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真珠とダイヤモンド
最終章で意味が分かる。
謎ではなく、女性二人の生き方だった。
この二言で、文学になった。
さすが
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下巻は、舞台は東京。
3人のうち、二人は結婚して、男は本社勤務となり、浦安に新居を構える。
もう一人の同期も、念願通り、志望校ではないものの、東京の大学に入学できた。
夢がかなって東京に出てきたものの、ますます手段を選ばず仕事にのめりこむ望月に取り残された妻、佳那と、大学に入ったものの、志望ではない学校に魅力を感じられず、目標を失った水矢子。
時はまさにバブル真っただ中。
投資したお金は、5倍10倍になり、誰もが株に手を出したり、金銭感覚がマヒしていく様子、折しもNTT株の上場という出来事なども折り込まれ、あ~あの頃・・・とよりリアリティに記憶が遡っていく。
しかしやがてバブルははじけて・・・
手にしたあぶく銭は手につかず、しっぺ返しは殊の外、厳しく。
面白く、ほぼ一気に読みました。
桐野さんは本当に、嫌な、いやらしい人間を描くのがうまい。
誰一人共感できる人物はいないのに、ぐんぐん引き込まれていく。
あの時代は、本当にこんな感じだったんだろうな、どこにでもある話なんだろうな、と思わせるが、結末がちょっと簡単すぎたなぁ。もうひとひねり欲しかったなぁ。
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1986年証券会社福岡支店に入社した者たち。伊東水矢子は母子家庭で大学に行く金を貯めに入社。小島香那はフロントレディになって稼ぐために。他人の気持ちが汲み取れない望月は太客を掴んで出世するため。バブル到来に浮かれて・・・
失礼な言い方だけど、意外と読みやすく、意外と面白い。
バブル期の証券会社のやり口についてはある程度は知っているつもりではいたけれど、NTT株の裏にはそんなインチキがあったとは。
参考文献が何一つ挙げられていないのが残念。
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2023/02/02リクエスト 3
上巻下巻合わせてかなりのスピードで読了。
下巻は、上巻に比べて、展開が早い。面白い場面なのだから、もう少しゆっくり読みたかった。
下巻はバブルが弾けた後のお決まりのパターン。
望月、佳那夫婦は、仕方ない。
望月はやっぱり最後まで嫌な感じで安定。
どうして佳那は結婚してしまったのだろう。後の祭りだけど。結婚しないで、証券会社を生き抜いていけそうだったのに。さっさと外務員まで取ったのに。男の社会かもしれないけど、女ならではの証券会社で生きていく方法もあっただろうな…と。
夫のことを信頼できない新婚生活は、つまらなかっただろう。せめて仕事してたら。
この夫婦より、水矢子のほうが意外な人生を歩んでいくように思った。
母親のようになりたくない、その一心で東京に出て大学に入り頑張ってきたのに、最後は同じ顛末。
バブル時代はとにかくお金お金!だったのだろう。
経験したことがないので、羨ましいと思いながら読んだ。
水矢子は、硬度が高く自分を曲げない、変わらない。つまらないから輝かないダイヤモンド。
佳那は、薄汚れた真珠。
水矢子の例えは的を得ていたが、佳那は他にもっといい例えがありそう。
吉祥寺の公園の夜中の会話が身に沁みる…
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ホームレスになった水矢子の前に現れた佳那。このシーンの種明かしとなるエピローグがなんとも言えず哀しい。
「俺たちやられたんですよ。大人たちに」
日本中がバブルに沸いたあの時代、マネーゲームに奔走し天国と地獄を見た者たち。
望月と佳那はいざ知らず、地道に生きていた水矢子すら行き着いた先があれでは救いがないな。
同じバブルの時代に東京で働いていた自分がどうだったのか振り返りながらの読書。
バブルの恩恵に与らなかったとは言わないけれど、泡銭を手にしなかったからこその平凡な今があるのかなとふと思ったりも。
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伊東水矢子、小島佳那、望月、佳那の姉、須藤、山鼻、美蘭、水矢子の母、
それぞれの生き方が興味深く、ページをめくる手が止まらない。
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久しぶりに桐野夏生ワールド全開のイヤミスを読んでしまいました。全編に渡って緊張して読んでしまった。バブル全盛の證券会社の熾烈な戦いを描きお金の額のすごさに驚嘆しました。ラストのこんなにも悲しい結末があるとは想像だにしませんでした。あなたも読んで驚愕して下さい。涙して下さい。
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Amazonの紹介より
桐野夏生が描く「バブル」
欲、たぎる地で迎える圧巻のクライマックス
時代はバブル全盛に。東京本社に栄転が決まった望月と結婚した佳那(かな)は、ヤクザの山鼻の愛人・美蘭(みらん)のてほどきで瞬く間に贅沢な暮らしに染まっていく。一方の水矢子(みやこ)は不首尾に終わった受験の余波で、思いがけない流転の生活がスタートする。そして、バブルに陰りが見え始めた頃、若者たちの運命が狂い出す……。
期間としては約2年間が描かれるのですが、内容が濃すぎでした。長い年月を過ごしていたんじゃないかと思うくらい起伏の激しい出来事ばかりでした。
下巻では、バブル期の絶頂期から転落していき、そして・・といった展開になっています。えげつない転落人生に背筋が凍りました。
桐野さんの描く追い詰められていく登場人物の描写が、秀逸でした。精神的に追い込まれる心理描写が際立っていて引き込まれました。
欲に塗れる人達の光と影を見ていると、いかに株がハイリスクなのか痛感しました。
絶頂期では、あんなにはしゃいでいた人達が、バブルが弾けると、憎悪の塊となって怒りへと発展していく描写にお金の恐怖を感じました。
