でだったり、不可能状況の中でだったりと謎多き時間。この事件に挑むのは、自称名探偵の夢水清志郎と岩崎亜衣、真衣、美衣の三つ子。キャラの魅力もさることながら、事件の内容が本格ミステリそのもので、さらにトリックも解決も鮮やかでした。大人向けの本格ミステリとしても内容的には十分通用するものだと思います。トリックは画期的というより、既存のものの応用という面が強いですが、子供たちがこの本を読んでミステリ好きになるという意味ではちょうど良い作品なのではないかと思います。ワクワク、ドキドキも味わえて、最後は幸せに終わるというまさに理想的なミステリだったと思います。

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紙の本あやかし修学旅行 鵺のなく夜

2011/07/08 19:46

そろそろ私も卒業かな、名探偵夢水清志郎の世界から。どうもはやみねが笑いを取りに来るところに共感できなくなってきた。亜衣とレーチの行動も鼻についてきた、卒業っていうか分かれ時かなって。ミステリ部分は好きでも、小説としては相変わらず児童書のままじゃね・・・

4人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

最近、殆ど読むことのなくなった はやみねかおる ですが、理由は単純で、好きな『名探偵夢水清志郎事件ノート』については全部読み終わった気になっていたからです。ま、厳密にチェックしているわけではなくて雰囲気での判断。ですから、よく調べると読み落しが見つかるわけです。とはいえ、読んでみると再読、なんていうこともよくあるのですが。ちなみに、今回も装画・挿絵担当は村田四郎です。

カバー折り返しの言葉は
       *
龍神殺神事件、鵺伝説、持ち帰るなの石……。
不思議の宝庫、洛名録へとバスは走る。
謎の人物「鵺」が心配だけど、
修学旅行は楽しむっきゃない!
       *
カバー後ろの内容紹介は
       *
虹北学園の修学旅行先が決まった。
目的地はO県T市。そこには、龍神
や鵺の伝説と不思議な石の話が残っ
ていて、楽しい旅になるはずだった。
ところが、「修学旅行を中止せよ 鵺」
という手紙が学校にとどき、なんだ
かあやしい雲行きに……。
校長の代理で同行することになった
夢水だが、修学旅行から無事に帰っ
てこれるのだろうか?
お待ちかねの、シリーズ第11作!
       *
です。相変わらず、清志郎が修学旅行に紛れ込むまでの経緯は、可笑しいというよりは悪夢のようなもので、こういうゴリ押しを認めてしまう日本人て、やだなあ、と私などは思ってしまうんです。こればかりは、はやみねと私の考え方の違いでしかないのですが、同じ笑いでも、なんでJ・K・ジェロームの『ボートの三人男』みたいな、上品なユーモアにならないんだろう、人間が薄汚く見えるんだろう、って思うんです。

特に、私が嫌いなのは三つ子の長女の岩崎亜衣です。読書が好きで文芸部に所属、まではいいんですが、はっきり言って、性格がいやです。言動に裏表があって、結局は自分が可愛いだけの、ある意味、ごくあたり前の女の子。行動だけを見れば、まさに清志郎、レーチと同レベル、似た者同士なわけです。むしろ、私としては二女・真衣がかわいい。スポーツ万能で陸上部に所属。流石、運クラ、性格も明るくさっぱりしています。末っ子の美衣にしても、新聞好きは引きますが、あっけらかんとした性格で、男女のことに疎く、それも含めて一ノ瀬くんが好きになるのも当然だと思います。

亜衣同様、嫌いなのが通称レーチこと中井麗一です。亜衣の彼氏で、クラブも同じ。清志郎、亜衣と同じく自己中です。結果がよければ何をやってもいい、と考える人間で、他人の感情や迷惑を考えたことがありません。大人になれば、試験前に他人のノートを借りまくり、授業では代返を頼む大学生になること確実です。モンスターペアレント予備軍ともいえるでしょう。なぜ、こんな男に、水野千秋のような美少女が惚れるんだろう、なんて思いますが、こればかりは世によくあるパターン。ヤクザに惚れるお嬢様パターンではありますが、彼女の健気な思いこそ、中学生女子という気がします。

