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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:1998/08/28
  • 出版社: 新潮社
  • レーベル: 新潮文庫
  • サイズ:16cm/637p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-10-127021-X
文庫

紙の本

ホワイトアウト (新潮文庫)

著者 真保 裕一 (著)

【吉川英治文学新人賞(第17回)】【「TRC MARC」の商品解説】

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ホワイトアウト (新潮文庫)

税込 1,045 9pt

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書店員レビュー

ジュンク堂書店三宮店

雪で覆われた山奥のダム湖という…

ジュンク堂書店三宮店さん

雪で覆われた山奥のダム湖という陸の孤島でテロ事件が発生!しかも主犯の男が中々の鬼畜外道ときたらあなたはどうしますか?
私ならまず失神して殺されるか、犯人グループに寝返ったりするかもしれません。…しかし、このダムの職員で物語の主人公、富樫輝男は違います。荒れ狂う吹雪や乱れ跳ぶ凶弾にも勇敢に立ちむかい、犯人たちを追いつめていく様は、男ながらホレボレします。
雪山ならではのラストや、犯人たちとの駆け引きに終始圧倒されっぱなしでした。

文庫・新書担当:中山

みんなのレビュー223件

みんなの評価4.2

評価内訳

紙の本

傑作とまではいかない

2000/10/18 23:03

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:CURB - この投稿者のレビュー一覧を見る

 『奪取』を先に読んだ私は、真保裕一を好もしい作家として、その作品を欠点はあるが大変「読める」ものとして認めていた。文庫版の解説は、「なによりまず文章がいい」などと言っているが、文章は、彼の弱点である。彼の真価は、その弱点を補って余りある入念な取材と、何よりそれを自己に課す厳しいプロ意識だ。『ホワイトアウト』がこれを超えて作家随一の作品ならば、なるほど『不夜城』を凌ぐ傑作だというのもあり得ぬことではないかな、と期待したのだった。しかし、一読、2回目の『ダイハード』を見るかのごとき印象に、作家に対してはため息を、書評家連には嘲笑を送った次第である。
 『ダイハード』は傑作であった。もとよりよくできた映画のこと、二度目ではあっても、そこそこ面白い−『ホワイトアウト』はちょうどそんな感じだ。それは、二つの作品の筋立てが同じであることは誰にも見やすいことだ、ということのほかに、『ダイハード』を知っているいないにかかわらず、この作品の面白さは、それくらいの見当だ、ということである。
 「いいか、丸山では金子があとを追ったが逃げられ、裏のホテルでは戸塚も振り切られた。ゲームでも訓練でもいい、おまえは、この二人から逃げおおせる自身があるか。」(文庫版183ページ)
 テロリストのリーダが主人公の存在を認識したばかりの頃の発言だが、私が、「え、もうそういうことなの?」と思った場面だ。『ダイハード』において、ハンス・グルーバーはジョン・マクレーンを最初、「紛れ込んだネズミ」として認識する。グルーバーがマクレーンをただならぬ天敵として認めたとき、「やっと気がついたか」と私たちは思う。そのときまでに、マクレーンのヒーロー性を十分、見せつけられていたからだ。だが、引用の場面では、私たちは、金子と戸塚がすごいヤツだと強引に認めさせられ、したがって二人から逃げた主人公はただ者ではないと思え、と押しつられているだけなのだ。これは、この作品の失敗の原因を象徴的に示す場面である。
 この作品が、圧倒的なインパクトで私たちに迫る可能性を、その設定に有していながら、結局できずに終わっているのは、作者に「描写」ができないことにつきる。テロリスト・冬山・凍りついたダムがつくりだす困難な状況を、作者は「描写」しなければならない、だが、引用したような言葉やダムの高さが何メートルとか日本最大だとかいった説明では何の役にも立たないし、修飾語をいくら積み重ねても「描写」にはならない。
 もちろん、主人公に迫る困難を表現しようとして、作者はある特別の手法をとっている。困難に遭うと主人公は決まってくじけそうになり、ときに幻覚を見るほどに追い詰められ、しかしその中で、死者への思い、失敗への後悔、死者との約束などに励まされ、何とか窮地を脱出する。「何とか」というのは私が省略したのではなく、原文は、その前の主人公の心理の移り変わりに終始して、肝心の「困難の描写」はほとんど何もなされていない。こんな馬鹿の一つ覚えの子供だましに、何で立派な大人が騙されなければならないのか。困難が描けていないから、困難からの脱出のカタルシスもきちんと描けない。
 我々の現前に示された状況において、私たちでは機転が利かずに思いつかないだろうことを思いつき、私たちの能力ではできそうにないことをやってのけて、初めて感動は生まれる。実はここに現場の人間しか知らぬ抜け道がある、みたいなことを言われて切り抜けられても、少なくとも2回目からは「へえ」と思うだけだ。
 細かいことを言えば、笠原の人物設定がムダである点など、本書は懸賞応募作のような未熟さをもった作品で、次回作に期待を抱かせても、とても絶賛するような出来ではない。

