紙の本
リアリティ満載ミステリー、だけど、退屈はナシよ
2002/03/06 22:48
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読ん太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作『カウント・プラン』ほか、『黒い白髪』、『オーバー・ザ・レインボー』、『うろこ落とし』、『鑑』が収録されたミステリ短編集。
熱血刑事も登場しない。世の中を震撼させるような事件が起こるわけでもない。日常的に日本の警察が捜査しているであろう事件の、ほんの一部を垣間見たかなという感覚が残る。要するに、とてもリアル。ミステリにとってリアリティは、あまり武器にはならない。下手をすると「退屈」という烙印を押されてしまう危険もある。 黒川博行は、この「退屈」をうまく回避させる要領を心得ている。だからリアリティで、堂々と勝負するんだろうな。
「退屈」の回避法は、一つには、警察側や犯人側の心情をしつこく書き過ぎないこと。たとえ犯人が逮捕されて、心情を吐露しようと意気込んできたところでも、黒川氏は無情にも? プツリとその出所を切断してしまう。
いま一つの方法としては、異常者ほど異常ではないが、正常者にしてはやや異常という人物を登場させることだ。『カウント・プラン』では、目に入るものすべてを数えてしまうという「計算症」の男性が登場する。『オーバー・ザ・レインボー』では、虹のように美しい色に恍惚とする男性、『鑑』では、女性が出すゴミ袋を持ち帰り、せっせとコレクトする男性が登場する。
我々の多くは、ある程度気の合った人間と対する日々を送っていると思う。友達はもちろんのことだけれども、職場における人間にしても大意では同類とくくってしまってもいいだろう。しかし、これが来るものは拒まずの世界に身を置く人にとっては随分と違ってくるのだろうと感じた。警察官などは、実に様々な人と接していることだろう。あとは、接客業の人もしかり。医者もこの世界の人だな。
同類の世界で生きている私が、せっせと本を読むのは、この辺りに原因があるのかもしれない。簡易的に様々な人と接する、そして、自分が置かれている状況が一番正常であるとの錯覚をやわらげる効果を狙っているような気がする。
本書を読んで、こんなことをつらつらと考えた。
投稿元:
レビューを見る
内容に惹かれて読んだ一冊。
変わった性癖を持つ人が事件に何かしら絡んでくるのが面白い。映像化されたら面白いと思う。
投稿元:
レビューを見る
日本推理作家協会賞第49回(1996年)短編部門受賞
直木賞候補
受賞作の表題作を含む全5編。
登場人物は計算症、色フェチ、ダスト・ハンティングなど変わり者ばかりだが、読みやすいし面白かった。
なんかずれた感じが気持ち良かったが、伏線が少なくてちょっとあっけない気もした。
投稿元:
レビューを見る
表題作、短編に終わらせるのはもったいないと感じた。キャラクターの作り込みが、すごい。黒川さんの小説の登場人物は、汗の臭いがする。余分な要素を削り落として必要なものしか残していないので、短編になったのだろうけど。もっと彼の話を読みたい。
投稿元:
レビューを見る
ミステリ短編5編。
どの短編も、ちょっと変わった性癖を持つ主人公と、その主人公の周りで起こる事件と、その犯人を追う警察の物語。犯人を探し出すミステリーではなく、「こういう人っているんだなぁ…」という、人間ドラマが面白い。興味と同情と怖さ。
黒川さんの小説は外れなく面白い。
投稿元:
レビューを見る
日本推理作家協会賞受賞の新犯罪ミステリ
あなたの隣のアブナイ人たち、彼らの執着が妄想に変わる時、事件は起こる。
解説:東野圭吾
あまり馴染みのない計算症の青年の行動が鍵となる表題作、『カウント・プラン』、
隣人のゴミに異常な関心を持つ男が持ち帰ったものが証拠となる『鑑』、
など犯罪のその裏側で「何が起こっているのか」を主題にしているといってもいいミステリ短編集。
東野さんによる解説も素晴らしい。