正直、以上のレギュラーには少しも魅力を感じません。そこで新手を紹介しましょう。まず修学旅行実行委員会委員長の、陣内仁がいます。温厚で世話好きという、女の子が手玉に取りやすい男の子です。そして、仁を思うように操るのが修学旅行実行委員会副委員長で、生徒の目付け役の玉井雅子です。陣内のガールフレンド、ということになっていますがまるで鑿の夫婦みたいではあります。

はやみねが推すキャラでありながら、私が否定したのが歌枕真一です。まくら投げ協会会長で、野球やバスケも得意で、爽やかな印象でしたが、ラストで自分の力を見せつける姿は、嫌味としかいいようがありません。こんな人間が先々、官僚となって、笑って国民を死地に追いやるといってもいいのではないでしょうか。将来のクレイマーといい、国民無視の官僚といい、どうもはやみねの理想とする人間は、私が好む人間とは正反対。いやはや、です。

未確認動物捕獲隊の隊長で、将来の夢は冒険家という川口敏弘。川口探検隊などは、UFOの矢追と同じく、2003年の時点で既に死語に近い存在で、やはり感覚のズレを感じます。そういう意味で、私が唯一気に入ったのが、虹北学園の校長先生である土屋正です。清志郎を修学旅行に参加させたあたりのいい加減さはともかく、侍のような風格のある教職ひとすじ三十四年の人間というのは、いい意味で存在感があります。

と散々、登場人物を貶しましたが、ミステリ部分は相変わらずお見事。誰が何故、というあたりも納得です。はやみねの作風には限界を感じますが、新しい読者がきちんとついて世代交代している様は、立派。作家としては、成功しているといえるでしょう。ただ、卒業していく読者も多いはずで、いいか悪いかはともかく、小学生にミステリのなんたるかを教える貴重な作家であるとだけは言えそうです。そろそろ、私は卒業しますが・・・

参考までに、もくじを写しておきます。

おもな登場人物
第一幕 修学旅行事前説明会
 経過説明の一
 レーチの細腕繁盛記
 経過説明の二
 虹北学園修学旅行実行委員会
 経過説明の三
 文芸部の陰謀:一ノ瀬匠くんの初体験
 その他 霊子(仮名)の場合
     M太郎(仮名)の場合
     鵺(仮名)の場合
 修学旅行のしおり
第二幕 鵺のなく夜
 修学旅行初日
 修学旅行二日め――前半
 レーチの文学的苦悩:修学旅行スペシャル
 修学旅行二日め――後半
 修学旅行三日め
 修学旅行反省会――鵺が笑う
ENDING――教授の修学旅行日記

 あとがき
 はやみねかおる作品リスト

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正直、私としては登場人物に飽きがきていたので、これで終わり、というのはいいかな、と思います。無論、ミステリとしての切れは相変わらずいいので、飽きたのは三姉妹とレーチ、教授だけなんですが。で、この厚さは最後を飾るのにふさわしいんですが、挿絵が手抜き、これはプロにあるまじき仕事です!

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投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

タイトルは二つの意味を持っています。カバーにもあるように亜衣・真衣・美衣の岩崎三姉妹とレーチが虹北学園を卒業することがひとつ。もう一つは、はやみね自身がこのシリーズから卒業するということ、その二つです。とはいえ15年も続き、はやみねの家計を支えつづけてきた大黒柱を簡単に切って捨てることができるか、まったく疑問です。

無論、私などはダラダラ続いてしまうシリーズが嫌いで、100巻で終えると豪語した栗本薫のグイン・サーガがその後もエンエンと書き継がれていることに「結局、話を締めくくる能力がないのと、美味しい仕事が結局手放せないんだよなあ」なんてブツブツいいながら、それでも文庫が出るたびに買い続けているわけです。ふむ、何が言いたいのやら・・・

