風雲児たち 幕末編 みんなのレビュー
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風雲児たち 幕末編8 (SPコミックス)
2006/01/10 23:37
江川太郎左衛門の偉大さを改めて知った巻でした。
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
「遂に「安政」と改元、風雲急を告げる日本!」との帯コピーのある第8巻です。主な登場人物は、村田蔵六(大村益次郎)とお稲、江川太郎左衛門、坂本龍馬、吉田寅次郎(松蔭)、福沢諭吉と、いよいよ幕末の志士が登場してきました。
しかし、この巻の一番の見所は、江川太郎左衛門の件でしょう。この『風雲児たち』ではかなり以前から登場しており、学校日本史ではわからなかった活躍をしている人でしたが、遂に亡くなってしまいました。
今まで幕末というのは、急に内外の情勢の中から生まれてきた変革の時代だと思っていましたが、この江川太郎左衛門などの話を知るにつけ、少しずつ少しずつ時代は変わっていたのであり、時代を見据えて行動していた人たちが少なからずいたのだなあということがわかってきます。
これからもちろん、幕末の有名人が多数登場するのでしょうが、それ以外の余り知られていなかった人たちにも光を当ててもらいたいものです。でも、きっと描いてくれますよね。「幕末編」も既に8巻になっているにも関わらず、時間はあまり進んでいないのですから。
風雲児たち 幕末編14 (SPコミックス)
2009/02/01 18:33
有名どころで言えば井伊直弼が表舞台に登場してきた頃です
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
この第14巻にはプロローグがわざわざついています。今までの巻にはなかったのではないかと思います。では何故14巻にはついているのか。
実はこのプロローグが一番衝撃的なのかもしれません。事実上徳川幕府が崩壊したとも言える場面が収められているからです。
ネタばれになってもいけないので、プロローグのタイトル「ハリス仰天」だけ、ここに書き留めておくことにします。
14巻全体としては、(これまた何と)安政5年の状況で終わってしまいます。
これまで不勉強でしたが、徳川の幕末は徳川方と外様雄藩(薩摩、長州、土佐などなど)の政権争いかと思っていました。しかし、この14巻を読むと結構京都朝廷や公家もその争いに加担していたのだということを知ることができました。
それにしてもまだ安政5年なのか。
風雲児たち 幕末編9 (SPコミックス)
2006/04/30 18:10
第9巻はロシアの話だけでなく、福沢諭吉も村田蔵六も勝海舟も出てきます
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
すでに『風雲児たち幕末編7』でも触れたことがあるのですが、このマンガでは日本外交史におけるロシアの果たした役割や世界史の中でのロシアの状況に多くが割かれています。今までどうしてこんなに多く割いているのか疑問に思わないでもなかったのですが、その理由がこの第9巻で少しわかったような気がします。当時はアメリカは新興国であり、世界はヨーロッパを中心に動いていたわけですから、例え農奴制が残る帝政ロシアであってもヨーロッパの一角を担う存在だったのですね。そして、ロシア自体の事情もあったのでしょうが、果敢に日本との関係を作ろうとしていた国だったのだから、当然多くを語る必要があったのですね。学生時代にきちんと世界史を勉強していたり、世界史、日本史をよく知っている人にすれば当然のことなのかもしれませんが、私には今回初めてよくわかったのでした。
こんなことまで教えてくれるこのマンガは、作者の目配りがあらゆるところに行き届いていて、どの巻も読み流すことができません。時に、その情報量に圧倒されてしまうこともありますが。
しかし、適塾での手塚良仙のエピソードは目配り過ぎのような気もしないではありませんでした。まあ、手塚治虫に敬意を表してといったところでしょうか。
風雲児たち 幕末編7 (SPコミックス)
2005/08/07 19:02