特に「発想の原点がつかみきれない」ことの凄さについて、作家の矜持たるものを語っている。
このお二人はそれを確実に有している。
ミステリ :☆☆☆☆
ストーリー :☆☆☆☆
人物 :☆☆☆☆☆
文章 :☆☆☆☆
投稿元:
レビューを見る
黒川先生が描く
<心のねじくれた人々>には
異常な程の生々しさがあった。
それ故
彼らの周辺で(案の定…)起こってしまう事件は
どろりとした粘着性があり、
解決の為に奔走する刑事達の汗塗れ感が半端なかったのだが、
その<泥ぬぐい>作業はなかなか面白かったし、
落とした後の唖然…と感も楽しかった。
そして、読後ワクワクしていたのが
東野圭吾さんの解説。
本書についての面白さも、当然記してあるが、
私が気に入ったのは、
>最近になって「黒川博行はすごい」と感嘆の声を上げる人が増えてきたが、私にしてみれば、「何を今更」と言う気分だ。
ずっと世間に対して言いたかった言葉を、やっと言えて、ホッとした東野さんのお顔が目に浮かぶ様であった。
投稿元:
レビューを見る
ある友人と話した際、互いに読むジャンルが違うね、という話になった。
その友人は「僕の好きなのは、パズルみたいな本。最後にピタッとすべてにピースがはまるのがいい本。あんまり感情がどう、というような話は苦手。」と言っていた。
この本は多分、そっちの本。パズル的なんだと思う。
私はそんなに好きではない。
投稿元:
レビューを見る
黒川博行が、偏った人間と、その周辺で派生する事件を扱った短編集。
切り口と展開は斬新でよかったが、『文福茶釜』や『離れ折紙』ほどの鋭さがない。読む順番を間違えたか。
それでもやはり、“大逸れてなさ”がよい。ほぼ予想通り、あるいは予想外でも醒めない程度にフィットする感じは、他の作家ではなかなか真似できないはず。
特に「鑑」はよかった。短編ながら物語をあえて派手に広げ、一気に加速して終息する感じは、お手本の一つのだと思った。
巻末、東野圭吾の解説もよい。さすがというか、やや自分本位な解説ではあるが、著者の魅力を端的にまとめていると思う。
最近ハードボイルド長編の方にウェイトを置いているようだが、ぜひ短編をコンスタントに書いてほしいところである。
3+
投稿元:
レビューを見る
5作品による短編集。
様々な性癖の人達。
その人達の周辺で起こる事件。
単純にアブナイ人が犯人なのかと思いきや違う。
な〜んだ、残念。
単純じゃないとこで、読み直しながら読み終えた。
'16.08.18読書完了
投稿元:
レビューを見る
目に入ったものを数えずにいられない計算症の青年や隣人のゴミに異常な関心を持つ男など5話からなる短編集。
.
やっぱり短編好きじゃないな〜。
表題のカウントプランが1番面白かった。.
投稿元:
レビューを見る
ハードボイルドの今の作風になってきました。短編集なのであっという間に読めます。展開は想像できますが独特の描写が楽しめます。
大阪と東京はずいぶんと文化が違うんだろ思いました。
投稿元:
レビューを見る
オモロない。
毎話毎に登場人物の刑事の名前が変わり、覚えられへんがな。長編でじっくりと読ませる方がええでい
投稿元:
レビューを見る
推理小説をこの視点で描くなんて、こんなにリアルなのにファンタジーの様な非日常性、初めて覗く世界!そう来たか!気持ち良い気持ち悪さ!トリック重視でない楽しみ方ができるミステリーで、江戸川乱歩にリアリティエンターテイメント刑事小説要素を足したような、私はいったい何を書いているのでしょうか。よくわかんなくなったので、とりあえず読めばいいと思います。面白かった!!
投稿元:
レビューを見る
賞を取った作品がのってるというので買ってみた一冊。
変な性癖をもつ人が登場する話もある短編集だった。
黒川氏の小説は長編しか読んだ事なかったので、短編集はどの話も物足りなかった。
どの話も短編とあってわかりやすかった。
変な性癖の事を知る事はできたが、心理はやはり理解できない。
でも世の中病気かなにかわからんが、変な性癖を持つひとが多いのは確かだと思う。
変な性癖の事が少しだけ知るとこができた小説でした。