紙の本
データの取り扱いに関して、考えさせられる一品
2019/05/08 14:58
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投稿者:undecane - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書において著者は、「データ至上主義」的様相を呈する現代社会に関して疑問を呈している。データをどこまで信用していいのか、運用は適切なのか、改竄はされていないか、等々。実際の事例(米国が主であるが)に即して、データ運用に問題が無いのか、考えさせられる。
紙の本
もどかしい
2019/09/29 14:52
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投稿者:怪人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカの歴史学教授がいわゆる成果主義のもとになる物事の測定基準について考察し、大学や学校、医療、警察、軍、ビジネスと金融などの分野について、広範囲に記述されている。アメリカやイギリスが対象地域となっているが、両国の事情を知ることができ、おもしろい。
成果主義の功罪については日本でも批判的な本も出版されてきているが、多くの分野に亘って論述されているのはあまりないのではないか。
はじめにのところで、著者は述べている。
本書では全く新しいことは非常に少ない。
本書な内容の大部分は多くの執筆者から引用したものを組み合わせている。 測定基準への執着による組織的機能不全についてはすでに指摘されている。 これらをとりまとめ、組織の指導者や労働者に利用し易いものはなかった。 そして、結論の最後に、
組織や測定対象を実際に知るために重要なのは、経験と定量化できない技術である。重要な事柄の多くは標準化された測定基準だけでは解決できず、判断力と解釈力が必要である。判断のもとになる情報源として 1つ1つの測定基準について、その重みづけや特徴的ゆがみなどよく認識しておくことが重要である。しかし、各界のリーダーたちはそのことを見失っている。
と記し、まとめている。
都合の良いデータを使って自分たちに都合のよいように解釈し、意思決定していくリーダーも多くいるが、そのような人達は確信犯なので著者の指摘には耳を貸さないだろう。
国民や労働者から見れば、リーダーの判断力や解釈力に疑問を持ったときには、客観的なデータということで測定基準等による補完的説明、証拠を求めたくなるだろう。
なかなか難しい問題である。
紙の本
反主流派
2019/06/28 15:28
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投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
測定基準への執着による過剰な測定や不適切な測定が問題で、判断力と解釈力無くして説明責任の証明としての測定実績は有用たり得ない。それでもトップに立つ人間は測定可能な結果を見たがるものだんですのねぇ。
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良かった。簡潔に様々な事例が散りばめられていて、読みやすくわかりやすい。そして嬉しくないことだが、非常に共感することが多い。測ることの信頼性、妥当性、測ったものの使われ方について、もっと我々は体系立てて理解し、常識として共有しないといけない。官僚主義が進むことによる疎外の問題、と考えれば社会学者や社会心理学者は無視できない問題がたくさん含まれている…
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のべ5時間で読了。
管理する側の「測定執着」は必ず改竄・不正を生む、という状況は誰しも感じた事のある状況だろう。
本書は、教育・医療・警察そして軍などのケーススタディを絡めて、測定基準を能力評価として用いることの「予期せぬ弊害」を明らかにする。学者の訳本だが大変読みやすくオススメ。
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証拠ベースの政策決定。アカウンタビリティ(説明責任)。PDCAサイクル。それらのためにはまずは測定することが第一歩。ということで何でもかんでもまずは数値化という昨今。本書は、測る仕事ばかりが無意味に増えて頭にきた大学教授が専門外の文献を読んでまとめた論文の形になっている。測ること自体が問題だと批判しているわけではない。測ることが万能だと思うのが間違いである。数値化して可視化すれば何でも上手く行くわけではないのだ。測ろうとしている対象、例えば、学校の教師の能力だとか、会社組織のパフォーマンスなどのうち、実際に数値化できることはそのほんの一部分限られているし、測るのは数値化しやすい部分に限られるということ。測りやすいものだけ測って全てのように評価すると、測れない重要な事項が無視されることになる。欠点を認識せずに導入することは問題だし、測定に執着するのが間違いの元凶。測りすぎることのコスパも考えるべきだ。それらのことがもうずいぶん前から研究者によって明らかにされていることを、本書は教えてくれる。
