投稿元:
レビューを見る
橋本さんの後、森さんの前に首相になった小渕さんとのリレーションによって書かれた。「冷めたピザ」など冴えない感が高いこの人がどのようにして一国の首相にまでのぼり詰めたかをおっている。結論からいえば、徹底的な人情主義、あと大事なところでうまく歯車が回る運のようなものか? 他方で佐野眞一は小渕を肯定しているわけではなく、ある種「日本的なもの」の集大成だったのではないかとまとめている。
投稿元:
レビューを見る
★ふてぶてしさの裏側は★景気対策に向けた財政出動一辺倒で「世界一の借金王」を名乗り、小泉政権後はすっかりかすんでしまった小渕首相。「変人」の前の「凡人」を、著者は「ハイパー庶民」と名づける。学生時代の父の死を契機に文学から政治に転向。「凡人」だから一点集中し、政治に愚直に向かった。福田、中曽根という強敵の合間で生き残った気配りと、竹下に学んだ辛抱は確かにイメージできるが、本当にそれだけで政界を生き残れるのか。邪気があるのかないのかも不明なほどのふてぶてしさが行間からにじむだけに、著者が発掘できなかった政治家になってからのエピソードが何かあったはずだ。本の構成が、学生時代からいきなり今に飛んでしまうので、欲求不満が残る。
投稿元:
レビューを見る
瀕死の菅内閣を見ていて、積読してあったこの本を何となく読みたくなった。小渕恵三。2000円札、地域振興券、それに「株あが~れ」などと朗らかにやらかしていた姿を思い出す。思えば、彼が死んでもう10年以上が経過するのか。運よく総理の座について、悪口雑言を物ともせず、倒れるまで突っ走ったこの男と、苛立ちを募らせ「一定のメド」などと旨いこといった気になって政治生命を失った男と、どちらが「凡宰」なのか、どちらもなのか?いずれにせよこの国の悲劇であることには変わりない。そして、その悲劇を招くのは「劣化した庶民」たる私たちだということも変わりないようである。そんなことを考えさせられた。
投稿元:
レビューを見る
凡人宰相と云われた小淵恵三の人生を、本人インタビューを交え浮彫りにする。決して凡人ではなく、気配り、しつこさ、目標への情熱・努力など感心しました。佐野氏が会った後、首相からの直接の噂のブッチ・フォン、その行動力に脱帽。また婚約中の夫人への外国からのラブレターが9ヶ月間で300通!そしてそれを保存している!貧しかった祖父から始まり、父・光平の経営者・代議士としての人生、恵三の目立たなかった幼青年期、ドストエフスキーを愛読した文学青年が早大・英文時代に政治家を目指すことになる経緯。決意してからは雄弁部、合気道部、書道部に入り、また選挙に有利なため、外遊を行なうという将来に備えた計画性。やはり首相になるだけの人だったのでしょうか。政治的な立場としては反対といわざるをえない重要法案を多く成立させ、日本の方向性を決めてしまった、そのパワーの源を見た思いがします。
投稿元:
レビューを見る
P50「ワットの原理を越えろ」原発のことの小渕のコメント。◆鈍牛の真髄。これくらいのしたたかさがなければならない。