紙の本
ジブンゴト
2019/05/12 19:46
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:M51 - この投稿者のレビュー一覧を見る
他人事ではありません。
ロジカルに数字で説明できないことには、予算がつかず、挑戦しにくいし、逆に説明さえつけば失敗しても言い訳ができる、という、インテリジェントに見えて、実は誰も責任を取ろうとしない後ろ向きの空気が、仕事を面白くないものにしていると思います。
ロジカルで戦略的あればあるほど、差別化できずにレッドオーシャン化するというのは、耳が痛いです。
美学とか文化とか、そういうものを大切にしたいと思いました。
電子書籍
わかりやすい
2018/08/25 19:08
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ほほほ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ビジネスの文脈で「美意識」を扱った本。経営の舵取りにおいてサイエンス(定量化)重視の意思決定の結果「正解のコモディティ化」という問題に行き着いた現代において、これからは全体を直感的に捉える感性と「真・善・美」が感じられる打ち手を内省的に創出する構想力や創造力が求められる、という出だしの主張を、筆者が哲学者や偉人達の思想を引用しながらも歯切れよく読みやすい文で書かれている。
また、現代を生きる私たちにとっての哲学教育の必要性も簡潔に説明されている。またその際に有用な示唆や気づきを得るには以下の三つの学びを整理して哲学に接することが大事と言う。
1. コンテンツからの学び(哲学者が主張した内容そのものからの学び)
2. プロセスからの学び(そのコンテンツを生み出すに至った気づきと思考の過程からの学び)
3. モードからの学び(その哲学者自身の世界や社会への向き合い方や姿勢からの学び)
すでに「誤り」であることが判明しているコンテンツであっても、その哲学者の考察、「なぜそのように考えたのか」「どのような知的態度でもって世界や社会と向き合っていたのか」その当時支配的だった定説を鵜呑みにせずに、論点を立て、粘り強く思考を掘っていくような知的態度と思考プロセスは現在の私たちにとって大いに参考になる、と言います。
説明の過程で様々な文献が出てくるのでそちらも読みたくなってくる。視覚的な美意識から倫理的な美意識、自己実現を目指す人生のについての考えを整理されていく心地よい一冊。
紙の本
複雑化した現代のビジネス社会で打ち勝つための画期的な考え方を教えてくれる書です!
2017/12/24 12:27
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、世界のグローバル企業が著名なアートスクールに幹部候補生を送り込んだり、ニューヨークやロンドンの知的専門家が早朝のギャラリートークに参加しているとおいう現実は、彼らの美意識を鍛えるためであり、それは将来のビジネス社会ではとても重要となってくる能力であると説いた画期的な書です。筆者は、これまでビジネスに必要なのは論理的思考や経営学の知識と言われてきましたが、今や複雑化する社会においては、そうしたこと以上に、美意識が重要となってくると断言します。目からウロコの、将来のビジネス社会で打ち勝つためのアイデア・考え方を提案してくれる良書です。
電子書籍
一見くだらなく見えるも面白い視点で書かれている
2019/12/17 21:39
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投稿者:見習い級 - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルからちょっとおかしい感じはしたものの、
評価と安さから少し読んでみた。
読みやすさもありすいすい読めてしまった。
かと言って自分が美意識を鍛えようという気にはならないが、
読んで損はない一冊と言える。値段もいい
電子書籍
説明できないアートの能力が必要なわけと鍛え方
2021/03/28 18:07
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投稿者:瑯崎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
経営方針には三つの柱があるという。経験に基づくクラフト、データに基づくサイエンス、直感に基づくアートである。前者二つはコンサルタントも提案できるし、方針の根拠を聞かれた時も答えることができる(官庁も自分に都合のいいデータ等をコンサルに提案させて、行政活動の根拠にしているのではないか)。最後のアートはそうはいかない。しかしこれがないと差別化はできないし、軽視すると法令違反やコンプライアンス違反につながると筆者は言う。
そしてアートの必要性や具体例を説明し、美術鑑賞等でその能力が鍛えられると述べた本です。
紙の本
なぜ「日本のエリート」がダメになったのか
2021/02/26 23:30