特に怪しげだった人達が、本領を発揮するかのように攻撃する描写は、読んでいてもホラーと思えるくらい鬼気迫っていて怖かったです。
甘い蜜を吸いすぎた分、その反動はとてつくもなかったです。
やっぱり地道な道を選んだ方が良いのかなぁとしみじみ思ってしまう自分がいました。
そして、上巻のプロローグでの場面の続きが、下巻の最後で描かれるのですが、最初に思っていた印象とは違った印象だったので驚きでした。
まさかあの人が・・・。さらにラストの展開は後味悪いですが、なんとなく解き放たれたような感覚もありました。
「お金」によって狂わされた登場人物達。スリルを味わうか細々とした人生を味わうか。
吸いも甘いも、人間の色んな人生を垣間見た作品でした。
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上・下一気読み。バブル期を知らない世代だが、本当にこんなことがあったんだろうな、と思いながら読みました。予想を上回るまさかの結末に絶句。容赦なかったが、ラストのバブル期からコロナ禍の現代への展開が良かった。途中、調子に乗って金を散々する佳那や望月にバブルも崩壊するからやめといた方がいいよ〜とハラハラした。とても面白かったです、桐野夏生さんはハズレがない。
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東京での成功を夢見ていた証券会社勤務の同期、小島佳那、伊東水矢子、望月昭平。
下巻の舞台は福岡から東京へ。
佳那は望月と結婚し、湯水のように金を使う日々。
かたや、水矢子は希望の大学に落ち、人生を迷っていた。
好景気に沸いたバブル期も徐々に陰りが見え始め、その崩壊は彼らの人生にまで深く影響して来る。
上巻で感じた不吉な予感は確信へ。
だが望月の場当たり的で、良心や罪悪感に欠けた言動を鑑みれば当然の結果だとも思える。
リーダビリティが高く一気に読めるものの予定調和な展開。
バブルに踊らされ、判断力を失った人間の業が切ない。
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上巻を読み終わって、もう、次が読みたくて、上巻の感想を書くのも忘れて、下巻を読んだ。本当に一気読み。感想はまとめて上巻に。 お金が怖い。怖すぎて引き込まれた。
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こんな時代だったんだ…と終始ドキドキしながらあっという間に読み終えた。
お金のためにどんなこともやる人達、男性優位が当たり前の会社や学歴社会…
今の時代はタブーとなっているようなことが赤裸々に描かれていて、興味深かった。
そして相変わらず桐野さんの目に浮かぶような人物描写は素晴らしい。輝かないダイヤモンドという言葉も絶妙。
ぜひ映像でも見てみたい作品。
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うはぁ〜〜!面白すぎて一気読み!上下巻合わせて647ページ。
夢中で読みました。やっぱ桐野さんって、凄いのだ!すっごくシンプルな文体なのに、グイグイこちらの心に入ってくる。好きだ〜。
さて、主人公の1人、望月が1963年生まれで、まさに私と同じ。女性2人は、私よりちょっと下、なので、もう、まさに、私がOLやっていてバブル真っ盛りだった時期と重なるんですねえ。そう、しかし、誰もが知ってる通り、バブルの間は「今はバブルなんだ」なんて気付いていなかったので、なんか景気良くなってるのは、当たり前みたいに思ってました。
私自身は、小説の中のように、株で儲けたり、エルメスを持ったり、ホストクラブで豪遊したり、なんて、そこまではなかったけど、それでも、海外旅行したり着物買ったり、ゴルフやったり、仕事中のランチでグラスワイン飲んだりしてました(笑)あの頃は、お給料というのは、どんどん上がっていくものだと信じていたし。
歳とって、その頃の友人と会うと、
「良い時代だったよねえ〜、あん時のお金、どこにいっちゃったんだろう?」なんて話になるのです。
バブル話になっちゃいましたが、つまりは、この小説は、その頃の、ちょっと狂乱の時代の雰囲気が見事に描かれていて、しかも、証券会社という舞台がもう、私なんかでは怖くて仕方ないくらいのお金が動く世界なので、
「ひい〜〜っ」としばしば絶句してました。
バブルが弾けたことは、今では皆知ってるし、物語の構成からしても、先の展開はある程度読めるので、くるぞくるぞ、壊れるぞ!って予想してて読んでて…それでも、よお〜〜く考えると怖いのだ。
ほんの何年間かの話なのにね。
佳那と水矢子のキャラの対比が、すんごく良い!そして、望月はかなり嫌なヤツなんだけど、ヤツなりに思ってたことも分からんでもない…って感じたり。
そんな気分で同じ時代を同調しながら読んでいて、ラストは、涙出そうになりました。
これも、バブル世代OLだった自分の感傷なのかもしれません。でもさ、可哀想だったな。
いずれにせよ、読み応えあり!この時代を知らない若い人にも読んでみてもらいたいな、と思います
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バブル全盛期の東京。
望月と結婚した佳那、ずっと独身の水矢子。
正反対の生き方だが、どちらにも共感できない。
だけど気になって仕方ない。
なぜこんなに気になるのか。
この時代に生きた同世代のものには、わかりたくないのにわかりすぎるから怖い。
「生きる、生き切る、」凄さを感じた。
とにかく凄い世界である。
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上巻と同じくめちゃくちゃ面白かった、
だれるところがなくてずっと面白い
桐野作品を初めて読んだけど、文章がシンプルだけどわかりやすくてさくさく読める
文章が上手い人ってこういう文章を書くんだろうなあと勝手に考えた
バブルの時期は知らないけどこういう人たちも実際にいたのかなあとか思ったり思わなかったり
最後の方は一ページ一ページ恐る恐るめくりながら読んだ、、、しびれた