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紙の本

読み応えあり

2001/04/25 15:48

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:こんばやし - この投稿者のレビュー一覧を見る

 すんごくおもしろかった。
 こういった類いの小説を読んだのは久しぶりだったんですが,雪山やダムの描写及び主人公の心理などがとても細かく書かれていて,読んでいくにつれ徐々にテンションが上がっていきました。
 主人公が困難に立ち向かう時,よくプロローグで起こる悲劇の事を思い出し奮起するんですが,読んでいて「ちょっと,しつこいよなぁ」と思っていました。
 がしかし,それがラストシーンにも反映しており,涙こそ出ませんでしたが,グッときてしまいました。

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紙の本

知識の披露が玉にきず、だが勢い十分の作品。

2000/07/25 13:31

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あつぼん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 冬山の日本最大の発電所をテロリストが占拠して、偶然逃れられた所員がたった一人で立ち向かう、という冒険小説。デビュー作に比べても(さすがに3、4作を経ているだけあって)、主人公の心の動きなどが描けており、無理なストーリー展開がない。著者の持ち味である、勢いで読ませるところは失われておらず、楽しめる作品に仕上がっている。

 相変わらず調査した内容をそのまま引き写したような知識の披露がときどき顔を出す、という読者に対して不親切(難しくてわからない!)な部分が玉にきずではあるが、読んで損はない。今後の作品も楽しみだ。

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紙の本

雪の世界

2016/04/30 17:16

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:おさる - この投稿者のレビュー一覧を見る

映画化もされていますが、
雪山の中のダムが舞台の話です。

ミステリアスなキャラクターが
活躍します。
装備の話などは少しとっつきにくいですが、
テンポよく話は進むのでととても面白いです。

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紙の本

これはイイ!

2003/03/27 18:47

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:じりくん - この投稿者のレビュー一覧を見る

買った理由

そのイチ:
映画にもなった小説だから。

そのニ:
その映画の主人公が、織田さんだから。

そのサン:
ちょっと分厚めの本を読みたかったから。

そのヨン:
本の裏にある梗概を読み、おもしろうそうだったから。

そのゴ:
なんとなく。

という感じなのです。
ほんとうに、最初は好奇心だけで買っていました。
実際読んでみると、正直、難しかったです。
でも、文章が読みやすく、若々しかったです。

大人になって、もう一度読んでみれば、もっとちゃんと意味を理解して読むことができると思いました。
これは、永久保存版ということで、真空パックにして残しておきたくなる一作です。

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紙の本

現代に甦った冒険小説

2002/04/06 17:10

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:真  - この投稿者のレビュー一覧を見る

 現代の舞台で冒険小説を成立させた作品。映画も大ヒットしたけど、小説のほうが何倍も面白い。一見するとアクションシーンばかりの派手な話に思えるが、緻密なストーリー展開に淡々とした文章という、いかにも著者らしい丁寧な作品となっている。ただ文句をいえば、肝心の「寒さ」があんまり伝わってこなかった(映画よりマシだが)。これは多分、あまりにも律儀に「寒さ」についての描写を並列した結果、全体的にメリハリがなくなったからだと思う。しかし傑作は傑作。誰でも楽しめる作品です。

