紙の本
前を向いて生きていく為の教典
2021/07/10 21:15
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投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
禅僧という立場にある人からの人生の所謂指南書です。「生きる」ことについて強い信念を示しています。但し著者自身が言っておられるように、仏教用語を翳したり、説法したりという語り方が無い内容です。翻すと、ちょっとした独特感があります。独特感というと語弊があるかもしれません、別に奇を衒ったものではなく、寧ろ納得いく考え方でした。例えば以下の内容です。
『自分に生まれながらの価値があるなどと思わないほうがいい。これから自分の価値を作っていこう、と考えたほうがいい』
『サラブレッドはサラブレッドのまま、ロバはロバのまま戻ってくる。あり得ない変身を夢見るよりも、なぜ自分はロバなのかを考えたほうがいい。あるいは、ロバは何の役に立つのか。何の役に立つからロバと言われるのか。そしてロバにとって大切なことは何なのか』
本書で最も私の琴線に触れた内容として、『誰も人生のプロではありません。みんなわからなくて、なんとか見当をつけながら生きているだけです』・・この言葉には嗚咽しそうになりました。隣の芝生は青く見える、です。そう、実際、本当に青く見えます。見えて見えて仕方ないです。いや、見えるではなく、青いでしょ!と言いたいです。白鳥は水面を澄まして揺蕩っていますが、水面下では懸命に両脚をバタつかせている訳です。
紙の本
腑に落ちる
2018/11/17 12:44
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投稿者:サリツィン - この投稿者のレビュー一覧を見る
仏教による指南書など難しそうで手に取ることがありませんでしたが、何かのレビューで知り本屋で立ち読みし、即購入しました。難しいけどシンプルな考え方は、ものすごく腑に落ちました。若い人にもおススメです。
紙の本
生きづらいひとの味方.しかし日本のなかにとじている
2012/04/01 22:20
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投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
宗教者である著者は生きるのがつらいとおもっているひとになにができるかをかんがえてきた. この本もそういうひとにむけられている. この本に共感するひとの声をきけば,この本に価値があることはあきらかだろう.
しかし,著者のかんがえはほとんど日本のなかにとじてしまっているようにおもえる. 世界をみれば,たとえばブータンのような国もある. あまりに現在の日本とはかけはなれているかもしれないが,日本人とはちがうかんがえかたもまた,日本人をすくうのに貢献するようにおもう.
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フォロワーさんがオススメしてたので読んでみた。 あっという間に読み終わった。。こういう話をいつもしたいと思う。柔らかい語り口かつ説得力あり。自慢話はするな!ホントにその通り。
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自己を課せられた自分に向き合いそれを引き受ける覚悟をすることの自覚を促されます。直哉先生のやわらかな語り口調の裏には非常に厳しい物事のありようが垣間見えます。関係性のなかにこそ生じる存在の不思議さを思わずにいられません。智慧をもって処生を説く良い本でした。
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他人や他人の事情を全部を知った気で接したり導こうとするのは支配と変わらない。
親子の関係でもそう、他人と他人である以上、その人の全てを知ることなんて出来ない。だから分かろうとする。
分からない事があるという前提で他人に接していこうという、想像力を伴う関係性が敬うということなんだなぁと。
また敬うとは見返りを求めるものじゃない。
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「生きているって素晴らしいよね」と言われるよりも、「生きるっていうのは切ないね」て言われたほうが共感できる。「夢や希望」も「絶望」も相互に依存した、相対的な概念にすぎない。「夢や希望」をもつから「絶望」するし、「絶望」するから「希望」をもつ。
これだけわからせてくれただけでも星4つ。
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「語る禅僧」に比べると読みやすかったです。私たち人間は仕方なく生まれてきた存在。それを受け入れることから始まり、どう生きるかがとても大切。
生や死そして自分の存在に意味を探していたけど、その意味に答えはなく、分からないままでいいんだ。そう思うと少し心が楽になったように感じます。「処生術」がつまった一冊です。
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生き延びるためにいまこそ、仏教。
禅僧が教える究極の処”生”術。
人として存在するかぎり、苦しみはけっしてなくなることはない。
ならば、この生きがたい人生をいかに生きるか、それが人間のテーマではないだろうか。
ところどころでどこか一般的に言われていることに対して逆説的に、
しかしそれでいて何とも言えない解釈がなされ、
単なる宗教書ではなく、仏教を生きるテクニックとしてとらえてみせる(あんまり仏教は出てこなかった印象を受けるのですが……笑)。
でもいろいろな人にお勧めしたいです。
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人は意思して、望んで生まれてきたわけではなく、生まれ生きることを「課せられた」存在であるという立ち位置になぜか赦されたような気分になった。
生きていることそのものに価値など無い、「課せられた」ことを引き受け、覚悟を決めることに価値がある。居もしない「本当の自分」を探し回ることで「引き受けること」から逃げ続けている者の生に意味などあるはずがない。
出家をすること、不殺生という戒律を受け入れることで「自殺という切り札を捨てた」という著者の覚悟と、その覚悟から生まれる「生」に対する優しさに、試され励まされた。
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心を落ち着けたいとき、読むといい本。語りかけるような文体で書かれてあり、ぐっと心を捕まれます。
何度も読みたくなる一冊です。
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著者は曹洞宗の僧侶で、人生にまつわる法話集といった趣。「自分とは何か」などといくら考えても結局時間の無駄だからスルーしろとか、人間の考えはいくら思惟を重ねても変わらないといった論旨に同意。判らんなりに行動してぶつかって悩むしか道は無い。
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曹洞宗の僧侶の本
五木寛之的な生まれたく生まれたわけじゃない、親子ほどこじれやすいものはないといったような話です。
自己責任で済むような問題は些事でしかない
自分に価値があるなどおもわないほうがいい
あきらめることは明らかに見えること
など無常観と仏教がまじりあった1冊です。
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「生きにくさ」を感じる人が多くなり、自殺も高止まりしているが、そもそも人が生きること自体、喜びよりは苦しみが多いものであり、これにどう対応していくか、ということこそ生きる術となることを説いている。
自分が何かではなく、大切な人が誰なのか、を考え、肯定し肯定される関係を作ること、また、借り物の知識に頼るのではなく、生活スタイルこそが自分を作るものであるという意識のもと、自分を俯瞰できるよう心がけることなど心に残る内容でした。
自分探しはやめて、他人のために何ができるかを考える、というところなど、内田樹さんと近い考え方のようにも思われました。
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曹洞宗の僧侶、南直哉氏の著作。南さんの本は4冊読んだが、これは一番最初に読んだもの。
この人の本が人を引きつけるのは仏教的な無常観とヒューマニティのバランスにある。
思想そのものの適否ではなく「生きる手段になるのであればそれで良い」というスタンスで、現実的で穏やかな気の持ち方を説く文章が多い。
求道者である以上にプラグマティックな現実主義者なのだと感じる。
ただ、左派文化人的な経済批判・低成長擁護が時おり出てくる点は気になった。現状維持の困難さから目を背けることは社会保障負担を将来世代に押し付けるのと変わらない無責任だ。