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紙の本
永遠のヒーロー、クレヨンしんちゃん。それを髣髴とさせる少年が現れた。これがまた、可愛い。その名は伝助。宮部みゆきの『ぼんくら』を連想させる楽しさ満載
2004/10/12 22:16
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
《賭け事が好きで、サラ金に借金をした38歳の伊達秀吉。自殺を試みるものの、矢張り怖くて仕方が無い。車に無断で入り込み眠っている少年を見ているうちに起死回生のアイデアが》ユーモア小説。
たった一人の登場人物が、その作品の価値を決めることがある。宮部みゆき『ぼんくら』がいい例だが、それに匹敵する少年が現れた。
競輪、競馬、賭け事と聞けば心が騒ぐ伊達秀吉。名前こそ勇ましいが、至って度胸が無い。16歳で鑑別所、22歳で刑務所に入り、二年前に三度目の勤めを終えて出てきたという事実が何の重みも持たない軽い男。元犯罪者である自分を雇ってくれた親方を殴ってまでして強奪した金も賭け事で泡と消え、これまで、と自殺を決心するが、理屈をつけては先延ばし。
そんな秀吉の前に転がり込んだ六歳の少年。塾に行くのがいやで、道端に止めてあった車に入り込んで眠ってしまった無邪気な篠宮伝助。で、でんすけ〜?一体全体、だれがこんな名前をわが子につける?そんなどこか懐かしいような子供らしい子供と頓珍漢な会話をしているうちに秀吉に浮かんだ悪心。
伝助はどうやら金持ちの家の一人息子。父親の職業は「ボーなんとか」という企業のオーナーらしい。少年の携帯を利用し、まず母親の篠宮多香子に連絡を入れる。要求金額は、話しているうちに段々大きくなって五千万。刑務所で仲間から伝授された方法を思い出しながらの誘拐劇が始まった。
登場するのは、泣く子も黙る社長 篠宮智彦の下に集まる傘下企業の面々。組長の妻に想いを寄せるチェリー、せっかくの人質に息子の面影を見てしまう王、一人成績を上げようと、休日にも係らず黒崎を叱咤する栗林巡査部長。伝助の父親で社長の篠宮智彦、息子を智彦に殺され復讐を誓う香港マフィアの王宗華、久しぶりの家族サービスに燃える埼玉県警暴力班の黒崎係長が三つ巴になって奏でるラプソディ。
たしかに秀吉は偉大かもしれない、でも四百年の時を越えて、この小説で異彩を放つのは、なんと言っても圧倒的な存在感を見せるクレヨンしんちゃん、こと小さな伝助。「ふぁ〜」「コケコッコー」「トレントレン」「ンガッ」「けぽ」などコミックで見たような言葉はまだ甘い。「エスエヌプレー」「ウンウンウンコ」も序の口。
彼の口からこぼれる奇妙な幼児語が実に活き活きとしている。自分が子供の頃って、この位、物を知らなかったよなと肯かせる。ただし、腰巻の謳い文句「思わず涙する」はいただけない。ラストですら、こみ上げるのは苦笑。いや、もしかして出版社が言いたかったのは、笑い涙?
