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商品説明
雪深い町で育った姉妹。姉が中学時代に淡い想いを抱いていたクラスメートと妹が婚約したことを発端に、2人の心の溝は広がっていったが…。雪国を舞台に、姉妹の心の成長と和解を描いた感動の物語。心の雪解けは必ず訪れる!【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
浅倉 卓弥
- 略歴
- 〈浅倉卓弥〉1966年北海道生まれ。東京大学文学部卒業。「四日間の奇蹟」で第1回「このミステリーがすごい!」大賞・大賞金賞を受賞し作家デビュー。他の著書に「君の名残を」などがある。
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紙の本
“読書は人を成長させてくれる。”そう確信した1冊。
2006/03/15 01:39
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作『雪の神話』はファンタジー要素が強い作品であったが、本作は読者にとって身近に感じられる究極の姉妹愛を描いた女性読者必読の感涙作品に仕上がっている。
この人はこれからどれだけ巧くなっていくのであろうか?と余計な心配をしたくなるほど物語の構成が巧みである点は読まれた方なら必ず賛同していただけるであろうと確信している。
なぜなら前作より読者の胸がより締め付けられる作品に仕上がっているからだ。
題名の北緯四十三度はやはり札幌のあたりであろう。北海道生まれの著者ならではの情感たっぷりと一気に読ませてくれる。思春期特有の心の揺れから大人への成長となんといっても2人が手に取るように読者にわかるところが一番の読ませどころなのであろう。
本作の成功はやはりテンポよく挿入されている和貴子のDJ部分。
舞台が寒い北海道だから余計に心がぽっかぽかになるところが本当に憎いのである。
それにしても亡くなった恋人って素敵な2人から愛されて本当にしあわせものですね。
姉妹の幸せを天国からずっと見守っているのでしょう。
是非映画化希望、大ヒット間違いなしだろうな。
美味しい役は誰がゲットするんでしょう(笑)
本作を読んで浅倉ワールドがすでに完成の域に達しつつあることを強く感じた。
たとえば“せつない小説を書く作家を5人あげなさい!”と言われたら迷わず浅倉さんの名前をあげたいと思う。
男性読者の私がそう感じるのであるから、とりわけ女性の方で姉や妹がいらっしゃる方が読まれたらそれぞれの視点で語られているので必ず共感できるんじゃないでしょうか。
素敵な物語は読者の心のビタミン剤である。
読後、自分の本音を語れる人って何人ぐらいいるのであろう?と考えてみた。
読書は人を成長させてくれる。
そう確信した1冊である。
活字中毒日記
紙の本
銀河を喚起させる小説
2005/12/29 17:22
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紫月 - この投稿者のレビュー一覧を見る
雪深い町で育った姉妹の物語。
著者のこれまでの作品に比べると、本書は設定・登場人物共にとても平凡。天才少女や人でないものが登場するわけではなく、主人公がいきなり過去に飛ばされたりすることもない。
内容も、姉妹の長年にわたるわだかまりと、これまたどこにでもあるような話だった。
それでも『心洗われるすがすがしい書き下ろし小説』のコピーに惹かれて購入してみた。これまでの作品はどれも『清々しい』と形容するにふさわしいものだったから、今回も外れてないことを期待して。
北緯四十三度ってどのあたりだろう?
地理に疎い私はネットで調べてみた。
すると、旭川・札幌がヒット。
北海道なんだ。
雪深いはずだわ。
納得して読み進むと、期待が外れてないことがわかり、一安心。
男性作家が描く女性というのは、女の側から見るとひどく浮世離れしていたり、どこかちぐはぐな感じがするもの。それが、姉妹の葛藤を描くだなんて無理なんじゃないだろうかと、とっても失礼な予断を持っていた私だけど、これも危惧だった。
思春期の頃から姉妹の間にわだかまっていた事柄や二人の心理がとても丁寧に、繊細に綴られている。
肉親だからこそいっそう愛したり憎んだり、そしてその感情に振り回されてしまったりする二人の心情が、独りよがりな文章に陥ることなく爽やかに綴られていた。
やっぱり、読んで正解。
そして本書にはもう一つお楽しみがあった。
桜庭姉妹の妹、和貴子の職業はラジオのDJなのだけど、彼女が番組の度に選ぶ曲目がふるっている。
題名も知らなかったものもあったけれど、和貴子が曲を紹介するセリフからどんな曲だか想像してみるのも楽しいものだ。
私が聞いてみたいと思った曲は和貴子が姉の菜穂子に贈ったもので、ブリテンダーズの『ショウ・ミー』。
なんでも銀河を喚起させるそうだ。
本書もちょうど、そんなイメージだった。
紙の本
ま、今日本を席巻しているあまーいお話なわけで、好きな人にはたまらないんでしょうね、トレンディドラマの世界。でも私は駄目、この手のテレビD出会えるお話って
2006/11/20 20:23
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