本書は言うなれば、”測りすぎ”の失敗学とも言えるだろう。こうすれば失敗するという分かり易い実例がたくさん紹介されているので、「さぁ測ろう!」という組織のトップには、本書を読んで過去の失敗例を学んでから測りはじめて欲しい。しかし、本書で紹介される失敗例をなぞるような「改革」が自分の所属する組織で進行していくのを知ると残念な限りかもしれない。
本当に有意義で機能する「測定」システムは現場を担当する内部から改善運動のための起こる測定であって、測定される対象の人々が測定の価値を信じている場合のみだということを忘れてはいけない。最も失敗するのは、上からの「測定」を「報酬」と連動させる場合のようだ。特に、公的な仕事。公務員、警察、教師、医師、大学教授など、人々への貢献による精神的な内的報酬を重要視する分野では、数値化しやすい項目による実績評価を使った成果と給与とを結びつけることは、逆効果になることと結論付けられているらしい。うーん。
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観点はとても興味ぶかいが、やや主観的な主張が目立つように感じた。
引用もつけてるようだしもう少し客観的な説明だとより面白く感じたと思う。
以下の観点の主張が多かった
- プロ意識の高い人間が、問題の原因を探るのに測定は役に立つが、
測定を懲罰やインセンティブに用いると歪む
- 測定のコストを過小評価しすぎる傾向にある
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レビューはブログにて
https://ameblo.jp/w92-3/entry-12517610934.html
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「測りすぎ」というタイトルの翻訳が秀逸すぎる。
言わんとする事がある意味読まずともよく分かる(汗)
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徹底して可視化や透明性など、昨今の大学に求められる測定主義の落とし穴について批判的に論じている。本書を書くきっかけも、著者が大学の執行部にいる時にアクレディテーションに疑義を感じたことであるとのこと。色々考えさせられた。
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学校、医療、ビジネスと様々なシーンでの具体例が載っておりとても面白い。
学校の予算を成績の上がり具合で決めたら、よりお金を投入すべき下位のグループが点数上がらないのに予算減らされて悪循環を生むとか、医師の評価を手術成功率にしたら難しい手術をみんなやらなくなったとか
うーん適切な設定をするのは難しい。
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測定することは数字の改竄などの様々な弊害を産み、必ずしも有効ではないという話。それはごもっともで納得感ある話なのですが、あれもそうこれもそうという列挙が長く、またそれ事態有意義な話でもないので冗長な印象を受けました。あるあるネタでなくもう少し構造的な話が読みたかったですね。
序章と結論だけはみんなに読んで欲しいですが、序章と結論だけ読めばいい気がします。
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世界中の経営者、管理者の必読本にすべき名著。「測れるものは改竄できる」といった原理原則が、昨今の不祥事につながっていることをもっと危惧すべきだ。
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■測定執着というパワーワード
この本は、世の中のあらゆる組織にはびこる実績評価のための「数値測定」がもたらす弊害について、実例を用いて詳細に分析、解説された本です。
組織を管理する有能マネージャー(自称)は、部下の売り上げ数、部下が出した不具合の数、部下の残業時間、部下の技能熟練度を数値化したスキルマップ、何でもかんでも測定して美しいグラフを作成して仕事をした気になってしまう、これを本書では「測定執着」と呼んでいます。
なぜ、組織に、この「測定執着」から逃れられない有能マネージャー(自称)がこうも多く存在してしまうのか、その理由が実例を交えて解説されています。
■製品の不具合の数をカウントします
「あなたの部署が開発した製品の不具合の数をカウントします、不具合が少ない部署には報酬を、多い部署には罰則を設けます、みんなで不具合を撲滅しましょう」
例えばあなたの職場で、このような崇高な数値目標を掲げられた経験はないでしょうか?
この時、不具合の数を測定する目的は、製品の品質を担保してエンドユーザーを満足させよう、というものであったりします。
では実際のところ、この目標の元に働くあなたの職場では一体何が起こるでしょうか?
