- 販売開始日: 2012/09/01
- 出版社: 新潮社
- ISBN:978-4-10-111723-2
雪の花
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商品説明
数年ごとに大流行して多くの人命を奪う天然痘。それに絶対確実な予防法が異国から伝わったと知った福井藩の町医・笠原良策は、私財をなげうち生命を賭して種痘の苗を福井に持ち込んだ。しかし天然痘の膿を身体に植え込むなどということに庶民は激しい恐怖心をいだき、藩医の妨害もあっていっこうに広まらなかった……。狂人とさげすまれながら天然痘と闘った一町医の感動の生涯。
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江戸時代後期の「プロジェクトX」
2025/02/13 16:37
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
NHKの人気番組「プロジェクトX〜挑戦者たち〜」(現在放送中のものは「新」がつく)は、
中島みゆきさんが歌う主題歌「地上の星」とともに
多くの視聴者をくぎ付けにしたドキュメンタリー番組である。
番組で取り上げられたのは、有名無名。様々な事件や事故に、
あるいは日本の高度成長を支えてきた人たちの、困難に立ち向かう姿が感動を呼んだといえる。
吉村昭さんが小説『雪の花』で描いた、江戸時代後期、数年ごとに大流行した天然痘の予防に
果敢に挑んだ福井藩の町医者笠原良策の姿も、時代が違えばこの番組に取り上げられたに違いない。
それほどに、笠原の、私財をなげうって天然痘予防の種痘にかける熱意には頭がさがる。
中でも、ようやく手にいれた種痘の苗を雪深い福井まで持ち帰る姿は、
まるで八甲田山で死の彷徨となしたあの悲劇の姿と重なるほど、凄まじい。
さらに、そのようにして持ち帰った種痘をほとんどの人たちが怖がって接種しようとしない。
笠原は何度も何度も藩に申し入れるが、その門戸はなかなか開かない。
この作品は昭和46年、当時の青少年向けに書かれたもので、
吉村さんの作品群の中でも初期に属するが、
それでも最近映画化されるなど、決して古びてなどいない。
歴史版「プロジェクトX〜挑戦者たち〜」があってもいいかもしれない。
天然痘について
2020/04/16 11:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:飛行白秋男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
尊敬する吉村昭さんの本、新型コロナウイルス蔓延を受けて再読。
目に見えない敵と戦うとは、こんなにも勇気のいることですし、自分の命を賭して
一人でも多くの人を助けるという信念、執念。
そんな人たちに我々は生かせてもらっている。
ありがとうございます。
良いですね
2025/03/29 20:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
コロナを経験した身としては疫病の対決が如何に難しいものであるかが理解できますね。結果を知っているからこそ、主人公への非難が理不尽であると思えますが、自分もコロナのときは石を投げる方であったのかもしれませんね。
よい小説に出会えた。無理解と孤独の中での戦い。
2025/02/15 10:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トッツアン - この投稿者のレビュー一覧を見る
漢方医だった主人公が蘭方を学ぶ謙虚さと進取の性格に刮目した。そうして、蘭方医としての力を蓄える中で、天然痘に対する種痘の確かさを確信。種痘を広めるために悪戦苦闘する。
非常に省略された文章の中で、それでもその想いや苦労が伝わる。薄い本ではあるが一息で読むほど夢中になってしまった。
主人公は孤独の中で戦いつづけたが、決して孤立してはいなかった。読む中で、そこに救いを感じた。
松平春嶽の英明さにも感心したが、それを囲む家来や下の役人の馬鹿さに、どこも同じかとも思った。
よい小説に出会えてよかった。
苦労が凄すぎて
2025/04/28 06:53
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
天然痘は、死の病として恐れられていましたが、地球上は絶滅したので、もう、日本でも種痘はやらなくなりました。その種痘を初めて福井藩へ持ち込んだ町医者の笠原良策さんの悲しいまでの苦労話。初めて、は、大変……