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紙の本

思いの強さが精神も肉体も凌駕する。

2003/06/09 15:07

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:purple28 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 不機嫌な顔をして、文庫本を読みながらの電車通勤。ぎゅうぎゅうに詰め込まれた上、まだ入ってくる人間に押されながら、それでも本を読むスペースだけは確保する。そんな毎日。
 その日もいつも通り、不機嫌な顔をして本を読んでいたはず。
 けれど、いつしか電車の中にいることを忘れていた。
 不意に鼻の奥がツンと痛くなり、思わず涙がこぼれた。
 ちょうど真ん中あたり。富樫の行動を、長見署の副所長が涙声でねぎらう場面。思い出しても目が潤む。
 自分が本を読んでいる状況を忘れ、涙を流した作品はこれが初めてかもしれない。

 読み始めたのは、5月も中ごろ。ちょうど暑くなり始めたころだ。
 冬山になんて登ったことはない。温暖な地方で育ったので、冬でも雪が積もることは稀で、スキーすらしたことがない。豪雪の凄さは映像でしか知らない。
 しかし、読み進んでいくいちに、背筋が凍るほど寒い思いをすることがあった。
 風の音。雪を踏む音。耳元で鳴るフードの音。
 目を閉じるとすぐそばで聞こえるような気がする。
 そんな想像の中で、木々がしなり、氷が鳴き、水が流れ、ツンと寒さが身にしみる。
 貧困な材料しか持っていなくても、充分感じることのできる過酷な状況の中だからこそ、富樫のとった行動に感動したのだと思う。

 先日神戸で、3人の消防士が殉職した。現場で同僚が涙を流す姿が心に痛かった。
 生命を救うことを職業とする人たちは、自分の命を惜しんでいては仕事にならない。何よりも人命優先。彼らの判断は間違いではなかった。
 同じ消防士がそう語っていた。

 富樫の仕事はダムの運転員。雪山での遭難者を助ける必要はない。
 けれど富樫は、ダムの運転員である前に、“山男”でもあった。
 山に登る者として、遭難者を見捨てるわけにはいかない。
 ましてや地の利のある自分たち以外に、今そこにある生命を助けられるものはいない。
 その判断は間違っていなかったと思う。
 一緒に救助に向かった仲間が亡くなったのは、事故だ。
 それでも富樫は自分が許せなかった。

 テロ集団にダムを乗っ取られたとき、富樫は自分の“やるべきこと”を考えた。それは、ダム運転員としての仕事でもなく、山に登る者としての約束ごとでもない。
 自分が死なせた仲間の婚約者を救うこと。そして、彼女にその男の死に様を伝えること。

 何度も何度もくじけそうになる。極寒の中、テロなどという違う世界の敵と対峙するということ自体、無理な話なのだ。
 富樫はスーパーマンでも、正義のヒーローでもない。
 ただの、ダム運転員。

 もう後悔したくない。
 その一心で行動する。
 そんな富樫の気持ちは、届いたと思う。

 だからラスト部分、また電車の中で泣くことになったのだが。

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紙の本

文句無しの五つ星

2002/07/31 16:40

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:奥原 朝之 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 これは文句無しの五つ星。異論のある人はいないだろう。

 映像化を意識して書いた作品と著者が別の場所で述べているように、ロングショットで撮影すると映えるようなシーンや、息も吐かせまいとする連続した危機。あぁ、一度手にするともう眠れない。

 水力発電所(正確には下流域に住む住民)を人質に取ったテロリストと、発電所に勤務する一人の男の戦いを描いた作品。もう何度も絶体絶命になるわ、何度もこれはどうやって逃げるのかとドキドキさせるシーンは満載。
 無茶な脱出シーンもあったが、あれはご愛敬として差し引いても文句無しの出来栄え。
 伏線の張り方も良いです。驚きの連続。