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投稿者:Carmilla - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本を読むと、その理由がよくわかります。
「論理」だけではダメ、「理性」だけでもダメ。この2つに加えて「美意識」がないと、今の組織は機能しない。これに加えて「哲学」「歴史」を疎かにしたツケが回ってきたと、個人的には思っている。
紙の本
美意識は重要
2018/01/14 08:03
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投稿者:ゆーはん - この投稿者のレビュー一覧を見る
美意識を高めることはこんなにも重要だった。
今まで、美意識を意識したことの
ない方も、この本を読むと
「美意識を意識」せざるを得ないと思います。
紙の本
美意識とビジネス
2018/09/06 16:39
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投稿者:凄まじき戦士 - この投稿者のレビュー一覧を見る
美意識とビジネスという一見何の繋がりがあるかわからないような観点に着目して書かれており、少し変わった着眼点なので読んでいて面白方tです。
正直な話ですが、これを実践しようとかそういった類の話ではないのであくまで参考程度ですが、変わり種ではあると思います。
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美意識
2019/05/27 18:58
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投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の社長さんって見た目がさえないこと語多い気がしますね。美意識が高いことは、経営的にも素晴らしいことですね。
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英国 ロイヤルカレッジオブアート 修士号、博士号を授与できる世界で唯一の大学
理性 正しさや合理性を軸足に意思決定
感性 美しさや楽しさが意思決定の基準
江戸時代の武芸家 松浦静山 剣術書 「剣談」
勝ちに不思議の価値あり、負けに不思議の負けなし
経営における意思決定のクオリティは アートとサイエンスとクラフトの3つの要素のバランスと組み合わせによって大きく変わる
トップにアートを据え、左右の両翼をサイエンスとアートで固めて、パワーバランスを均衡させる
Planをアート型人材が描き、Doをクラフト型人材が行い、Checkをサイエンス型人材が行う
強烈なビジョンを掲げてアートで組織を牽引するトップをサイエンスとクラフトの面で強みをもつ側近たちが支えた
選択と集中 というより、大事なのは選択と捨象、つまり選択したら、あとは捨てること
現在の日本の企業の苦境の大きな要因 ビジョンが足りない
ビジョンは多くの人を共感させるものになっているか
戦略コンサルタントに代表される知的生産型のビジネス全般に関連していること 正解のコモディティ化
ストーリーと世界観を天然資源のように持っているのが日本
システムが急激に変化する社会においては、明文化されたルールだけを拠り所にする実定法主義は危険であり、内在化された倫理や美意識を持つことが重要であること、さらにエリートは、その達成動機の高さゆえにしばしばグレーゾーンを踏み越えてしまう傾向があるため、なおさらそのような倫理や美意識をもつことが重要である
高度な意思決定の能力は、はるかに直感的・感性的なものであり、絵画や音楽を美しいと感じるのと同じように、私たちは意思決定しているのかもしれない
宮内氏が指摘するオウム真理教 美意識の欠如、極端なシステム思考
悪とはシステムを無批判に受け入れること
慶應 小泉信三 すぐ役にたつ知識はすぐ役に立たなくなる
哲学を学ぶことで、「無批判にシステムを受け入れる」という悪に絡め取られることを防げる
真・善・美を考えるにあたって、最も有効なエクササイズは文学を読むこと
人のこころを動かす表現には優れたメタファーが含まれている
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こういった本はやはり出たらすぐに読まないと、陳腐化してしまうなあというのが読み始めたときの感想
今はアートをエリートたちが取り入れているというのはまあまあ耳にするようになったから、そういった驚きはやや弱かったものの、なぜ?というところは理解してなかったのでよみおわった今はスッキリしています。
絵画鑑賞はどうすればいいのかいつもわからなかったけど、中にヒントが書かれていたので、今度実践してみようと思います
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最近訳書ばかり読んでいたせいもあり、全体の感想として驚くほど「読みやすい。わかりやすい」ことにびっくりした。それに加えて、面白い実例を挙げながら柔らかい語り口かける筆者の文才なんだろうなあ。久しぶりに苦痛なく読めるビジネス書?に出会えてよかった。
