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紙の本
すこしふしぎ
2002/07/18 13:55
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投稿者:Xdriver - この投稿者のレビュー一覧を見る
多様な作風で知られる作者ですが、今回は“嘘”をキーワードにした短編集です。一つの嘘がまた嘘を呼ぶ、そんな繰り返しの果てに犯罪を犯してしまった人々の悲しさが基本となっています。
読後に残るのは、楽しかったという感想よりもむしろ違和感でした。日常と非日常の境、それはこんな嘘一つでしかないのでしょうか。ならば自分がここにいる日常などほんのわずかなことで吹き飛んでしまうのではないでしょうか? そんな不安感と日常への安心感、複数の感情が同時に吹き出してきました。
紙の本
まるで恋愛小説みたいなタイトルだ
2002/05/24 15:59
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投稿者:蛍 - この投稿者のレビュー一覧を見る
バレエ団の事務員が自宅マンションのバルコニーから転落、死亡した。事件は自殺で処理の方向に向かっている。だが、同じマンションに住む元プリマ・バレリーナのもとに1人の刑事がやってきた。彼女に殺人動機はなく、疑わしい点はなにもないはずだ。
嘘が嘘を生み、結局は嘘に破滅する。切ないミステリです。
表題作の「嘘をもうひとつだけ」をはじめ、いろいろな「嘘」を加賀さんが見破っていきます。嘘をつく哀しさ、それを見抜いてしまった哀しさ、嘘を指摘しなければならない哀しさ…。でもやむにやまれぬ嘘ばかり。
表紙の感じとマッチしていてなかなかグとくる作品です。
紙の本
心に潜む悪意を描く傑作短編
2000/10/04 00:38
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投稿者:ひで - この投稿者のレビュー一覧を見る
悪意は人の心の奥底に常に潜んでいる。普段それは目に付くことはなく、本人ですら気付くことはない。だが、ふとした瞬間、それは犯罪という実体となって現れる。そうなったとき、人にはそれを止める手だてはない。残された道は、それを人の目に付かぬよう隠しきるだけである。
本作は、五本の短編をまとめた短編集である。「嘘をもうひとつだけ」ではマンションから転落死したプリマドンナの事件を、「冷たい灼熱」では、妻を強盗に殺され、子供を連れ去られた男の事件を扱う。また「第二の希望」では娘に体操選手の期待をかける母親の家で起こった殺人事件を、「狂った計算」では、夫を事故でなくした妻とその家を訪れ行方不明になった男の事件を「友の助言」でも運転中に眠ってしまい事故を起こした加賀の友人の事件を、それぞれ刑事、加賀恭一郎が調べるといった展開である。
東野氏の作品には、ミステリの枠内でどう人間を描くかという試みがなされているように思われる。本作もまた、シリーズ探偵加賀恭一郎を登場させミステリ作品として仕上げながら、犯罪を犯す人間の心の内を描こうとしている。結末での逆転といったミステリの妙味そのものは残しながらも、登場人物を駒としてではなく心を持った人間として扱っている。だからこそ、短編でありながら読者は瞬時に登場人物に自分を投影することができる。
人が犯した犯罪に、完璧という言葉はない。人が犯す犯罪である以、そこには何らかの痕跡が必ず残ってしまうのである。それは、人の心にある善が無意識のうちに罪を償おうとした結果なのかもしれない。読後に感じるやるせなさは、勝つことのできなかった善へのやるせなさななのかもしれない。
紙の本
安全な犯罪小説
2004/07/04 16:57
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投稿者:luke - この投稿者のレビュー一覧を見る
東野圭吾「嘘をもうひとつだけ」。(1)嘘をもうひとつだけ(2)冷たい灼熱(3)第二の希望(4)狂った計算(5)友の助言、以上5篇が収録されている短編集です。「卒業」以後も大活躍の加賀恭一郎が犯罪の小さなほころびから推理力をご披露する短編集はご安心の一冊とでも云いましょうか…。と、まあ褒めているようで貶しているような言い回しですが、結構に捻ってあってダブルオチなどもあり十分楽しんでいただけます。迫力や緊迫感などには欠けますが謎、伏線、推理、とミステリーの常道を逃していませんね。
いつも思う事ですが、短編ですから謎解きを主体にすると、どうしても登場人物の存在感までは描ききれない辺りに物足りなさが残ります。犯す犯罪に見合う人物像の台詞はどんな言い回しか、どんな行動を取るのか、何ページも費やせずに描き納得させて欲しいし、推理クイズに無理して肉付けしたような本格物には閉口させられる事が多いです。短編は長編を短くしたわけじゃないと思うのです。