歴史には様々な視点があり、いろいろな考え方があるのだということを教えてくれています
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
このマンガそのものの評価は、今更私がするまでもないので、ただそれだけで星5つにしてもいいのかなあと思います。
この『幕末編』7巻の前半はペリーに始まった各国の開国要求を次々とのんでいく日本の姿が描かれていますが、その中で丁寧に描かれているのがロシアの姿です。以前からこの『風雲児たち』はロシアに関係するところが丁寧に描かれていますが、この開国要求でもプチャーチン率いるロシア艦隊がずっと描かれています。
最近はいくらか変化してきているとはいえ、現在の私たちが外交を考える時にはどうしてもアメリカを中心に考えてしまいますが、この『風雲児たち』を読み続けているとロシアの存在が大きいのだなあということに気づかされます。だからすぐにどうだ、というわけではないのですが、一部ないし一方からだけ語られる歴史が、今現在を生きる私たちのものの見方を左右しているかもしれない、様々な視点から考える必要があるのだということを教えてくれているのかもしれません。
そのように考えると、この『風雲児たち』そのものが外国に限らず、日本の中でも様々な考え方や行動のとり方があるのだということを教えてくれているように、改めて気づかされました。
それはこの7巻の後半、坂本竜馬が新たな視点を得ていく過程を描いているところからもわかるように思います。
風雲児たち 幕末編28 (SPコミックス)
2017/01/29 15:47
寺田屋事件前夜
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
本巻では、「久光東上」を中心に1862年3月から4月までの2ヶ月間を描いています。
久光の思惑、大久保・西郷の思惑、薩摩藩過激派の思惑、長州藩をはじめとした他藩の思惑、京都公家の思惑等、それぞれの思惑が交錯。次巻は遂に寺田屋事件です。とにかく、幕末に近づきつつある緊迫感が伝わってくる内容でした。
ところで、清河八郎が倒幕運動の火付け役(キーマン)とは知りませんでした。また、三大名城等の巨大城(熊本城・姫路城・大阪城・名古屋城)は、薩摩が江戸に攻め上れないよう配置していたとの由。本書は本当に勉強になります。
風雲児たち 幕末編21 (SPコミックス)
2012/12/22 07:25
桜田門外の変
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
幕末編も21巻目を迎え、ついに桜田門外の変に至りました。いやあ、長かったなあ。
しかもこの桜田門外の変について、この1冊全部を費やして(いや、1冊では終わらない!)描いています。
学校の教科書に出てくる桜田門外の変は、単に大老井伊直弼が殺された事件としてしか書かれていませんが、これを読むといかに大変な出来事であり、話はそうそう単純なものでなく、時の人たちがいかに動いたのかがわかりました。特に、井伊邸と江戸城の位置関係や、事件が起きたあとの江戸城内部の人たちや周囲の人たちの駆け引き、さらに市井の人たちが事件の目撃者足り得たことなど、さながら現在の事件であるかのようにいつのまにか読んでしまいました。
このところ、話が細かくなりがちな「風雲児たち」だったような気もしますが、この1冊は久しぶりに読みごたえのある内容だったと思います。
風雲児たち 幕末編12 (SPコミックス)
2008/02/11 22:42
大河ドラマが「風雲児たち」に追いついてきたような
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
まるでタイアップしているかのように、薩摩藩を中心とした話が続く12巻です。別に狙ったわけではないとは思いますが、篤姫の話がちらっと出てきたり、その前後の島津斉彬や西郷、大久保らの話は、2008年大河ドラマの解説をしているようです。
それ以外には、唐人お吉にからめて日米通商条約の話、阿部正弘が亡くなり幕府が崩壊の道を走りだした話なども収められています。
しかし、その合間を縫うようにして坂本龍馬が登場してくるのをみると、やはり作者が描きたいのは彼のことなのかもしれないと思えてきます。
