金環蝕 みんなのレビュー

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：こゆき　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

しがない官僚が自殺した。日本国首相の先導する汚職にかかわっていたことに良心がたえられず。もちろん首相からの指示ではない。ただし首相夫人が差し金を引いていた。巨額の税金が一企業に投入され、首相は選挙資金を援助され再選された。めでたしめでたし。小役人の自殺など無かったかのように、首相たちは幸せに暮らしました。

なんとついこの間、聞いたことがあるような話である。予言書ではない。現実の事件に取材した小説（ということになっている）なのだが、今や絶版になっているほど昔、20世紀のベストセラーである。にも関わらず、21世紀にもおなじような事件が起こっている。
当時著者は政治が腐敗しきっている、堕落しきっていることを嘆いて告発小説を著したのであろう。
全然進歩していないどころか、ますますだらけきった日本の政治に冥界の著者は何を思うか。声を上げない国民に愛想を尽かすか。告発もしないジャーナリズム（なんてものはやっぱり日本には育たなかったんだろうなあ）を嘆いているか。

今こそ再版して欲しい作品です。赤木雅子さんの著作とあわせて読まれて欲しい。歴史を繰り返してはいけない。