これから自己実現を求める消費者が増える中で、早さ、コストだけで勝負できない。そこで求められるのは企業のビジョン。多分、そういう企業で働けること、もしくはそういう事業を起業できることというのが、人生100年時代、やりたいことをやって輝けるために必要であり、自己実現とかフルフィルメントとか全てにつながるんだろうなあと漠然と思った。
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[ オウム真理教 地下鉄サリン事件 1995年... 私はこの事件をきっかけにカルト集団に興味を持ち、研究するようになったのですが、2002年に戦略コンサルティングの会社に転職し、昇進や評価のシステムに関する説明を入社時研修で受けた際に、すぐに「この組織はオウムの仕組みとそっくりだな」と感じたことを、よく覚えています。] P172
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とても腹おちした内容。
前提として一定水準の合理性は必要なのです。
分析麻痺
合理性を過剰に求めることで意思決定が停滞状態に陥る状態
哲学を学ぶことで、無批判にシステムを受け入れる、という悪に人生をからめとられることを防げる
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慶応大学の哲学科を卒業し、美術史学専攻修士課程を経て、ボストンコンサルティングでコンサルタントをした著者が、「美意識」の重要性を説く。ここで「美意識」のもとになるのは「アート」であったり「哲学」であったりするので、著者が学生時代に学んだものを、エリートにとって重要なものである、と位置づけたものでもある。いわゆる、著者からすると手前みそになるのかもしれないが、それはそれで正しいのであれば問題ない。基礎があるので、かえって安心感がある。
経営において、「アート」や「哲学」を重視すべきだ、というのは本書が最初ではない。Appleをテクノロジーとリベラルアーツの交差点に立つ会社と言ったスティーブ・ジョブズの成功を見れば、それについてそのレベルの差はありつつも真っ向から異論をはさむものもいないだろう。本書の中でも紹介されているが、ダニエル・ピンクの『ハイ・コンセプト』をかつて読んだが、「6つの感性」- デザイン、物語、調和、共感、遊び心、生きがい、を重視せよと主張され、これからは経営学修士(MBA)よりも、美術学修士(MFA)が重要になると書かれていた。そして、そのころの自分は、いまいちその内容が腹に落ちずに、そのままの感想をレビューに書いたこともある種の違和感とともに覚えている。改めて思うに、ビジネスにおいて「論理」だけではダメ、もう少し言うと、いまや論理は誰もが提供できるものであり、それが差別化要因にならない、ということだとしたら、おそらくそれは正しい。そして、ダニエル・ピンクを呼んだときの自分の考えは今となってはやはり遅れていたのだろうかと思う。
ビジネスと哲学の関係については意外にも近年の成功者の中にいくつも事例があって、例えばペイパルマフィアの首領格のピーター・ティールが哲学を専攻し、さらにペイパルの後にリンクトインを立ち上げたリード・ホフマンとも哲学科で会ったという。ピーター・ティールも、経営には哲学が必要だと主張することにかけては第一人者だ。なにしろ多くの経営者をさておき、何より仏哲学者のルネ・ジラールにもっとも多くの影響を受けたとまでいう。ピーター・ティールの事例は、もしかしたら著者の主張の正しさをもっともよく示しているのかもしれない。
実際に、PEST、4P、5Force、STPなどの知識を皆が持つようになり、「正解のコモディティ化」が起きている時代において、VUCAと呼ばれる不確実性の時代の中で価値を出すためには感性と共感が必要になる、と言われると、その通りかもしれないと納得する。今となれば『ハイ・コンセプト』が主張しようとしていたことはある意味では当たり前のように感じる。
著者は、人材の型をわかりやすく「サイエンス」と「クラフト」と「アート」に分けて、経営におけるアートをあえて重要視することの大切さを説明する。この三つをそれぞれ得意とするものが普通に戦ったときには、常に「アート」は負けてしまうという。「アート」を信じるものにとって、ビジネスにおけるアカウンタビリティが足かせになるし、いつにおいてもクラフトマンシップが提供する高品質は大事なことだ。しかし、イ���ベーションが起きるときには、たいてい論理的ではなく超論理的な意思決定が行われるものだ。著者は、経営者が持つべきミッションやパッションに基づく「直感」や「感性」をまとめて「美意識」と呼んでいる。経営の中で、いかに「アート」を経営に取り込むのかが課題であり、それがこの本のタイトルが意味するところと言ってよい。
視点を変えて、PDCAにおいて、PlanをCEOが、DoをCOOが、CheckをCFOがやると考えると、CEOがアート型で、COOがクラフト型、CFOがサイエンス型というフォーメーションが理想的だと著者は言う。今CEOにこそアートが求められている。つまり、絵を描くことがリーダーに求められているのだ。「いいものはいい。説明や理由は不要だ」という姿勢はいわばリーダーシップの問題とも言える。その観点から「美意識」の問題は極めてMBA的でない形でのリーダーシップの問題なのである。MBA的能力のコモディティ化によって、そこに不足する「美意識」が求められている。なぜなら、それはコピーできないものだし、一回限りの決断の問題でもあるからだ。