変なたとえですが、あの栗本ですら最も重要なシリーズに関しては、それを終らせることが出来なかった。となれば、その才能において栗本に及ばない、はやみね、に本当に自分のメインに引導を渡すことが可能か、首を捻ってしまいます。確かに、このボリュームは棹尾を飾るに相応しいものではあるのですが・・・

早速、カバー折り返しを見ると

「開かずの教室」の封印が、
四十数年ぶりに解かれた・・・・・・。
解きはなたれたのは、
「夢」を喰うといわれる、
「夢喰い」―――。

亜衣たちの卒業式をまえに、
「夢喰い」が虹北学園を渉猟する―――。
夢水清志郎、最後の謎解き。

赤い夢へ、ようこそ―――。

とあり、カバー後には

 最後の舞台は、虹北学園。亜衣・真
衣・美衣の岩崎三姉妹とレーチたちに
も、ついに卒業の時がせまっていた。
そんなとき、古い木造校舎にあった、
「開かずの教室」を、レーチが開けて
しまった! 封印はとかれ、「夢喰い」
があらわれた!! 四十数年まえの亡霊
がふたたび虹北学園をさまよい歩く。
 亜衣、真衣、美衣、レーチら、みん
なの「夢」は喰われてしまうのか?
夢水清志郎、最後の謎解きに刮目せよ!!

と書いてあります。読んだ印象ですが、頁数のわりに中味はシンプルではないでしょうか。意外性は全く感じないし、今までのように本編を、関連のある短篇で挟み込むという形式がとりきれなかったのは、中途半端な気がします。まして、456頁の記述になると、物理的に無理じゃないでしょうか。材質にも疑問を抱いて何度も読み返しましたが納得できませんでした。逆に感心したのはレーチの受験トリック。ミステリの未来を感じさせます。

でも、実はもっとも首を傾げざるをえなかったことがあります。それが 村田 四郎の絵です。本文の量があるので必然的に挿絵の数も増えるのですが、質が落ちています。もしかするとシリーズ中、最もレベルが低い、そう思います。特に192、253、282、335、383頁の絵がひどくて、手抜きの印象を与えるのはどうしたことでしょう。魅力のあった少し揺れ気味の線が、あっさりと味のないものになって、村田らしさが全く感じられません。

はやみねの小説にもいえますが、長ければ、数があればいい、っていうものじゃないことは読者はもちろんですが、書き手の側に常識でもあります。無理クリ長くしている、おっつけ仕事で枚数を描きあげた、なんていうのは作家が絶対にやってはいけないことなんですが、その感が拭えません。これじゃあ、人気シリーズを締めくくるわけにはいかない、そういう作品でした。残念・・・