 映画よりも原作の方が数段面白い。真保裕一の作品はこれを読まずして何を読むというぐらいの出来。まぁ間違いなく真保裕一の代表作でしょう。文句無しのお勧め。

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紙の本

不屈の男が挑む極限の闘い

2021/01/11 18:26

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:青頭倶楽部 - この投稿者のレビュー一覧を見る

平成7年に単行本が刊行の大ベストセラー小説。8年に吉川英治文学新人賞を受賞、
10年に文庫化、12年に織田裕二主演で映画化され大ヒット。それを受けて本書も
売れ、総計120万部以上がはけた。13年には漫画化もされている。豪雪地にある厳冬
下の巨大ダムを乗っ取り、下流域の村民の命と引き換えに50億円の身代金を要求
するテロリストと、超人的意志を持つダム職員・富樫輝男のたった一人の闘いの物語。

日本版『ダイ・ハード』という声もあるように、ハリウッド風味のアクション作品で、
読み始めると止まらない。富樫の不屈の魂は、自分の弱さのために友を失った悔恨から
という設定だが、読むうち彼に感情移入させられる。寒さ、疲労、恐怖といった苦痛が
ヒリヒリと伝わってくる。犯人らと警察の緊迫感の演出もうまいし、登場人物の心理、
置かれた状況が細かく描写されていながら、疾走感あふれるスリリングな展開は圧巻。
最後にはあっと言わせるどんでん返しも用意されており、完成度の高い作品である。
すでに指摘している書評もあるが、一点だけ難をあげるとダムの内部構造及び周辺
地理がつかみにくい。地図や構造図、さらに登場人物一覧があれば読みやすかった。

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紙の本

圧倒的な迫力で息もつかせぬ山岳小説

2003/01/29 23:27

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かいらぎ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 読むに当たって、まず地図を用意してもらいたい。それは新潟・福島県境に位置する「奥只見ダム」周辺の地図である。そう、この小説の「奥遠和ダム」は奥只見ダムがモデルになっているのだ。地図を見ながら小説を読み進むと、物語がその地に展開し、そして筆者の克明な描写により奥遠和ダムと周辺の銀世界が眼前に広がるのである。そして小説がまさに現実となって読者の脳裏に繰り広げられる。息もつかせぬストーリー展開と、雪と寒さとの戦いが圧倒的な迫力で読者に迫りくる。そして最後は思わず涙してしまった。

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紙の本

時代離れした高潔冒険ロマン

2002/03/02 18:16

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 非常に面白かった。最初文庫の解説目録で読んで面白そうとは思ったが、これほどとは思っていなかった。何がいいかと言えば、結局ジャンル的には冒険小説だから、ただのアクション娯楽で終わってもいいところを、それだけではない人間味をこめ、それを叙情性によって支えていることであろう。ラストはまさにそうした叙情の完成であって、ちょっとこの時代に珍しいほど印象的である。
 要するに、ここにはただの面白さではなく感動がある。話の作り自体は単純でも、解説にいう「シンプルだが骨太」なのであり、そうした太く短く単純素朴に的を絞った情緒が心に訴える。その単純な情緒の中心にあるのは、いささか時代離れした誠実や真摯さである。作者は、写真の様子や、アニメーションディレクターだったという経歴などからすると、こうした骨太な情緒には無縁そうにも見えるのだが、やはり今の時代にも、高い精神性を求め、失われた素朴な情を懐かしみながら、より確たるものへの希求があるということだろう。
 そうした精神性は、それを必然とすべき人物設定に支えられている。即ちヒーローは、古風な美学が残る山男で、しかも親友を自分の過失で死なせたという傷を抱える身であり、ヒロインは恋人をなくした深い喪失感から立ち直れずにいる。この両者と、愛する妻子をテロリストに殺された人物も加わって、三様に、しかし「傷」という共通要素において関わりあうのは、冒険小説としてのプロットだけではなく、人間のドラマとしての成功を支えるものだろう。語りがこの前二者と警察側の副署長に分散され、かつ絞られているのも、緊迫感を増す効果があり、技術的な成功である。特にいいと思うのは、中心人物の二人が、再三互いのことを考えながらも、直接語り合う場面がついになく、最後の最後で一種超越的な交流が図られるところだ。これはにくい演出であり、ラストの感動をより引き締まったものにしている。
 既に映画化もされていて、そちらはよくある話であまりパッとしなかったが、この小説自体が、雪の叙情や、ダムの迫力、それなりのアクションシーンなどですこぶる映画的だ。しかし、一方ではそれは徹底して人物の内面に入り込んだ描写であり、アクションだけでなく、人間の心の動きを迫力をもって描き出してくれるのは、まさに小説の魅力であろう。知識面だけでなく、ちゃんと人間のことがわかっていると思わせるような、知性を感じられる文体もいい。