著者は、経営という営みの本質は「選択と捨象」である、という。そのために、本質を理解するための能力が経営者には必要となる。本質を見極める、ということは、アートとデザインにも共通して言えることである。どこまで本当かは知らないが、多くの企業経営者がコンサルタントではなく、デザイナーやクリエーターを相談相手にしているという。経営においては、「選ぶ」だけではなく、同時に「捨てる」という判断と行為が重要なのである。それは、「美意識」の問題ともいえるのである。
さらに進めて、脳科学と美意識とした章においては、アントニオ・ダマシオのソマティック・マーカー仮説を紹介し、高度な意思決定においては直感に多くを依存していることを脳科学まで持ち出して示している。アントニオ・ダマシオがビジネス書に出てくるのかと驚いたが、以前、『武器になる哲学』という著作でもダマシオを紹介していたので、著者お気に入りの研究者の一人であり、ロジックであることは間違いない。
また、日本の問題として、受験エリートがよい大学に入って大企業に就職してビジネスを動かすという状況について、「受験エリート」の集団に美意識が不足している、と指摘する。少し単純化し過ぎではないかとも感じたが、あの事件を起こしたオウム真理幹部の人たちを受験エリートだとして、
「彼らにとって、受験というのは決して言われるように辛くて苦しいものではなかったのでしょう。勉強すればするだけ偏差値が上がり、そして偏差値によって階層が決まるというわかりやすいシステムは、彼らにとっても心地よいものだったはずです」
あえてオウムを出すまでもなく、このことは慶応大学出身でもある著者もそう感じていたことだと思う。自分自身の受験体験を顧みても、そこにある種の心地よさがあったということに自覚的なので、受験を経験して上手にくぐり抜けた多くの人がある程度の共通感として持つものではないだろうか。
著者はアイヒマンの例を出しているが、是非を問う前にまず命令に従うという人間の馴致性の高さについては言うまでもない。そういったシステムを無批判に受け入れることに抗う能力としても��学が必要となるという。「美意識」を持つということはシステムを批判的に見ることである。「哲学を学ぶことで、「無批判にシステムを受け入れる」という「悪」に、人生を絡めとられることを防げる」と著者は言う。
どこまで本当なのかわからないが、多くの欧州の名門校では哲学が必修になっているらしく、著者はこのことに非常に肯定的である(そして、その反面として日本の教育について懐疑的である)。もちろん、哲学のように正解がない中で、思考のプロセスを言語化する能力は非常に重要であると感じる。また、これが日本の教育に絶対的に欠けている部分でもある。
今の企業や組織を考えたとき、システムに精通しているエリートが、システムを批判的に相対化して修正していくことが必要で、そのために「美意識」が必要だという論理になる。エリートは自分が所属するシステムに最適化されて多くの便益を得ているために、システムを改変するためのインセンティブがない。その中で改変していくことは批判的な姿勢と「美意識」が必要になるということ。
「システムの内部にいて、これに最適化しながらも、システムそのものへの懐疑は失わない。そして、システムの有り様に対して発言力や影響力を発揮できるだけの権力を獲得するためにしたたかに動き回りながら、理想的な社会の実現に向けて、システムの改変を試みる。
これが現在のエリートに求められている戦略であり、この戦略を実行するためには、「システムを懐疑的に批判するスキル」としての哲学が欠かせない、ということです」
日本において、豊臣秀吉が利休を重用したのは、彼が政治における「美意識」の役割をよく知っていたのではという指摘はとても面白いと思う。その意味で日本の「美意識」は、日本の長所として伸ばしていくところだとも言える。そして、日本が美意識に優れた国であるというパーセプションをグローバルな文脈で持たせることは競争的にも望まれるところである。
「詩人をマネージャーにするべき」とハーマンは言ったらしいが、それが共通認識となるのはいつのことだろうか。
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今、高校生の娘が美大に行きたいと言っている。まさかこういう考えを持ってのことだとは思わないが、良い選択なのではないかと思ったりもする。
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『武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50』(山口周著)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4046023910
『ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』(ダニエル・ピンク著)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4837956661