最後はもくじ

おもな登場人物

OPENING まずは元気なごあいさつ

第一部 きざみネギと焼きミカン、ほうれん草。――そして、強制労働

第二部 開かずの教室を開けるとき
 01 時間の流れの小品―四十数年前 ~ 17 伯爵

番外編 レーチの文学的苦悩Final
 18 質疑応答 ~ 27 謝恩会と青春

おまけ 卒業式がおわって

ENDING

あとがき
 究 読了認定書
 “迷”探偵クイズ
 極シリーズ読破認定書
 はやみねかおる作品リスト

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紙の本踊る夜光怪人

2006/09/07 23:03

正直、今回のお話は甘いかな。大人も納得するレベルの作品じゃないと、いつか子供も飽きるって。予告にある次回作に期待しましょう

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投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「幽霊坂下の桜林公園に現れる夜光怪人、住職である父親のの怪しい行動に悩む少女、宝のありかを記した謎の文書に、夢水清志郎が挑む」児童向けの青い鳥文庫で評判のシリーズ第5作です。タイトルは如何にも江戸川乱歩の少年探偵団ものを連想させますが、センスはやはりはやみねのほうが上でしょう、ま、時代の嵯峨大きいんですが。
登場するのはお馴染み岩崎亜衣、真衣、美衣の三つ子。彼女たちと寝起きの悪い探偵夢水清志郎の暗号問答から小説は始まります。雑誌『セシーマ』の伊藤さんがきりだしたのは、最近、幽霊坂下の桜林公園に出没するという全身黄金色に輝くという夜光怪人の謎を探り、その記事を夢水清志郎の紀行として雑誌に載せるというものでした。
夏休みの二週間前、雑誌『それわた』の発行が迫る虹北学園文芸部で、虹斎寺の住職である父親の怪しい挙動になやむ千秋は、そんなレーチに謎を解いてもらおうと相談を持ちかけています。彼女たちの前に、颯爽とオートバイに乗って姿を現す住職。そして寺に伝わる文書と謎の暗号、そして黄金伝説。
果たして、宝は存在するのでしょうか。密かにレーチに思いを寄せる亜衣、亜衣のことが好きなレーチ。麗一先輩が好きで、それを表に出している千秋といった中学生の恋を絡めながら、懐かしい乱歩の世界が、よりスマートなスタイルで蘇ります。
仕掛けの大仰さは、時代を考えても不自然な感がします。それに、以前にも書いたと思いますが、三つ子の姉妹という設定が活きていません。それに、犯人が簡単に分かってしまう、などの不満はあります。でも、論理の組み立ては実にすっきりしていて、ははーんと納得させるところが多いので、小学生向けの推理ものとしては、格好のものではないでしょうか。
ただ、レーチが出てくると、夢水の推理の部分と内容が分離したり、つまらない恋愛遊戯に中途半端に重点が移るなど、プラスもマイナスもあります。正直、今回のレベルのような大人の読者では納得しないような作品ででは、結局、子供の読者も離れていくような気がします。次作はガチガチの本格推理といいますから、期待をしておきましょう。

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紙の本魔女の隠れ里

2006/09/01 23:18

正直、横溝正史さまに失礼ではないか、そう思うところがあります。それに、私の読んだ版の挿絵、文章と絵柄が合ってないし。むしろ幕間、という位置づけの小品、これは名作

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投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「笙野之里の村おこしで企画された推理ゲーム。そのために村に行くことになった岩崎亜衣、真衣、美衣の三つ子の姉妹。雑誌セシーマに原稿をかく夢水清志郎が解き明かす消える足跡と不思議なシュプールの謎」本格推理小説。私の大好きなシリーズ第4弾で、勿論、良い子のための青い鳥文庫です。
寒いところが大嫌いな名探偵・夢水清志郎。その彼を説き伏せて連れ出そうとするのが、雑誌セシーマの編集部員の伊藤真里です。それを聞きつけた亜衣、真衣、美衣の三つ子姉妹は、借金のことで清志郎を脅かして何とか出かけることには成功したのですが、彼らを乗せた軽のポチ一号を運転する伊藤嬢のスピード狂ぶりに三人は気絶してしまいます。
その中でただ1人、能天気に喜んでいるのが、ジェットコースター大好きの清志郎探偵。そして彼らを待つのがN県A高原のスキーロッジ ポインセチアです。うーん、いかにも小学生向きの名前だなあ・・・
その高原にある雪霊の藪、吹雪の翌朝は子供が近寄ってはならないという伝説の意味するものは。そしてスキー大会を待つゲレンデに残る不可思議なシュプールの意味するものは。
幕間として、岩崎三姉妹の母親羽衣の優雅な一日の過ごし方と、夢水清志郎の労働、そして彼が解き明かす、羽衣母さんのロマンスに隠された友情といったエピソードが挟み込まれます。
そして笙野之里を振興させるための企画に雑誌セシーマの伊藤さんが、夢水清志郎を引き釣り出そうとすることから、「魔女」と名乗る謎の人物が仕掛ける罠が生まれ、里の謎が解き明かされます。三つの作品からなる作品集といってもいいのですが、微妙に関連し合っているのでそうとも言い切れません。
犯人や、動機が簡単にわかりすぎてしまい、それが他の作品の仕掛けに類似しているのが問題です。もし、この後で横溝正史の金田一耕介シリーズを読もうという人には、致命的です。そういう意味では、幕間の羽衣母さんのロマンスと友情を扱った短編が、オリジナリティがあって、加納朋子を思わせるようなところはありますが、最高でしょう。
ここで文句をひとつ(もしかすると、新しい版で直っているかもしれませんが)。なんと文章と挿絵が合っていないのです。特に母さんの手のひらをじっくり見てください。一枚は文章の通りですが、もう一枚は、明らかに違うのです。これはミステリではあってはならないこと、ぜひ直して欲しいもの。