これだけでもまだ安政の3年間ほどの話ですから、幕末まで(それにきっと明治維新後も描きたいのだろうから)どれくらい時間がかかるのか、楽しみに待ちたいものです。
風雲児たち 幕末編11 (SPコミックス)
2007/09/30 17:33
安政2年から4年あたりの話
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
この巻の冒頭が坂本竜馬の父親が死んだ場面で、時は1855年末となっている。そして巻末あたりの話が1857年なので、何と1冊で2年足らずしか時間が経過していないということになる。これでは何冊を費やしてもなかなか話が進まないはずだ。
それでもこの幕末編も11巻目になって、それなりに話が進んでいる。坂本龍馬が再び江戸へ上ってきた話、蕃書調所にかかわることになる前後の村田蔵六の話、適塾に福沢諭吉が戻ってきた話、勝海舟らが長崎から戻ってきた話、そしてアロー戦争、太平天国の乱を挟んで松下村塾を活発化させていた吉田松陰に母国へ帰る島津斉彬まで、わずか2年の間にもこれだけのことが起きていたことを変わらぬ筆致で描いているのだから、もう感心どころではない。それでもこの調子で幕末まで行くとしたら、あとどれくらい掛かるのだろう。
と思ってみたものの、よくよく見ればすでに1850年代なわけで、もうあと10年程もすれば大政奉還があるのだ。これからさらに描きつくされねばならない出来事や人物があるのだろうけれど、もうここまでこればあとわずかという気にもなる。
もう少し付き合い続けていきましょう!
風雲児たち 幕末編10 (SPコミックス)
2007/01/15 00:04
祝10巻!でも、この調子ならばまた20数巻と続いてくのかもしれない
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
幕末こそ、みなもと太郎が描きたかった時代であり、その時代に実に多くの人々が活躍して江戸から明治へと日本を作り上げていったわけなので、最近の『風雲児たち幕末編』は1話1話がエピソディックになってしまうのもやむを得ないかもしれない。多くの人たちが同時進行のように日本の各地で行動しているのを、まんべんなく伝えるにはこの描き方しかないのだろう。
この10巻では、安政の大地震後の幕僚たちに始まり、勝海舟、吉田松陰、村田蔵六、福沢諭吉、シーボルト・イネ、ハリスと、これでもかこれでもかと幕末の有名人が登場している。しかも、有名人だけでなく、川路聖謨、オランダ商館長、講武所の面々など、今まで一般の人には余り知られていなかったであろう人たちにまで光を当てている。
まだまだ本当(?)の幕末まで先は長いのだが、こうして見てくると、まさに時代のうねりと言うか、本当に多くの人たちがそれぞれに生きていったことの積み重ね、重なり合いが歴史を作っていったのだということがわかる。
学校の授業でもこうした人たちの生きた様を教えてくれれば、もっと歴史に関心を持ちもするだろうし、今を生きている私たちの中にも通じるものがあるということを知らしめてくれるのだろうに。それが無理とわかっているからこそ、私たちはこの『風雲児たち』を楽しむしかないのかもしれない。
風雲児たち 幕末編6 (SPコミックス)
2005/04/30 11:49
吉田松陰についてもっとたくさん知りたい
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
幕末には何人もの偉人が登場し、後に様々なメディアで取り上げられている。最も有名なところでは、やはり坂本龍馬や西郷隆盛であり、それに勝海舟なども加わるのだろうか。この『風雲児たち』も、そのタイトルが表すように、幕末に現われた偉人たちの姿、行動を追っていくのがテーマであり、20数年続いてきたのは、その幕末に至り偉人たちが現われてくる背景をていねいに追っていったからなのだ、ということは今更言うまでもないだろう。
それでも、この『幕末編』になってから、どしどしと偉人たちが現われるようになって、「そうだね、いよいよ幕末だね。本編だね」と思うのも当然なのだが、今までのところで多く語られているのが、吉田松陰である。