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紙の本

骨太の冒険小説と男の強さ

2001/09/13 12:27

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ちょこらんたん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 映画が爆発的にヒットしたこの作品だが、どちらもまだ読んだり観たりしていなければ、私は間違いなく小説の方を読むことをお薦めする。映像では到底表現することのできない、厳冬期の巨大ダムでの闘いが見事に描写されているからだ。
 大自然の冬山で繰り広げられるテロリストとの緊迫した闘いと、それにたった一人で立ち向かう富樫。彼は3ヶ月前、雪山で親友の吉岡と遭難し、自分だけが助かるという辛い経験をした。その吉岡の婚約者に遭難の詳しい状況を説明しなければならない。それがお互いにとってどんなに辛いことでも、そうすることが山で生き残った者の最後の務めだから。そんな折、富樫のいるダムが「赤い月」と呼ばれるテロリストによって占拠される。たった一人脱出に成功した富樫は、外部に救助を求めるため、そして仲間を助けるため彼らに闘いを挑む。「3ヶ月前」の救助を、今度こそ間に合わせるために…。

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紙の本

彼が求めるのは、誰も犠牲にすることがない、ただそれだけの、自分の強さ。

2000/07/20 15:58

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:水瀬 - この投稿者のレビュー一覧を見る

人は誰でもミスを犯す。限界が見えたら立ち止まりもする。
しかし、それが、友の死を招いたら…。

取り戻せない過去への、やるせないと言うにはあまりに切ない思い。
罪の意識、それを償いたいとひたむきに願う気持ち。
そして、償うためなら自分の限界など見えない振りをする、その強さ。
主人公の心理が胸に迫って、息がつけない。

人間として当たり前の弱さ。
友をその弱さの犠牲にしたと苦しむ彼に、同じような状況が訪れたとき、
彼は、もう二度と、誰も、その弱さの犠牲にしたくないと、
ひたすら、敵と、弱さに屈しようとする自分と、戦い続ける。
自分の命すら懸けたその誠意が、日常では味わえない感動を味わわせてくれる。

展開やストーリーはスピード感にあふれ、途中で止められない。
白いこの世界に引きずり込まれてしまう。
でも、娯楽小説だなんて言えない。
心の弱さを克服していく主人公に、二度目の挫折を頑なに拒むその心の強さに、
感動しないではいられない。
小説を読んで、ここまで泣けるとは思わなかった。

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紙の本

ネット評価が高いので、読みました。

2014/10/21 00:07

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:shingo - この投稿者のレビュー一覧を見る

ネット評価が高いので、読みました。
雪山ダムがテロリストに占拠される冒険小説。文章の緻密さのせいか、読み進めるのに苦労しましたが、それだけ構成がよく出来ています。

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紙の本

スリル

2002/02/26 17:13

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:カノン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ひきつけられる文章。一分一秒も目が離せない。それが感想。映画よりもこっちのほうがスリルはあると思う。

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