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紙の本
完全なるチェス 天才ボビー・フィッシャーの生涯 (文春文庫)
著者 フランク・ブレイディー (著),羽生 善治 (解説),佐藤 耕士 (訳)
東西冷戦下、国家の威信をかけた勝負を制し、米国の英雄となったボビー・フィッシャー。「チェス界のモーツアルト」と評される彼はしかし、度重なる奇行と過激な発言で表舞台を去る。...
完全なるチェス 天才ボビー・フィッシャーの生涯 (文春文庫)
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商品説明
東西冷戦下、国家の威信をかけた勝負を制し、米国の英雄となったボビー・フィッシャー。「チェス界のモーツアルト」と評される彼はしかし、度重なる奇行と過激な発言で表舞台を去る。神童はなぜ狂気の淵へ転落したのか。長く親交を結んできた著者が、手紙やKGB、FBIの末公開ファイルを発掘して描いた傑作評伝。【「BOOK」データベースの商品解説】
冷戦下、ソ連世界チャンピオンを破り注目を浴びたアメリカの神童は、突然消息を絶った。日本にも潜伏したチェスプレイヤー、ボビー・フィッシャーの悲劇の軌跡をたどる。羽生善治の解説も収録。【「TRC MARC」の商品解説】
「チェス界のモーツアルト」、その波乱の人生
東西冷戦下、世界王者に輝き、米国の英雄となった天才。だが、彼は奇行と過激な発言で表舞台から去る。神童はなぜ転落したのか。【商品解説】
東西冷戦下、世界王者に輝き、米国の英雄となった天才。だが、彼は奇行と過激な発言で表舞台から去る。神童はなぜ転落したのか。【本の内容】
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盤上を駆け抜けた天才
2020/07/05 22:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
才能に恵まれながらも破天荒な生涯を送った、チェスプレイヤーの素顔に迫っています。蒲田での亡命生活など、日本との不思議な縁も印象的です。
紙の本
やっぱ努力してるよ
2016/01/14 09:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やまちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
普通とは違う人なんだろうけど、やっぱり何もしないで勝っている
わけじゃないよね。かなりストイックに研究・努力を重ねているし、
その道のプロになるには1万時間の練習が必要なことに例外は
ないと改めて知らされた
紙の本
孤高の天才という生き方
2019/03/07 21:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
ボビー・フィッシャーは天才として認められながら、数奇な生涯を送ってしまった。
チェスの世界は、20世紀初めまで紳士の嗜みとして発展してきたため、勝負にギスギスしたところはなく、プレーヤーは本業でも地位を獲得している紳士としてのプライドをもって、トラブルも、金銭問題も解決してきた。20世紀になってソ連のステートアマが参入し、世界タイトルを独占するようになる。一方西側でも産業化の進展と、世界大戦による破壊の結果として、知識階級と富裕階級が分離し、チェスの才能は紳士の独占物ではなくなる。その結果として、ブルックリンで育った天才少年は、才能だけを武器にしてのし上がっていく夢を見るようになる。
もちろん才能を伸ばしていくためには、周囲の大人たちの庇護と協力があってのことだ。日本における囲碁や将棋では、徳川幕府の庇護により家元は家禄を与えられて専業棋士となり、家元同士の競争のために、天才少年を発掘して育成するというシステムも確立した。チェスの世界にはそんな仕組みは無かったのだが、フィッシャーの才能を見るや、多くの大人たちが旧来に縛られずに、その育成に力を貸していくようになるには、やはりアメリカという社会の柔軟さとダイナミズムなのだろう。
ただしそれによって全米チャンピオンになることはできても、ソ連に打ち勝って世界チャンピオンになるための指南をできるものはいない。そこからはフィッシャーの孤独の戦いになった。それでも少年は根っからのアメリカ人で、自己主張と信念の強さもアメリカ人の共感を呼んだのだろう。一躍ヒーローとして扱われ、それも彼を後押しすることになった。
フィッシャーの成長と活躍は、こうした世界の移り変わりの流れが生み出したと言えるが、彼自身はもちろんそんなことには気づいていない。それが周囲との軋轢を生み、また彼を愛した国は、フィリピン、ユーゴスラビア、アイスランド、日本と多様で、彼を放浪の生涯へと導いていった。
彼の挑戦によって、技術的な向上という面に加えて、チェスの業界構造をも見直しさせるようになったのではないだろうか。言動だけを取り出して見ると、なにかエキセントリックで理解不能な天才のように見えるかもしれないが、彼はチェス界の構造を相手に苦闘していたのであり、さらにチェスを愛するというだけで冷戦期の西にも東にも対立してしまうという、世界の歪みにとも戦っていたのだとわかる。
一つ一つのエピソードだけを見れば、天才だから「仕方がない」と思うようなことも、生涯を通じて見れば、時代を変えていく人間だけが味わうねじれるような苦痛の所産だったことがわかる。チェスに生涯を捧げるという生き方を、世界で最初に見せてくれた人間でもある。