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投稿者:紅の豚 - この投稿者のレビュー一覧を見る
名著である。日本人がどのように外国語に立ち向かってきたかを知ることができるばかりではなく、現代もまだその時の迷いをそのまんま背負って生きていることを実感できる。
また、この著に取り上げられている「コトバ」の迷いを感じることなく、現代の日本人はそれらの「コトバ」を使い続けている。現代の論客とよばれる人たちの中にも翻訳を多用して話す人たちがいる。翻訳語を使えば使うほど、話の内容はすばらしく聞こえてしまうが、この著を読んでいれば、そんなことを感じなくて済むことになる。
翻訳語を意識して使用しなければ、まず持って、そのすばらしく聞こえてくることの内容は稀薄であることを知る。この著を読むことで、翻訳語に圧倒されない判断力を養うことができる。
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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国と西洋という二つの文化圏から言葉や思想を輸入してきた日本には、その言葉をどのように日本人にわかりやすく伝えるか、という問題があった。これに伴う翻訳の際の意味のずれをわかりやすく解説している。
西洋中心の考え方ではなく、日本語を中心にしっかりと考えていると思った。
意味が先か、言葉が先か
2020/06/01 22:53
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投稿者:トリコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
幕末から明治時代にかけて、翻訳のために造られた新造語の中から10の言葉を章に立てて述べていく。
「社会」「個人」「近代」「自然」「自由」など。いずれも二文字の、小学校で習う漢字である。
だが、どの言葉も、分かっているようでよくわからない。
著者の、
「ことばは、いったんつくり出されると、意味の乏しい言葉としては扱われない。(略)使っている当人はよく分らなくても、ことばじたいが深遠な意味を本来持っているかのごとくみなされる」
という主張は、重たい気もするし、逆に心持が楽になるような気もする。
良い本だと思う。
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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
言語の違いは国々の交流を遠ざけるが国家間の行き来が頻繁になるに従い語学の重要性が高まりその黎明期に活躍した物語。
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学生時代に読んだ本だが、手元から失せてしまい、引用したいと思ったときに手元になかった。たまたま思い出し、書棚にあったので購入。明治の日本が西洋文明をうまく取り入れることができた理由に「翻訳」の役割が見逃せないと加藤周一は言っていた。明治日本が西洋から翻訳した諸概念を考える好著。後に丸山眞男、加藤周一もかいているが。
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社会、個人、権利、自由、自然・・。近代日本が、どのように西欧文明を受容していったか、翻訳語という概念からせまる。
歴史、言語、日本など、多様な観点から読める一冊。
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「世間」と「社会」、違うと思いません?
「恋」と「恋愛」、違うと思いません?
言葉のにおいが違うと感じる方、必読。
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すごく昔から「好き」と言われるのは
嬉しいのに「愛してる」と言われることに
ものすごく嫌悪感を感じていた私ですが、
この本を読んだときにスッキリしました。
freedom=「自由」love=「愛」など、
身近な単語がどうやってこの言葉に
なったのかが解る1冊。
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1982年初版の岩波新書(黄版)。本の外装は古くなっても、内容的にはまったく古びちゃいない、必読の書。重要ポイントは柳父氏が随所で指摘している「カセット(宝石箱)効果」(柳父氏命名)。外来語を「日本語」(漢語もしくは造語)に置き換えると、翻訳者の意図を離れて、訳語が一人歩きを始める。訳された「日本語」がよくわからない言葉だからこそ、ありがたい言葉として、また流行り言葉として、よくわからないまま多用(乱用)されたり、多義化したりしてしまう。翻訳者の翻訳・造語が適切かどうかももちろん重要だが、言葉が生き物である以上、その後の変遷も押さえておかなければ字義だけでは理解できないということがよくわかる。柳父氏の文体も平明簡潔。
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大学3年のゼミのテーマ本の一つ。普段何気なく使っている言葉には実は海外の言葉の翻訳語もたくさんあるということがわかります。
われわれにとって言葉は概念として重要なものなので、実は多くの概念は海外のものであるという事実に気づかされます。
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日本語には見当たらない外国語の表現や単語を、どのように翻訳していったかがわかる本。本書の説明通り、明治期の知識人の知的葛藤が垣間見えた。やはり、言葉の真意を知るには母国語の知識だけでは駄目だということを痛感した。
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言語は異質的連続的な世界を切り分ける枠組みで、当然言語が異なれば切り分け方が違ってしまうわけです。そういった場合に新しい言葉を創造することは単純明快にして最善の解決策に思えるけれども、慣れ親しんだ日常語と切り離してしまうことは翻訳語の意味内容をブラックボックスにしまいこんで、筆者のいう「カセット効果」を生み出してしまう、ジレンマが発生してしまう。拡大解釈すると、翻訳に伴う構造的不可能性を論じた一冊。
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入試の課題図書として買ったので繰り返し読んでいます。
難しいのかな、と思っていたら、取っ付き易くおお!と思うことばかりで中々面白いです。
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[ 内容 ]
かつて、この国に「恋愛」はなかった。
「色」や「恋」と区別される“高尚なる感情”を指してLoveの翻訳語がつくられたのは、ほんの一世紀前にすぎない。
社会、個人、自然、権利、自由、彼・彼女などの基本語が、幕末―明治期の人びとのどのような知的格闘の中から生まれ、日本人のものの見方をどう導いてきたかを明らかにする。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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明治期に翻訳の必要性に迫られて生まれ、今日ではごく普通の語として使われる「社会」「個人」「近代」「存在」「権利」等の翻訳語の発生と、それらに共通する特性について。
伝来する意味を持たない翻訳語に特有の「よく分からないが有り難みがある」という印象が持つ効果を柳父氏は『カセット効果』と名付けて一連の説明に用い、異文化受容について独自の論を述べる。