不具合の数が増えないよう、不具合は隠され改ざんされ、あるいは不具合が露見しにくいような当たり障りのないテストだけが実施されるでしょう。
そればかりか、不具合が出る可能性が高いチャレンジ志向の開発は避けられ、イノベーションあふれるクリエイティブな製品づくりへのモチベーションをあなたから見事に奪い去ってくれることでしょう。
いつの間にか、品質の担保やエンドユーザーの満足度の向上といった当初の目標はどこかに追いやられ、半期ごとの不具合数が右肩下がりに見えるようなきれいな棒グラフをパワーポイントにおこすことが目標になってしまうことでしょう。よく言う目的と手段の入れ替わりというやつが発生してしまうわけです。
■有能マネージャー(自称)が「数値測定」が好きな理由
筆者は、なぜ現代では、不具合数やセールス数や犯罪検挙数などの測定、いわゆる「数値測定」がここまで人気になったのか、という問いに対し、社会的信頼感の欠如がそうさせている、と答えています。
これはつまり、エリートと呼ばれる管理者の立場の入れ替わりが激しい能力主義の現代において、自分の立場の維持に安心できない有能マネージャー(自称)が、「数字」という万人に公平に見える測定基準を利用して自分の立場の客観性を主張して信頼を勝ち取ろうとする動きであるというものです。
そして筆者は、このような体制になってしまうと管理者は自身の裁量(これは目に見えない)で物事を判断することができなくなってしまう、と書いています。
またこの時、測定に費やされる膨大なリソースは無視されるばかりか、簡単には測定できないけれど組織にとって本当に必要なアウトプットまでもが無視されてしまう、と述べられていました。
■測定値を能力評価に使うことの弊害
本書では、測定値を能力評価に使うことの弊害について、数々の実例ととも��紹介されています。
例えば、アメリカで子どもの教育格差をなくす目的で政府主導で行われた教育改革の話。
その改革の一部に「教師の能力評価による適切な報酬配分」というものがあり、それは「教師の能力を正しく数値評価し、いい教師にはいい報酬を出そう」といったものだったそうです。
では、教師の能力をどうやって評価しよう?となったときに、当然校長の裁量で評価するわけにもいかず、客観性を可視化してくれる「数値測定」が必要、となり、結果、その教師が受け持つ生徒の定期テストの点数で評価する、となったそうです。
すると何が起きたか?成績の悪い生徒を「障碍者」クラスに分類するような細工がされ、彼らの回答用紙は集計に加えられなかったそうです。教育格差をなくすという当初の目的は完全に忘れ去られています。
■医療業界での実績測定の成功例
実績測定の欠点だけでなく、本書ではその成功例についても書かれています。
それは、米国のガイシンガー・ヘルス・システムという電子医療記録システムで、患者の既往歴、治療計画、実績などすべてを電子記録し、その記録を患者当人だけでなく医者や看護師や薬剤師が共有することで統合チームによる治療を提供しようとするシステムです。
このシステムにおける実績測定が成功した理由について本書には2つ書かれており、1つは、このシステムの目標を、患者が払う医療費の削減およびシステムが有効活用され場合の診療報酬が医療従事者へ支払われるという、患者と現場の医療従事者双方の実利に設定した点。もう1つは、このシステムにおいて何を測定するべきかという測定基準と、それをどのように測定すべきかという測定方法を、現場を知らない管理者ではなく、現場の医療従事者が直接主導して決定したという点です。
この2つ目は実績測定を成功させるために特に重要で、現場にとって何が有効な測定データであるかを現場の人間が決めることで、実績測定についての現場の同意が得られるし、測定データが現場従事者の提供するサービスの向上に直接貢献できることになります。
要するに、現場従事者が、自身が提供するサービスをより良くしようという自発的な動機で、実績測定を有効活用したから成功した、という訳です。
■自分たちの経験と見事にシンクロする
本書では、先の教育現場で起きた「測定執着」の顛末のほかにも、警察、医療、軍隊、ビジネス、慈善事業など、さまざまなシーンで起こった実例をありありと紹介しており、読んでいくうちにそれらの事例は僕たち読者自身の職場や組織の中で起きていることと見事にシンクロしてみじめな気持ちにさせられます。
しかしそれと同時に、自分たちが日ごろ心に抱えていた「数値測定」に対する違和感を見事に言い当ててくれていてすっきりした気持にもなれますので、ぜひ読んでみてください。
逆に、数値評価を愛してやまない有能マネージャー(自称)にとっては目を背けたくなる本だと思いますので、そういった方は読まないことを推奨します。
■能力給は理にかなっているのか?
最後に、「とは言え利益を得ることが目的であるビジネスの世界では、数値測定による能力給は理にかなっているのではないか?」という問いに対する筆者の考えについて紹介します。
『たしかに、能力給がその約束を果たしてくれる場合はある。こなすべき仕事が反復的で非創造的であり、標準化された商品やサービスの生産または販売に関するものである場合、仕事内容に関して判断を求められる可能性が少ない場合、仕事に内在的満足があまりない場合、実績がチーム全体ではなくほぼ完全に個人の努力に基づいて測定できる場合、他者を手伝ったり励ましたり助言を与えたり指導を行ったりする行為が仕事の中で重要な位置を占めていない場合がそうだ。』
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測定が生み出す様々な弊害がまとめられた本。仕事などで定量的評価をする際の害がわかって良い反面、どうすれば良いかという対策に関して考えるには不十分な内容。さりとて定量的評価を今更捨てられはしないし…みたいな。