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白い服の男 改版 (新潮文庫)
白い服の男
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収録作品一覧
白い服の男 | 7-32 | |
---|---|---|
月曜日の異変 | 33-44 | |
悪への挑戦 | 45-70 |
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紙の本
情報を統制することの怖さ
2018/05/31 19:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
10代の頃は星新一の大ファンで、とぼしいお小遣いから本を買いそろえたものです。
いつしかあまり読まなくなって、震災の後に本も処分してしまいました。
寓話性を確かめたくて初期の作品を少々読み返したりもしていましたが、気になっていた作品の題名が分かったので、ひさしぶりに星新一の本を読みました。
『白い服の男』です。
表題作に登場するのは、特殊警察官。
取り締まるのは戦争に関する一切のこと。
その世界では、戦争にまつわる記憶も記録もすべて抹消することになっているのです。なんでも、なかったことにすりゃいいんだよ、ではすまされないよという皮肉と、情報を統制することの怖さが表れた作品でした。
紙の本
ぞっとする話が多い
2017/03/25 15:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:tamayo04 - この投稿者のレビュー一覧を見る
星さんはショートショートですんなりと読み始められてすぐに読み終わる作品が甥ですが、この作品集は表題作をはじめとして何となく後味の悪さが残るような作品ばかりでぞっとする感じです。怖い話を淡々とした文体で書かれているので余計怖いのですが、上質のエンタメを味わっているような感覚はやはり消えません。
紙の本
短編ディストピア
2015/11/13 15:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:上司幾太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
文章は大変読み易く個々の話も短いため、一気に読むことができた。
本の厚みは薄いが、中身は濃く問うてるものは深い。
紙の本
正義の狂気、傍観の転倒
2010/04/28 00:44
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:四十空 - この投稿者のレビュー一覧を見る
星新一の作品は1000を超えるので、2010年現在にフィットする作品と、時代錯誤な作品に別れるようですが、本作品はきわめて前者に思われます。
戦争の「せ」の字を言わせないために、歴史の書換えや焚書坑儒、盗聴やら拷問を子供に対してまで嬉々として行う「白い服の男」の正義の狂気っぷりは、トンチンカンな現在の政治や、役人、企業、教育者とあまりに重なり、ブラックジョークというよりも、ひどく身近に感じられ、
またテレビを見続けて外界と接触せず、物も食べないで、「やられるものは悪」と幼児的結論で傍観者を楽しむ「老人と孫」、人気処刑番組のファンである一女性が一転、殺人者として死刑囚になる「悪への挑戦」は、傍観者の残酷と落とし穴が心地よく気持ち悪くて、うまいのです。
紙の本
ブラックユーモア、テンコもり…
2007/01/07 22:13
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:宇宙の三文文士 - この投稿者のレビュー一覧を見る
とってもコワい、星新一ぶし。
理路整然と正当化される、壊れちゃった世界…。
あー…、もしかして著者の社会性を丸写し(たたられるぞ!)?
読者を洗脳しようとしているフシもあり(いいたい放題だな…)、読む前にしっかりと「倫理観と道徳精神」をご確認ください(ナンだと?)。
語られているのは、あらかた未来なのですが…「昭和のにほひ」が芬々と香る仕上がりとなっております。
ムツカシイSFではありません。殺人マシンや社会の崩壊なんかも、内部構造やら仕組みやらの解説は一切ありませんから安全です(何が!?)。
今ではどっかで見たり聞いたりしたことのあるものが未来技術として語られてます(「先見の明」です)。それでも「SF」が成立しているのは、やっぱり巨匠ですね。
紙の本
星新一が創り出した、悪を憎む心の敷衍した世界。歪な理想が警鐘を鳴らす寓話の数々
2010/02/23 19:38
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書に収録されている作品の多くは、星新一作品の特徴である意外な結末、どんでん返し的結末が息を潜めている。
誰の心にもある正義や悪を憎む心を敷衍させて極端な世界を創り出し、行き過ぎた正義の歪んだ不自然さと警鐘を描いている様子は、大人のための寓話といった趣向となっている。
