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紙の本
作家の劣化
2008/05/05 20:29
13人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
中味の薄い本である。何よりも勘に触るのは、佐野が連発する「大衆の劣化」という思い上がった視点だ。んなら日本人はそんなに昔、高級だったのか。少なくとも戦前の日本人は相当バカだったことは、近衛文麿や松岡洋右を熱狂的に支持し、滅亡の戦争へと突き進んでいったことからも明らかであろう。戦前の日本人は貧乏で、そして愚かだった。世界を知らなかった。イナカモノだった。
じゃあ、戦後はどうか。確かに少しは賢くなった。しかし、大衆は相変わらず「バカ」だった。事実上、アメリカの占領下にある状態を固定化していた旧安保条約を改正し、独立へ向て大きく条約改正を断行した岸信介の安保条約改正を「逆コース」などというバカなレッテルを貼って、国会に暴力で圧力をかけるほど当時の日本人はバカだった。当時の若者もバカだった。東京大学を始めとする国立大学、私立大学を選挙し、放火したり投石したりやりたい放題。無実の警察官を数十人殺しても誰も自首しないほどバカだった。
せっかく作った成田空港を占拠して管制塔を破壊するバカがいた。三菱重工に爆弾仕掛けて無差別殺人するバカもいたし、日本航空機を乗っ取って、北朝鮮に「亡命」してしまうバカもいた。
これらに比べると、現在の日本人は相当「賢くなった」7「賢明になった」ことは火を見るより明らかであろう。
んで、本書である。本書における小渕首相を見る目は、基本的に温かい。それは私も賛成である。賛成だが、事実を検証すれば、彼が宰相の器でなかったことは明らかであろう。彼は不運だった。自民党の一党独裁が崩壊しかけたときに宰相になったにもかかわらず、彼は圧倒的多数で国政を牛耳る経世会の政治しか知らなかった。このギャップを、彼は超人的な個人技で乗り切ろうとした。組織を動かせず、軍団を持たない小渕は全部1人でやろうとした。ブッチホンとして有名になったが、個人の携帯電話を掛け捲ってものすごい数との接触を1人でこなしたことがその何よりの証拠である。英語が出来なかった彼は、サミットをひとりで切り盛りすべく、疲れて帰宅した後も録音したラジオ英会話を聞くべく、耳にイヤホンを差し込みながら意識を失って床に伏す毎日だったという。これだけ過労が続けば、そりゃあ、死ぬわ。
佐野はマスコミの劣化も嘆く。しかし、じゃあ、マスコミはそんなに立派な存在だったのか?戦前はマスコミが戦争を賛美し、中国侵略を賛美し礼賛して日本国民の判断を誤らせたことは、今や公然たる事実である。戦後もサヨクを礼賛し、スターリンを礼賛し、毛沢東の文化大革命を礼賛し、ポルポトはカンボジアで虐殺なんかしていない(あれはCIAが垂れ流す陰謀だ)と連呼したのは日本のマスコミである。小泉政権誕生以降、私は日本のマスコミが小泉を礼賛したという記憶が無い。「思想が無い」「丸投げ」「無責任」と罵詈讒謗の限りを小泉や竹中にぶつけ続けたのが日本のマスコミだったと記憶している。それにもかかわらず日本の有権者は一貫して小泉を熱狂的に支持した。なぜか。日本の有権者は小泉の掲げる政策が日本の生存にとって無くてはならないことを知っていたからではないのか。日本のマスコミは戦後一貫して「反米」だった。アメリカは沖縄から出て行け、日本から出て行け、日本にアメリカの基地は要らない、日米安保があるおかげで日本は戦争に巻き込まれるといい続けてきた。にもかかわらず、日本の有権者は見抜いていた。アメリカさまのおかげで日本の安全は保障され、日本は戦後、繁栄することが出来たということを、だから9.11事件が起きたとき、日本人は「アメリカと共に日本は立たないとアメリカに見放され日本は滅びる」とピーンと来たのである。だからこそ小泉が敢然と掲げたアメリカ軍支持、日米同盟強化の外交方針を諸手を上げて支持したのである。日本人は劣化したのではない。サヨク学者やサヨクマスコミの垂れ流し続けた「反米ごっこ」にもかかわらず真実を見抜く賢明さを日本人は身につけていたのである。
小渕首相は人気の無い政治家だった。それがゆえに、彼について書かれた本は少ない。その数少ない「小渕本」がこんなにもレベルの低い作家によって書かれたことが、私は残念でならない。
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