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読割 50
紙の本
古道具中野商店 (新潮文庫)
著者 川上 弘美 (著)
東京近郊の小さな古道具屋でアルバイトをする「わたし」。ダメ男感漂う店主・中野さん。きりっと女っぷりのいい姉マサヨさん。わたしと恋仲であるようなないような、むっつり屋のタケ...
古道具中野商店 (新潮文庫)
古道具 中野商店(新潮文庫)
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商品説明
東京近郊の小さな古道具屋でアルバイトをする「わたし」。ダメ男感漂う店主・中野さん。きりっと女っぷりのいい姉マサヨさん。わたしと恋仲であるようなないような、むっつり屋のタケオ。どこかあやしい常連たち…。不器用でスケール小さく、けれど懐の深い人々と、なつかしくもチープな品々。中野商店を舞台に繰り広げられるなんともじれったい恋と世代をこえた友情を描く傑作長編。【「BOOK」データベースの商品解説】
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紙の本
噛めば噛むほど味が出る、スルメのような一冊
2009/04/19 13:00
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エルフ - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公の「わたし」は小さな古道具店でアルバイトをしている、店長の中野は三回も結婚し子供もそれぞれにいるのに愛人とのことですったもんだのあるダメ男、店長の姉マサヨさんはいい歳なのに愛に生きている少女みたいな不思議な人、彼氏なのか同僚なのか分からないタケオ。
この4人の中で起きる日常の出来事が書かれているだけの作品にも関わらず何故か惹かれるものがある。
しかもこの本、人情ものかと思えばその芯にあるものは直球の恋愛ものなのだ。
ダメ店長の憎めない恋愛騒動、歳の離れたマサヨさんの愛の告白や、わたしとタケオの不器用なのだか何なのだか分からないけれどうまくいかない恋。普通に想像すると生々しい男女の恋愛なのに何故かキラキラと輝いて見えるから不思議である。
何か大きな出来事があるわけでもないのに次第に中野商店に自分も出入りしているような居心地の良さと、その世の中から少し浮いているような時間が永遠に続くとは思えないほんの少し漂う切なさが微妙なバランスで保たれている。
長居は出来ないけれど居座りたいなぁと思わせるこの感覚がこの本の良さなのだ。
そしてエピローグとも言える最後の短編がまた味わい深い。
おそらく誰にでも居心地の良い空間、時間、仲間に囲まれた期間があったと思う、しかしそれは一過性のもので永遠にその時は止まってはくれない。
変わってゆくものだということを前提にしてある居心地の良い空間というのが逆に読んでいて幸福感を感じさせてくれた。
噛めば噛むほど味が出る、スルメのような一冊である。
紙の本
川上弘美「古道具 中野商店」、せつなくもおかしい3つの恋模様。
2010/11/10 14:30
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オクー - この投稿者のレビュー一覧を見る
川上弘美の小説にはいくつかスタイルがあるのだが、これは「センセ
イの鞄」に近いスタイル。個人的には非常に好きな世界だ。舞台は東京
の西にあるとある町の古道具屋。「骨董じゃないよ。古道具なの。うち
の店は」と店主の中野さんが言う通り、店内には雑多なものが所狭しと
並べられている、そして、そこには、中野さん、店員のヒトミちゃんと
タケオ、時々顔を出す中野さんの姉マサヨさんがいる。この小説で大切
なのは「古道具屋」という空間、そこに流れる空気感だ。「センセイの
鞄」のあの居酒屋のような。その空間にいくらか個性的ではあるけれど
それなりにふつーの人々がいて、それぞれにそれぞれの恋模様がある。
あまりに不器用なヒトミちゃんとタケオの恋。泥沼的な中野さんとその
恋人サキ子さんの恋、しっとりと哀しいマサヨさんと丸山氏の大人の恋。
ヒトミちゃんとタケオとのうまくいかなさ、がなんともいい。50代半
ばのマサヨさんの恋はさらによい。出て行った丸山氏に対して彼女が語
る言葉が胸を突く。そして、2人の本当の別れ。これはちょっと泣ける。
ラストもなんだかツーンと寂しくて、たまらない。
ブログ「声が聞こえたら、きっと探しに行くから」より
紙の本
なんかいいんだよね
2018/12/04 01:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ルイス - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本を読み終えてからもう一年は経つ。
でも中野商店の店の様子がいまだにはっきりと脳裏に浮かぶ。
それぞれキャラが立っている登場人物たち。。
浮気したりダメ男なんだけどなぜか憎めない中野さん。
中野さんのお姉さんも最高だった。
主人公が恋したりはあるが、特にドラマティックなことは起きない日常系。
またそのうち読み返したいと思う一冊でした。