紙の本
切り口は新しいかな、と思うけど。
2006/10/16 12:21
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
青春物、である。若さゆえの勢いで、ケンカも恋も思い切りやって!でも、若さゆえの悩みもあって・・・な物語。この手の物語は、宮本輝の「青が散る」や中場利一の「岸和田少年愚連隊」等の名作がたくさん出ていて、後追いでオリジナリティを出していくのは相当難しいと思われる。
その点この物語のうまい所は、主人公の少年を日系三世の朝鮮人とした所。日本で生まれ日本語をネイティブとして育った。でも朝鮮学校に学び、朝鮮の国籍を持っていた。だが父の意向で、祖国の国籍を捨てて韓国籍になる。高校からは一般の高校へ進むが、やはり国籍の事が恋にも友達にも、悩みを投げかける。
彼は差別を憎み、差別をする物をとことん憎みぶちのめす。そして日本というこの国さえ、憎んでいるようにさえ思える。が、朝鮮に愛国心があるかと言えばそれも無い。一体自分は何人なのか?
俺は俺。人種や国籍なんかクソ食らえ!そんなものに一切縛られたくない!と思いついた時。誰より信頼していた友達を亡くし、誰より信頼してくれるだろうと思っていた彼女に差別的なことを言われてしまう。失意の主人公が悶え苦悩し出した答え、そして辿り着く先とは・・・。
新しい観点、切り口から書かれた作品だとは思った。ただ逆にそれだけ、な感じがして「直木賞受賞作」と言われると、ううむ・・・な感がぬぐえなかった。
紙の本
若い作家らしい未熟さと魅力が同居する青春小説
2002/03/24 11:47
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る
若い作家が書いたものにはどうしてもどこか未熟な点があるものである。この小説で言えば、それは桜井という女の子の描き方にある。小説を書いたことのある人にしか解らないかもしれないが、僕たち男性はともすればこういう理想の女の子を描いてしまいがちである。ものすごく可愛くてものすごく不思議な女の子──だが、残念ながらこういう女の子は現実にはいない。
そういう意味で、この小説はオジサンたちには受けが悪いのではないかと思う。しかし、現実にいない人間を書いているから作家としての技量が低いという見方がある一方で、現実にいそうもないから作中人物に惹かれてしまうというのも道理である。とは言え、この小説の場合は作家がそこまで計算して書いているとは思えないので、もっと「その辺にいそうでありながら、しかし魅力的な女性」を描けるようになって初めて、この作家は評価されるのではないだろうか。
他の点は申し分ない。一番大切なことだが、何よりも読んで面白い。よくできた青春小説である。
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シャカイのヨクアツなんて、ニッコリ笑って蹴り飛ばせ。無理矢理にでも笑う門には福来る。そしてそこからいつか本当の喜びが生まれる。周りがどうかじゃない、結局一番肝心なのは「自分がどうか」なんだよなあ。桜井のキャラクタがあまりにも漫画チックで今一感情移入出来ないのは惜しいけど、鬱々としたセイシュンのはしかみたいなあの気分に対して、一つの答えを出してくれる一冊だと思う。
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主人公の僕は日本人ではありません。
生まれは日本ですが、北朝鮮出身の父親と日本人の母親の間に生まれ
韓国国籍を持つ僕
共産主義、資本主義、民族、国、在日・・・何処にいても他者であること
それが僕という存在
ある日僕は女の子に恋をします
彼女はキュートで知的そして日本人
「これは僕の恋の話だ」
日本の中でも他者であることを背景に
力溢れる若さと爆発力を燻らせている主人公の葛藤を描いてます
俗にいう青春ポップノベルってやつです
映画もヒットしました
映画は官藤勘九郎色が強すぎて大嫌いです(つまらないわけではないですけどね)
この映画を見て初めて脚本書く人と原作の受け取り方が違うことに憤りを感じました
「広い世界をみるんだ」父と子の間に交わされたこの言葉が印象でした
恋の話というか僕は父子の話と思って読みました
元プロボクサーのオヤジがかっこいいです
永遠に主人公の目指す存在であり続ける父は最高です
父親以外にも脇を固める登場人物達みんな魅力的です
人によって受け取り方が変わってくる作品だと思います
波長が合えば読み終わった時のスッキリとした爽快感がたまらないでしょう
第123回直木賞受賞作品
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直木賞受賞作。映画(主演:窪塚洋介)を試写会で
見ることができ(ついでに舞台挨拶で窪塚くんも見た)、
原作を読んでみたいなぁと思い借りてきた。
在日コリアンの主人公「僕・杉原」と在日ジャパニーズの「彼女・桜井」の恋バナに
複雑ないろいろな状況を織り交ぜ話が盛り込んである。
元プロボクサーの父、母、朝鮮民族学校の時の同級生、ヤクザの息子・・・
読了後、ちょっと元気をもらえる・・・かな?!
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在日コリアの書く在日コリアの若者のはなし。
わりと真面目な内容だと思う。
内容よりも文の書き方のおもしろさで、いっきに読める作品。
でも、今時「在日コリアとつきあうな!」って言われて本気にする女子高生はいるんだろうか。
そんなことなんとも思わない、考えた事もない、って人がほとんどじゃないんでしょうか。
それは私が社会を知らなすぎってことでしょうか。
「猫背の王子・中山可穂」を読んだときにも思いましたが、
結局「にんげん、趣味も人種の違っても心はおなじことを考えている」という事ではないでしょうか。
「〜の世界をリアルに描く!」とか、「これが本物の、〜が書いた〜のストーリー」とか、
リアルに描こうとすると、普通の小説になる気がします。
女が好きでも男が好きでも日本人でも何人でも、恋愛小説は恋愛小説で(恋愛小説でなくても)、
それ以外の何者でもない。とくに変わりはないと思います。
........人間だもの。(私はアイダミツオなど読んだことはない)
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読むきっかけは、中居さんのラジオ。すごい不純なきっかけだとは思うんですけど…。
でも、映画化されるだけあるかなと、思えるくらい内容はよかったと思います。
20020228:読了
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すごいいい本でした。映画を先に見たのでそのイメージがつよかったかな。国籍なんて関係ないよね!杉原かっこいい
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普段自分が意識していない国籍や、日本という国について考えさせられた。ストーリーも面白かった。IWGPと同じく、読書嫌いの人にも薦められると思う。
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映画は知ってたものの、読んだことがなくて、最近読みました。久しぶりにサラッとしたのを読めてよかったかも。
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テンポがよくて,読みやすかった。「在日」とゆう言葉は今まで遠く感じてたけれど,ぐっと身近に感じられたような気がした。
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今まで在日の方の書いたものといえば高史明さんのものしか読んだことがなく、若者の主張が新鮮だった。ただ、桜井は原作のイメージが好き。
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自分の起源ってどこさ?って なんも考えないで生きていけるならそれにこしたことはないけれど、壁にぶつかることのほうがおおくって まともにぶつかったら痛いし こわれちゃうかもしれないけど わかったふりがいちばんだめなんじゃないのって おもうよ。
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すごいよ!かっこいいよ!!どうして、文章からスピード感、風を、感じられるのか不思議!
内容盛りだくさんのラブストーリー。自分の居場所。自分の生き方。家族、日本人。韓国人。朝鮮人。
友情。とにかく、ほろりと、涙もこぼれます。おすすめ!
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図書館で借りた本。
かなり前に映画を見た。
原作の方はちらっと立ち読みしただけだったので今回本格的に読んだ。
マスコミで騒がれるほど面白くはなかった。
でもいい言葉だな〜と思う言葉が結構出てきた。