幕末について少し学習すればこの名前にぶつからないわけはないし、彼の作った松下村塾からは幕末、明治に活躍した人々が多数輩出されるのだから、彼もまた偉人にはちがいないだろう。だが、吉田松陰その人のことについて、どれだけ語られているのだろうか。
試みにbk1の検索機能を使って吉田松陰を登場人物とする小説を探してみると、あまり多くない。もちろん専門書や教養書などを検索すれば多く見つかるのだが、そんな本はよほど興味を持つ人しか読まないだろうから、ごく一般的に目に触れる本といえばやはり小説などだろうとは思う。しかし、そこでは吉田松陰はあまり語られていない。
私自身は、NHK大河ドラマ『花神』やその原作の一つであった司馬遼太郎の『世に棲む日々』で彼のことを知ったものだったし、そこで見た博識で頭脳明晰でストイックな人物像がイメージになってしまっているのだけれども、この『風雲児たち』に登場する吉田松陰は、さらにストイックであり、自ら言うような「狂人」の域にまで達しそうな純粋さを抱えた若者として描かれている。この第6巻では、吉田松陰が黒船に便乗してアメリカへ行こうとするくだりが描かれているが、これがまた圧巻だ。こういう人がいたから、さらに続く人が現われ、それが大きな波になって幕末に活躍する一団となっていくのだろうということが、さらにイメージされるのだ。あまり多く語られることのない吉田松陰だから、この調子で丁寧に描かれていって欲しい。
もっとも、ここで描かれているキャラクターの姿は、どこか腑抜けている貧乏侍にしか見えない。そのギャップがまた、吉田松陰の「狂人」たる部分を強調しているようにも見えるのだけれども。それに、これは既に有名な話ではあるけれども、かつてみなもと太郎が描いた新撰組の沖田総司とキャラクターがだぶっている。その問題は、いつかたを付けてくれるのだろう。
風雲児たち 幕末編25 (SPコミックス)
2015/02/07 20:42
ポサドニック号事件(ロシア軍艦対馬占拠事件)顛末
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
ポサドニック号事件(ロシア軍艦対馬占拠事件)の顛末、つまり小栗忠順とピリリフの第一回談判からロシア艦隊が対馬から退去するまでの、1861年5月から8月の3か月間を描いています。また同年5月には水戸藩士による東禅寺襲撃事件(第3章)が起きる等、日本全体がややキナ臭くなってきました。
確か、ポサドニック号事件も日本史の教科書には出てこなかったと記憶します。虎視眈々と狙う欧米列強の動きや考えを知る上では重要な事件ですし、当時の攘夷運動が過激化することを理解する上でも押さえておくべき事件だと思いました。毎回勉強になります。暗記だけの高校教育は当てになりませんね。
ところで、追い詰められた浪士が切腹するのは、捕縛・拷問され仲間のことを白状することを防ぐという目的があったというのは知りませんでした(133ページ)。また冒頭で久坂玄瑞の前半生が紹介されていて、大河ドラマ(花燃ゆ)の参考になりました。それにしても、久坂はカツラだったとは、これも驚きです。
今後、攘夷に目覚めた対馬藩はどうなるのでしょうか?次巻が楽しみです。
風雲児たち 幕末編22 (SPコミックス)
2013/06/13 20:36
桜田門外の変の後始末と万延遣米使節団の苦闘航海
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
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万延遣米使節団の出航は1860年1月で、帰国が同年9月。同年3月に起きた桜田門外の変のことを、使節団は帰国途中の香港で知ることになります。
本巻では、前半(第1章~第3章)は桜田門外の変の後始末を、後半(第4章~第8章)は万延遣米使節団(幕府の軍艦咸臨丸が随行したことで有名)の出航直後から日米修好通商条約の批准書の交換直前までを扱っています。
前半では安政の大獄の実行犯の後日譚や幕府・薩摩藩・井伊家等々の当事者の状況、後半では咸臨丸やポーハタン号の航海の様子等が丁寧に描かれています。知らない話が満載で、一気に読み終わりました。私はギャグ漫画というよりも、幕末を知るテキストとして読んでいます。