宮部みゆきの『ぼんくら』以来の納得できる子供の造型に拍手。こんな子供なら、男の子嫌いの我が家だって歓迎だ。
紙の本
人生はオーケセラセラでいきましょ。抱腹絶倒の快作。
2007/11/24 22:09
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よし - この投稿者のレビュー一覧を見る
いやー、楽しかった。絶妙の主人公と子どもの会話。久しぶりにケラケラ笑った快作でした。
賭け事が好きで、サラ金に借金をし、挙句にお世話になっている親方を殴って飛び出た伊達秀吉。自殺を試みるものの、その勇気もない。車に無断で入り込み眠っている少年篠宮伝助を見て誘拐を思いつく。
実はこの少年の父親は「ボーなんとか」という会社のオーナーである。実はその筋のオーナー(組長)なのです。総力を挙げ、追う組長以下、その筋の人たち。そして、香港マフィア。それに警察。三つ巴の戦いはまさにラプソディ。
この作品はなんといっても、主人公が誘拐する伝助。まさに子どもの中の子ども。
「ふぁ~」「コケコッコー」「トレントレン」「ンガッ」「けぽ」などの言葉は最初、とっつきにくかったが、次第に効果が現われ、終わりはいい味になってきます。
伝助との逃走劇で自殺をしようとした秀吉の気持ちが「生きていりゃあ、いいこともある。悪いことばっかりじゃない」と変わってくるんです。伝助が希望を与えるんですね。秀吉の弟の面影を感じつつ。そして芽生える友情。
ラストはちょっぴり、涙ものですが、明るく爽やかに終わっています。
人物全てが個性的。そして、スーパー少年、伝助が本当にいい。
そう人生は「オーケセラセラ」でいきましょう。
ストレス解消間違いなしの快作「誘拐ラプソディー」。荻原さん上手すぎです。
紙の本
上質のユーモア犯罪小説でした。
2016/06/09 14:39
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
小説を始め、映画やTVドラマでもよくある
シュチュエーションなんですが面白く読めました。
逆にこの設定で書こうと考えただけでも
萩原浩氏の自信のほどが伺えるようです。
大げさで派手な演出ばかりにならずに
ちょーどいいタイミングでユーモアも絡め
最初から最後まで楽しめる上質な作品でした。
紙の本
ストーリー展開が面白すぎる!
2016/02/18 08:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品は、荻原氏の特徴がよく出ている作品です。「誘拐」という犯罪がモチーフになっていながら、登場する人物たちの面白さとユニークさに知らず知らずのうちに笑ってしまっている自分自身を発見します。主人公(誘拐犯)の伊達秀吉という人物はもちろんですが、誘拐された小学生、篠原伝助も非常に愉快な設定になっています。誘拐犯である秀吉と伝助を追う様々な関係者、そこには伝助の不思議な家族、それに中国系マフィア、さらに警察などが含まれます。さて、彼らがどのような行動をとるのか?そして、彼らは一体どのような関係なのか?非常に楽しめること間違いなしです。
紙の本
人生に行き詰まり子供を誘拐した男が繰り広げる逃走劇が魅力の痛快ユーモア小説
2010/02/04 19:08
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
<あらすじ>
借金と前科だけで根性なしの伊達秀吉は、面倒を見てくれていた工務店の親方を殴ってわずかな金と車を奪って逃走した。
自殺しようとするものの、なかなか踏ん切りがつかず、いつのまにか奪った車の中で寝ていた子供・伝助を誘拐することを思い立った。
しかも伝助の家はかなりの金持ちらしい。
賭け事で負けっぱなしの秀吉は、今までの負けを帳消しにするとんでもないツキが巡ってきたと大喜びするが、実は「とんでもないツキ」だった。
<感想>
いきなり描かれている、主人公の自殺をためらう様子で、どんな小説か想像できる。
死のうとするが死にたくないので理由をつけて死なない、まるで子どもが夏休みの宿題を先延ばしにしているようである。
秀吉の自殺を逡巡する様子が目に浮かんで人物像ができあがり、のっけから引き込まれるユーモア小説である。
本書は、子どもを誘拐したことから始まる、危険な人物たちからのユニークな逃走劇や、誘拐した子どもとの暖かい関係が魅力の作品。
追う側追われる側と切り替わる場面が、ハラハラドキドキを助長させ、次から次へと展開していく話はまったく飽きない。そして一気に読み終えてしまう。
また、これで逃走劇も終わりかと思ったところで、再び起こるアクシデントは嬉しい誤算。
裏表紙にある通り『たっぷり笑えてしみじみ泣ける』物語だ。
ヤクザやチャイニーズマフィアは「なかよし小鳩組」のノリ。
秀吉のドジさと優しさは「ハードボイルド・エッグ」の主人公を思わせ、伝助は「母恋旅烏」の寛二を思わせる。
これらの作品が好きなら読んで間違いはない作品だと思う。
紙の本
凸凹コンビが懐かしの埼玉を駆ける
2019/12/28 05:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
間抜けな誘拐犯と、しっかり者の人質の組み合わせがユーモラスです。逃走経路の大宮市や浦和市など、地図から消えた地名も懐かしく感じました。