収録作品は全10話。
『白い服の男』
私は特殊警察機構分署署長をしている。
白い制服を身に纏った我々は、戦争という概念すらこの世から消し去ることを目的としている。
戦争に興味を持った者は人類の敵だ。今日も彼らを捕らえ、見せしめの極刑に処するのだ。
戦争は悪だという思いは誰の心の中にもあるだろう。
この物語はその思いを具現化した世界。
行き過ぎた理想から創り出された歪な世界は、寓喩に満ちている。
『月曜日の異変』
満里夫の妻は魅力的で性格も良かったが、動作が男っぽく言葉遣いがぞんざいだった。
ある朝、目覚めて妻を呼ぶと、やさしく、すがすがしい言葉が返ってきた。
やさしく丁寧な言葉遣いとなった妻は完璧だったが、結果的に彼を苦しめることになった。
ほぼ完璧な妻の欠点に目をつぶれない男たちへの警鐘か。
『悪への挑戦』
現実に起こった事件や事故の瞬間をリアルに再現し、その犯人の裁判と処刑をテレビで公開している。
法の存在と秩序ある社会、悪の末路と正義の勝利が視聴者を興奮させる。
悪人に同情は不要なのだ。
悪に同情せず徹底的に追い詰めるすばらしい世界。
しかし偶然にもかかわらず証拠がない事故を起こしてしまったら……。
白と黒とに分けすぎる遊びのない社会の問題を描いている。
『老人と孫』
老人と孫娘はテレビが大好きで一日中眺めている。
画面の先で、暴動が起きようが火事が起きようが戦争が起きようが、ここでは安全なのだ。
絶対に悪い方ではない彼らを神だって見放すはずがない。
テレビの先で起こっている出来事に無関心となりつつある我々への警告に感じる。
現代社会への嘲笑すら感じる作品。
『テレビシート加工』
紙より少し厚みがあり柔軟性のあるテレビシートが開発されてから、目覚ましい普及を遂げ、スプーンからビルの外壁、車の外装にいたるまで加工されるようになった。加工されたものにはオルゴールのように映像が繰り返される。
テレビシートから写し出される映像は美しく、動かない単調な模様や色は人を不快にさせるのだ。
星新一が有機ELディスプレイを見たらどう思うだろうか。
『矛盾の凶器』
特殊任務担当の刑事三郎の元に、博士の変死体が発見されたとの情報が入った。
密室の研究室、非常ベルを押したことからも自殺ではないが、首を絞められた跡が残っている。
変わり者で人付き合いがなかった博士の研究室で、人間の正常と異常を識別し、異常な人間を発見すると殺すという狂気処理機なる蛇型ロボットの設計図が見つかった。
博士の死因とロボットの機能を究明する様子はミステリーのようでもあり、「特殊な状況下」における人間の異常を戒めた作品のようでもある。
『興信所』
神経科医のエヌ博士は、興信所の社長から息子の夜遊びの相談を受けた。
墓地へ行き低い声で何かを喋るというその息子の跡をつけた博士は、目に見えぬ声から話しかけられた。
収録されている他の作品と違って、結末にひねりを入れた従来スタイル?の作品。
奇想天外な展開とニヤリとさせられる結末が、本書中の息抜きになっている。
『特殊大量殺人機』
エフ博士は、陽子振動式・特殊選択的・遠隔作用・大量殺人機を造りあげた。
簡単に言ってしまえば呪いの殺人術を機械化したもの。その威力は絶大にして完璧。この世から悪は一掃された。
新しい分野の装置開発を考えた博士は、この装置の性能をちらつかせて財界関係者へ資金を要求したが……。
財界関係者が同じ装置を作ったことから始まる、世の中の混乱はミニ核爆弾の拡散とも言える。
やがてバランスが取れるだろう状態は、核抑止を想像させる。
『ねぼけロボット』
地球から移民した人々の星から星へ品物を運ぶ貨物宇宙船で、植物の種が発芽して警報機が鳴り出した。
突然変異したその植物は、葉から粘液を分泌し、金属を侵すのだ。何とかしなければ宇宙船に穴があく。
手の出せない乗務員は、積荷にあるロボットにその任を委ねた。
宇宙船内のドタバタ劇を描いた作品。
人類の行く末を描いた恐るべき最後の作品「時の渦」の前に用意された、楽しい一時のようでもある。
『時の渦』
ある日時を越えて、その先のことを口に出すことも考えることも占うことも出来なくなってしまった。
「ゼロ日時」という言葉が囁かれ、世界はゼロ日時に向かって時を重ねていった。
最後の日かもしれないゼロ日時当日は、爽やかな秋晴れとともに人々を穏やかに過ごさせた。
ゼロ日時を過ぎたあとに起こりだす、ある存在による人類への恐るべき現象の意味を突きつけられたとき、ものすごい衝撃を受けた。
星新一の恐るべき解釈に、ただ言葉を失うばかり。
紙の本
結構過激な内容ですが
2002/05/26 12:10
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DMSO - この投稿者のレビュー一覧を見る
舞台設定は未来の地球。戦争を起こしてはならないという考えから、戦争に関する全てを排除するようになった。「戦争」と口に出そうものなら、逮捕され鎖につながれ、一般市民に鞭で打たれる。「白い服の男」の考え方に共感する部分もあるが、ここまでしないと戦争は無くならないのかなあと思った。