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太陽の季節 改版 (新潮文庫)
太陽の季節(新潮文庫)
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収録作品一覧
太陽の季節 | 7−81 | |
---|---|---|
灰色の教室 | 83−161 | |
処刑の部屋 | 163−239 |
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紙の本
太陽の季節
2001/03/25 11:36
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:55555 - この投稿者のレビュー一覧を見る
発表当時はセンセーションを巻き起こしたのだろうが、今読むとその新鮮さは失われている。もう、古典になったということか。
紙の本
魅力的な文体の表題作
2001/01/29 10:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:白井道也 - この投稿者のレビュー一覧を見る
収められた5編のうち、表題作『太陽の季節』について述べる。
発表された1955年にはセンセーショナルであったはずの内容に、21世紀の読者が新鮮な衝撃を受けるはずなどない。無軌道な若者像しかり、即物的な恋愛感しかり。例えば、「この年頃の彼らにあっては、人間の持つ総ての感情は物質化してしまうのだ。最も大切な恋すらがそうではなかったか」という一文。あるいは、「もしも大人達が、自分等の造った世界を壊されまいと後生大事にするなら、彼等が恐れなくてはならぬのは共産党なんぞでは決してない筈だ」という一文。これらは、ただの正論でしかない。
では、この小説の意味づけを近代小説史の文脈内でのみすればよいかといえば、それは間違っている。21世紀の読者の目にも輝きをもって飛び込む文章がそこにはあるからだ。例えば、初めて愛のあるセックスを竜哉がするシーン。
「が、やがて彼は英子に敗れたのだ。(中略)竜哉の求めるものを英子は彼よりも高く高く挿頭しながら引き込み、竜哉は彼女を手元にとらえて貪欲に踏みにじる前に体をかわされ、自らが彼女の網の内に俘虜となって行った。奪い尽くせずして奪われたまま彼は終ったのだ」
早い話が、女をイかす前に自分がイってしまったという内容を表現しているわけだが、この文章のスピード感は美しい。そして比喩は空疎に響くどころか、竜哉がボクサーであるという設定とみごとに絡み合い、気高い肉体性を獲得している。
電子書籍
令和の今、読めば
2022/09/07 19:05
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
現代の若者が読んだら、いや、若者でなくても読めば、ちょっとねえ、というか、なんというか。あの時代は、これが新しい感覚だったんですね。すでに、作者は故人なので、今、どう思いますかと尋ねられないですけど。自分的には、セクハラとも取れました
紙の本
今も昔も
2002/04/21 00:07
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゴンス - この投稿者のレビュー一覧を見る
昭和31年、事件が起こった。それは、石原慎太郎というストイシズムを醸し出す、かつ世の中を達観する姿勢を示す青年の出現という事件であった。
『太陽の季節』は文壇だけでなく社会にも大きな一石を投じ、更に石原はそれを楽しんでいたのだから今の都知事としての暴れぶりには納得できるし、同時に物足りなさも感じる。と言えば都庁の職員に怒られるだろうか。
ともあれ、この作品には石原慎太郎の原点がある。モラルを打破し、自己肯定を貫く主人公。ボクシングを通して肉体的肯定に快楽を見出す主人公。この両者がシンクロした形で、主人公の生き生きとした息吹を伝えている。石原自身と共に。