特に、『井伊直弼病死』と公式発表するほどの幕府の狼狽ぶりのには笑いましたし、咸臨丸に福沢諭吉が乗り込んでいたことは全く知りませんでした。また『自分の航海日誌を死後50年間公開してはならない』というブルック大尉の遺言のくだりには感動しました。
とにかく、ギャグで笑い飛ばしながらシビアに進行していくみなもと太郎氏の才能には、毎回脱帽です。次巻が、また楽しみになりました。
風雲児たち 幕末編31 (SPコミックス)
2019/06/16 09:19
生麦事件前夜
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
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本巻は、1862年5月に久光は大原重徳を奉じて江戸下向し、尊攘派志士の大赦要求や一橋慶喜の将軍後見職および松平春嶽の大老職就任を要求、実現するという華々しい(?)成果を上げ、同年8月に薩摩帰国の途につくまで。まさに生麦事件前夜の話でした。
その他にも、日露カラフト国境線交渉の話や長井雅楽暗殺秘話等、教科書はおろか、市販の幕末本でも詳細はほとんど言及されていない話題も丹念に描いています。本当に勉強になりますし、薩長にも幕府にも偏らない、みなもと太郎氏のスタンスは素晴らしいと思います。次巻はいよいよ生麦事件です。
ところで、本巻の話は西郷さんは徳之島に島流しとなっている期間の話につき、今年の大河ドラマでは全てカットされました。ドラマでは大久保利通は唐突に久光の懐刀となっていましたが、実はこの期間の利通は策略家としての才能が発揮され始め、久光の信頼を得ることになります。本巻は利通と久光の関係を知るには重要な巻とも言えます。
風雲児たち 幕末編30 (SPコミックス)
2018/03/10 10:32
長崎丸山
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
本巻では、1862年の既巻では描ききれなかった出来事(高杉晋作の上海渡航と五代さん登場、吉田東洋暗殺、文久遣欧使節団)を中心に描いています。いずれも、教科書はおろか、市販の幕末本でも詳細はほとんど言及されていません。それを丹念に描くところが「風雲児たち」の真骨頂。本当に勉強になります。
上海渡航前後で高杉の行動が変化する理由がわかります。また「遣欧使節団」では、オランダ訪問時の日本オタクのレオン・ド・ロニーとロシア訪問時の日本式接待を準備した謎の人物ヤマトフに興味を覚えました。次巻はいよいよ生麦事件です。
高杉晋作が上海渡航前の4ヶ月間、遊んでいた長崎丸山。昨年の3月に出張で1週間、丸山町界隈のビジネスホテルに滞在しました。歩いて3分ほどで花月楼。大正時代に廃業されましたが、花月の名称と庭園、建物は今も現存しています。ほかにも、当時の名残が付近に山ほど残っていて、味わい深い坂道もたくさんあり、早朝の散策が長崎出張の楽しみでした。
風雲児たち 幕末編29 (SPコミックス)
2017/06/04 15:18
丸ごと「寺田屋事件」
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
本巻は、丸ごと「寺田屋事件」。
有馬新七らが寺田屋に入る1862年4月下旬から5月下旬の久光一行の江戸下向までの約1ヶ月間を描いています。首謀者の清河八郎はたまたま難を逃れる一方、たまたま便所に行って巻き込まれた森山新五左衛門の悲運。司馬遼太郎風に言うと、歴史は必要な人物とそうでない人物を仕分けしているということでしょうか。
学校では重要事件の割には、その背景や経緯は度外視して、名前だけ覚える授業でした。あの日本史の授業に一体何の意味があったのでしょうか。それに比べ、本書を読めば寺田屋事件の詳細が分かります。
ところで、みなもと先生は、参考のため伏見の寺田屋に宿泊したとのこと。ただ、寺田屋は鳥羽伏見の戦(1868年)で焼失し、現在の建物は焼失した寺田屋の敷地の西隣に、その後再建されたもので、当時の寺田屋の間取りとは随分違うらしく、あまり参考にはならなかった模様。
個人的には、現在の寺田屋も建物の佇まい等の雰囲気はありますので、一度は訪れる価値はあると思います。