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かつて自分を苦しめていた男が受刑者として看守の自分のまえに逆の立場で相対することになる。読者を引き付ける舞台設定から人間の「闇」を描き出す秀作。
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刑務所看守の私とそこに現れた花井。2人は過去に接点を持っていた。その過去に引きずられ、私は花井にばかり目を向けてしまう。
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廃航せまる青函連絡船の客室係を辞め、函館で刑務所看守の職を得た私の前に、あいつは現れた。少年の日、優等生の仮面の下で、残酷に私を苦しめ続けたあいつが。傷害罪で銀行員の将来を棒にふった受刑者となって。そして今、監視する私と監視されるあいつは、船舶訓練の実習に出るところだ。光を食べて黒々とうねる、生命体のような海へ……。海峡に揺らめく人生の暗流。芥川賞受賞。
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辻さんの書かれる心理描写と情景描写は絶妙vv
いじめられっこが大人になって刑務所看守になり、そこに受刑者としてきた、かつてのいじめっ子。
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芥川賞受賞作品。まさに純文学という感じです。函館の刑務所が舞台。昭和の純文学が好きな方には気に入ってもらえると思います。
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ストーリーを追っていくような小説ではないのに、ストーリーが楽しかった。この手の純文学は、読むのに異常に時間のかかってしまう私だが、1日で読みきってしまうほど、楽しいものだった。普段使わないんだけど、意味はわかるみたいな単語をたくさん使われていて、さすが作家だなーと当たり前のことを感心してしまいました。
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芥川賞受賞作。他の辻仁成の作品とはちょっと傾向が違う感じがしました。この人の作品の中で1番好きかも。
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図書館をふらふらしてると目についたので読んでみた。落ち着きのある、かといって大人すぎない文章が身に染みました。
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少年期に転校ばかりしてたらしい著者の経験が色濃く出てるような。
細やかな心情描写に惹き付けられる。
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辻仁成氏の芥川賞受賞作。
旦那の本棚にあったのを見つけて、パラパラとめくってみたところ、いつの間にかぐいぐいと引き込まれて一気読みした。
刑務所で看守として働く主人公の元に、かつて自分を標的にしていじめを先導した同級生が受刑者として現れるという話。
純文学らしい重いテーマを豊富な語彙を使って書きつつ、読者に重さを感じさせないのは、氏の卓越した文章力のおかげだろう。リズミカルで詩のように流れる文章はとにかくすばらしい。
芥川賞受賞作品は何冊か読んだことがあるが、この本はその中でも群をぬいている。文句なしの五つ星。
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同級生である刑務官と受刑者の物語。光の奥にある心の闇が巧みに描写された、辻仁成作品の最高傑作であると個人的には思う。
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昔、自分をいじめていた奴が刑務所の受刑者としてやってくる。その設定自体は面白いし、大賞受賞作ということで読む前の期待が大きすぎたのが私のなかでの敗因。悪くはないけど、あまり印象深くない。
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20-Dec/2006 読了
なんか辻さんの今までのイメージとちょっと違う。全体的には難しかった。
でも、主人公が自分が他人に対して、優位に立っているのか、などを考える部分は共感できた。結局、人間は心の底では意識している「暗い」部分がいっぱい描かれていた気がする。だから、読んでいて暗い気分になって、なんか自分自身も「花井」にどこかで見られていて見透かされているような気がして、ちょっと怖かった。
「花井」の過去とかもっと詳しく知りたいと思ったけど、そこが書かれてないのが、いいんだろうなぁ。。
芥川賞受賞作品
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07/01
主人公は函館の刑務所で看守として働いている。そこへ、少年時代、自分をいじめ続けた優等生が傷害罪で入所してくる。立場が逆転した二人の現在を、刑務所と船舶訓練の船を舞台に描かれている。
芥川賞受賞。
この本の紹介文を読んだとき、主人公「私」の復讐物語かと思った。しかし、そんな浅い話ではなく、人間の奥深くにある暗い闇を淡々とつづっていた。かつての優等生であった花井は、「私」が一言で表現している通り、「偽善者」。集団の中で一人、弱者を見つけ、それを間接的にいたぶることにより集団での地位を獲得し、団結力を高める。大人になっても変わらない花井と、立場が逆転したにも関わらず、過去のトラウマから抜け出せない「私」。二人の関係を見事に書き上げてると思ったし、花井のような人、実際にいるぞと思った。
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読み終わった後で強く感じるのが、『海峡の光』というこのタイトルの良さ。“光”という言葉があるのに、どこかで感じさせる暗さ…。それが、連絡船廃止間近の函館の描写からも醸し出されている。刑務所の看守という立場の主人公が、小学校時代に彼を苛めていた受刑者を監視する。しかし、むしろ監視されているのか。過去に囚われた苦悩の連鎖から、精神的な苛めによる痛みが伝わってくる。