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紙の本亡霊は夜歩く

2004/02/18 22:17

この小説、短編にだけついていえば確実に★五つ。でもレーチが出てくると一気に通俗長編になってしまう。ついこの間まで、夢水のシリーズを楽しんでいた娘達もそろそろ卒業気分

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投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「虹北学園に伝わる四つの伝説。壊れたはずの時計塔の鐘が突然鳴り、校庭に不思議が起こる」夢水清志郎事件ノート第2作。今回から、このシリーズに欠かせない人物となるレーチという少年が仲間入り。若い少年探偵が見せる推理と清志郎の競演が始まる。

話は、メインの事件談を、二つの小編が挟み込む形式で、このスタイルは、はやみねのお気に入りなのか、その後の作品にも受け継がれていくけれど、その短編がどれも小粒ながら言い味を出している。今回は、ミステリ・サークルといっても推理小説研究会ではない、あの田圃や畑などに突如現れる巨大な円だが、その謎が心地よく解き明かされる。

そして本編「亡霊は夜歩く」となる。亜衣・真衣・美衣の三つ子の姉妹が通う虹北学園、その傍の工場で起きた電磁石の盗難事件に駆り出された自称名探偵夢水清志郎。その捜査も始まらぬうちに起きた学園の怪事件。ピサの斜塔のように傾いてしまった学校の時計塔の鐘が、何年ぶりに突然時を告げ始めた。

そして、学園祭を前に実行委員のアシスタントを命じられた岩崎亜衣、彼女をこき使う委員長中井麗一ことレーチ。二人が籍をおく文芸部のワープロに浮かび上がる「亡霊からのメッセージ」。思い出される学校の4つの伝説「時計塔の鐘が鳴ると、人が死ぬ」「夕暮れときの大イチョウは人を喰う」「校庭の魔法円に人がふる」「幽霊坂に霧がかかると、亡霊がよみがえる」。

それをなぞるかのような事件が起きる。自称詩人で、一作も作品を作ろうとしないレーチの推理。学園に現れた名探偵・夢水清志郎に敬意をはらう麗一少年。そして相変わらず、大食漢ぶりをみせながら事件は解決したと早々に現場から消えてしまう清志郎。

今回登場したレーチと亜衣の淡い想いなどを織り交ぜながら事件は終結する。正直、犯人は簡単に予想がつくけれど、鍵となる動機があまりに弱い。なぜ今なのか、という説得力が無いから、小説全体の印象も弱くなってしまう。いや、じつは今後のシリーズでも思うのだけれど、レーチの存在理由がわからない。三姉妹に適当な相手を、という安直さが気にかかる。

ラストの小編、本編では殆ど活躍しなかった二人の妹、真衣と美衣、そして教授が見せ始めた突然の好意。その背景にあるもの。これは楽しい。やはり江戸川乱歩がそうであったように、はやみねは本質的に短編の作家であるのかもしれない。心地よい作品である。村田四郎の挿絵も、この本から自然体になってきて以降のシリーズのスタイルを確立した。

読み終わった長女に言わせるとシリーズ中、もっともポテンシャルが低い作品、というが、それはメインの部分。前後の短編は立派。本格短編と、通俗長編、この組み合わせ、ある年代以上になると評価が分かれ始めるけれど、小学生には格好のシリーズだろう。ちなみに、図書館にあるこのシリーズは、戻るとすぐに借り出されると言う。隠れたベストセラーではないだろうか。

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投稿者:恵恵恵 - この投稿者のレビュー一覧を見る

20年くらい前?小学生のときに友だちとよく読んでました。
”あしたから二学期だよ”ってなんかエモい。

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