じつは期待していました。著者のことは全く知りませんでしたが、WOWOWで『四日間の奇蹟』が何度か放送されていますし、著者略歴には「四日間の奇蹟」で第1回「このミステリーがすごい!」大賞・大賞金賞を受賞し作家デビュー、なんてえ記事も見えます。ただ、著者名の浅倉卓弥、ってえのは詰まらない。人の名前のよしあしを言える立場じゃあないんですが、魅力はないですね。
だって、本作りのメンバーの名前を見てください、装画 漆原冬児、装丁 斎藤深雪ですよ。冬児さんもですが、なんたって斎藤深雪、痺れるじゃあないですか。文藝春秋の本をよく担当している深雪さん、実は同じ出版社の三浦清宏『海洞』でも、その技の冴えを見せているんですが、ともかく、この字面の美しいこと。これって完全にアニメのヒロインですよね。で、それに比べるとね・・・
それに、今回のカバー画、私は好きじゃあないんです。余りの季節感とメルヘンチックなボカシが、なんていうかベタついちゃうんですね。これでセカチューみたいな内容だったらどうしようか、って。でも、「このミス」大賞・大賞金賞なわけですよ。つまりミステリ。幾らなんでも甘いミステリはないよね、絶対読んで損しないよね、なんて星に願いを捧げちゃうんです。
主人公は桜庭菜穂子です。人によっては妹の和貴子も同列に置いて二人が主人公みたいな言い方をする人もいるみたいですが、この話はあきらかに菜穂子だけがいいように書かれています。で、話は姉妹が中学二年のとき、遊びに来ていたスキー場で菜穂子がクラスメイト 樫村宏樹に出会うところから始ります。もうここで、話の展開がほぼ読めてしまうところが、コワイ・・・
で、お話はそれから13、4年後ということになります。実は、これが気になるんですね。なんで13、4年と曖昧なのか。なぜかっていうと、この出会いはこの話の核であり、全ての出発点でもあるわけです。しかも、例えば50歳を過ぎた人が40年前を回想するのならともかく、30前の健康なひとが重要な年を曖昧にするっていうのが、変なんです。話の上からも、その日を曖昧にする必然性がないんですね。実は、それは舞台になる場所についても同じで、それが何処であるかは最後まで明かされることはありません。意味ないんですよ、そういう曖昧さ、ボカシが。
なんでこんなことをグダグダ書くか。実は二人の年齢が特定できないんです。ま、それは和貴子が番組の中で自分の年齢を27歳ということで、一応分りはしますが、DJが放送で実年齢をいうほうが珍しいわけで、やっぱりあいまい。で、菜穂子は30歳前ということは書かれていますが、中二から13年だと27歳で妹と同い年になってしまう。これが14年だと28歳。
これが気になる。今時、よほどのことがない限り年子はないんじゃあないか。少なくとも二歳の差が適当じゃあないか。一歳年が離れるということがこの話にとって、そんなに重要か、なんて思うんですね。つまり、時代、場所、年齢を曖昧にし、年の差を一つにしたことが話に寄与してない。むしろ不自然さをうむんじゃあないかって。
とりあえずこの姉妹の関係の核に、和貴子の婚約者で三年前に亡くなった桜庭のことがある。そういうお話です。
で、感想。日本映画だな、って。テレビドラマの世界だなって。ようするにセカチューと同じところに立っているんだって思うんですね。ついでに言うと、同時期に読んだ有川浩『レインツリーの国』、野島伸司『スコットランドヤード・ゲーム』にも当て嵌まるんです。この誰が作者であってもおかしくない物語。レベルも一緒。
大森望・豊崎由美『文学賞メッタ斬り!リターンズ』のなかで、ゲストである島田雅彦がいっていた、その人でなければ書けない、っていう作品じゃあないっていうところにズバリ当て嵌まるんですね。
紙の本
物語という雪面の上に残るシュプール
2006/06/03 21:56
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
重い。ずっしりと応えた一冊だった。
だが、一体何が私をしてそう思わせたのだろう。
姉妹の確執?
一言で言ってしまえばそうかもしれない。
妹は愛する。昔姉に仄かな想いを寄せていた人を。
姉はその妹を通して、昔の想いを手繰り寄せる。
あれは何だったのだろう。あれは恋だったのだろうか…。
しかしすべては彼がグライダーの事故により、死んでしまったところからねじまがってしまう。
物語は姉が大学の研究室で鬱屈しながら研究を続ける姿を主軸に、妹のDJの語りをはさみながら進行する。
そして時折挿入される、二人の幼少時代、両親を亡くしてしまった話。
巧みな物語設定と語り口である。
それにしても、全編にあふれるこの切なさは何だろう。
姉妹は決して憎み合っているわけではない。
むしろそこにはあたたかい愛情があるだろう。
けれど、妹にはどうしても越えられない壁ががあった。
それは、つきあっていた彼が死ぬとき「桜庭」と呼んだということだった。
「桜庭」は彼が中高時代同学年だった姉を呼ぶときの呼び方で、妹に対しては「和貴ちゃん」と呼んでいたというのだ。
私は姉よりの読み方をしていたからかもしれないが、ここで彼が「桜庭」と呼んだという事実でくくったのでもよかったと思う。
実際は「さくらば、わきこを、たのむ」というせりふに変換されてしまうのだが…、それでいいのだろうか。
いや、そのせりふに変換されたことによって姉妹の確執は溶ける。
だが彼が姉を愛していたとする方がより、白い雪の斜面を背景とした「神話」に近くなると思うのだが、どうだろう。
ひねくれた読み方だとわかっている。だが、そのような読み方もあるのだということを提起しておきたい。
白い白い雪の世界の中に繰り広げられる二人の姉妹の物語。
読めば心の中に、鮮やかなシュプールが残される。