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紙の本
庶民とマスコミの劣化をえぐりだす
2008/05/04 14:30
7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナンダ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「真空総理」「鈍牛」「政策がない」とののしられながら、国旗国歌法や住民基本台帳法などの重要で危険な法案を次々にとおした。
マスコミの薄っぺらな「茶化し」と、その裏にあったリーダー待望論(小泉賛美)の危なさは私も感じたが、佐野はさらにその裏に、庶民全体の劣化とそれに伴うマスコミの劣化を感知する。
小渕の生い立ちをさかのぼり、群馬という風土を徹底して分析したうえで、小渕を「ハイパー庶民」と位置づける。「ブッチホン」をはじめとする気配りと、敵対者を脱力させてしまうボケと、本音とタテマエの使い分け。庶民の知恵を武器にしてきたのだ。
その「庶民」が権力とふれあったときに、ある種の化学反応をおこし、執念深さや権力への執着……といった怪物性に変容した、という。
「小渕はバカだから」と「国家」を語る庶民を「いつからそんなにえらくなったのか」となげく。暮らしの知恵、歴史に根づいた珠玉のような知恵を忘れてしまった一方で、自分がまったく傷つくことのない安全圏から権力者をばかにする。それを佐野は「大衆の劣化」と呼ぶ。
それと軌を一にするのが、マスコミの劣化だ。小渕を薄っぺらにバカにしたことの結果が、小泉賛美であり、それが、有事法制やイラク戦争参加、教育基本法改正などをもたらしてしまった。
著者のほかの本とくらべるとインパクトは薄いが、独自の切り口と大衆分析が鋭い。
紙の本
やはり我々の代表だったのかもしれない。
2002/09/01 00:46
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Shinji@py - この投稿者のレビュー一覧を見る
気になる政治家がいた「真空総理」と言われた小渕恵三元首相である。どこかで聞いた「三人集まれば小渕が来る」という言葉がなぜか耳に残っていた。地元の集会にはどんな小さなものでも参加するという意味だそうだ。この本『凡宰伝』では、ノンフィクションライター佐野眞一が、元首相本人の全面的な協力を得て、その一風変わった政治家の実像に迫る。世界旅行の8ミリ映写会、苦手な演説の特訓、竹下登との関係、「ブッチホン」、「ボキャ貧」、「株あがれ」のパフォーマンス、法案の丸のみ。生い立ちにはじまって、脳梗塞による入院までのことがよく書かれている。気配りに明け暮れ、選挙に勝つための涙ぐましい努力が伝わってくる。小渕元首相はこの本の出版とほぼ同時に亡くなった。
ただ、読み終わって、なにか物足りない。小渕恵三はそういった大変な努力をして、いったい何がやりたかったのかということが最後までわからないのだ。金と名誉が目的というのならまだわかりやすい。「真空総理」とか言われて、何がしたいのかわからない首相というのはやはり不気味だ。ふと我に返ると、こんな本を読んで本当に知りたかったことは、自分のこと、自分たちのことだったのかもしれないと気づく。仕事に追われ、集会に参加して、まわりに気を遣って、いったい自分は何がやりたいのだろう。小渕恵三は確かに我々の代表だったのだ。最近、いろいろなタイプの政治家が現れて話題になる。でも、政治家のことをとやかく言う前に、不気味なのは自分たちなのかもしれない。
佐野眞一の作品にしては地味かもしれないが、この本でこんなことを考えさせられた。
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