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「異能力士」が好きだ、と石井代蔵氏はいひます。
石井氏の定義によると、異能力士とは「理にかなわない相撲、他の者がやれば絶対勝てないという相撲で勝つ異な相撲取りである」さうです。相撲評論家の彦山光三といふ人が、若ノ花勝治(後の横綱初代若乃花幹士)を評してさう表現したのが最初だとか。
かういふ力士たちがもうゐないと嘆きます。そもそも体格・体力に於いて劣る力士が大きな相手と対戦する際に、互角に戦へるやうに工夫した結果、異能力士が誕生するのでせう。
さういへば、昔は本当に「小さい力士」がゐました。明治の玉椿、大正の大ノ里など、一般人の平均よりも小さい力士が三役や幕内上位を務めたのです。
では今はどうか。全般に力士は大型化し、体型も標準化しつつあるやうです。標準化はチェーンストアだけで十分だと思はれます。
やはりあの新弟子検査といふものが問題ではないのか。身長173センチ以下、体重75キロ以下の者ははじき出される制度は好い加減にやめませう。どうせやるなら体力検査だけで良いのに。
いかん。最近相撲を語ると愚痴つぽくなります。本書の『相撲講談』の章でも読みませうか。
双葉山は69連勝ではなく87連勝してゐたとか、土俵際ぎりぎりで仕切る放駒長吉とか、相撲にまつはる下ネタとか、興味深い話がたくさん詰まつてゐます。
これを読んで、三月場所を観戦するとしませう。ではさやうなら。
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