紙の本
内面の問題ですから。
2002/07/26 15:35
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みっつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ちょっと関係の複雑な家庭にそだった、兄修一郎と弟行助がいろいろな事件を巻き起こす物語。行助は人間的にできた強い人である。反して修一郎さんは好き放題めちゃくちゃなことをしている、精神的にも弱い人である。
母を犯そうとする修一郎をみて、行助は刃物でさしてしまう。そして少年院に送られる。しかし行助は、行助らしいやりかたで義兄に復讐をくわだてる。
そんなものがたりの中で、印象的な台詞がある。行助の言葉で、「内面の問題ですから」という。なんかこの言葉実際に人に使われたらいやな感じかもしれないけど、この本の中ではいい感じで、すごく重要な意味をもっていると思う。
意思を強くもつことをあらわしているとおもうのだが、これを読む人はこの言葉の意味を考えつつ読むとよりいっそう興味深くこのほんが読めると思う。
紙の本
勁さとはなにか
2002/11/18 22:10
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さとみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
行助を中心に非行とは何かを問う力作。美しい母を陵辱しようとする義兄修一郎を誤って刺し、少年院に入ってしまう。劣等感のはけ口を刃物に託すような義兄を生涯劣等感の中でしか生きられないようにしてやろうと密かに復讐を誓う。
少年院という隔絶された中で清潔に生きる行助と対象に自由な社会でずるく生きる修一郎。そして社会復帰を願う非行少年達の更正が作者によって暖かく描かれている。
当初読売新聞に連載されるが、行助の親友、安が交通事故で死んでしまった後、行きつけの一杯飲み屋から「あんないいやつを殺す作者に飲ます酒はない!」と本気で怒られ追い出されたという。この作品が世に出てから30年以上が過ぎているが今なお色あせることはない。
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とても長い話なのですが、あっという間に読み終えてしまいました。それだけ中身が濃く、人を引き込む本。行助はとにかく深い。彼の人生を初めから最期まで見たくなるくらいです。
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幼い頃に父を亡くし母の再婚した先には年の変わらぬ子がいて弟となる。その弟のせいで主人公「行助」は2度も刑務所にはいる。なんでこんないい子が…
とても感動した1冊でした
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生きるということ、運命や宿命、起こりうる出来事にどう向き合うか、死、そういったものを真正面から考えずにはいられない一冊でした。
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矯正の姿を描いた作品で、人口に膾炙し、評価も定まっているといえば、冬の旅。
少年院を舞台に、少年達がいかにして生きるかを綴ると同時に、主人公に託した作者の倫理を描いた作品であると私は読んだ。
主人公の宇野行助を大学時代の友人の山村が評して言う、「宇野は損な性分にうまれついている、と思っているだけさ、あいつは、正義漢じゃないんだ。正義漢ならまわりから道場をよせられるが、あいつの正確には、こちらがはいりこむ余地がないんだな。なんといえばいいかな、あいつは倫理そのものだよ」という言葉に惹かれた。
「これは、自分の内面の問題ですから」をキーワードに現代的に読むのも可能。いろいろな読み方ができる素晴らしい作品であると思う。
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母を想う息子の優しさが、重罪を犯してしまう。
初めて読んだのは中学生のときだったが、
自分が親になってから読み返してみると、
気持ちの思い入れ方がかなり違ったように感じた。
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母に薦められて読んだ本。
文章が正しいというか、整っているというか、とにかく読んでいて気持ちのいい文章の本でした。
内容はとても哀しく辛い事件を題材にしながら、その主人公の人物像に惹かれながら読めました。
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緩やかに流れていく文体とは対照的に深くて重厚な内容。とても読み応えのある一冊でした。ただ、起伏が少ないので単調に感じる場合もあるかと。
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印象が強かった昔のTVドラマを探して再発見。TVの印象とは別で淡々としたストーリー。人物表現は良かったがTVドラマのほうが感動が強かった気がします。年取ったせいかも・・・。
エンディングの主人公の死は意外でした。内容が重厚だっただけにあまりにも簡単に終了。生きていて続編も期待したかった。
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「これは自分の内面の問題ですから。」と家族の愛を頑なに拒み倫理とする。呆気ない最期がなぜ必要だったのかも含め、今ひとつ共感できないストーリーだった。12.8.4
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義兄 修一郎が実母を凌辱しようとする現場に出くわした行助はもみ合いの中、修一郎を刺してしまう。
祖父、祖母に盲目的に愛され未熟なままの青春を生きる修一郎と
義父と母に愛されながらも、2度の少年院生活を甘んじて受ける行助の青春。
これは読む年代によって、感想が全く異なる小説なのかもしれない。
愛し、愛されるがゆえに遠ざかろうとする行助の言動は、友人をして
『倫理そのもの』と言われる程にある種の 冷徹さを感じる
一方。若さだけでは許されない愚かな行動を取り続ける修一郎に
命の喘ぎを感じるのは何故だろう
修一郎の目線から、この小説を読みたくなった
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修一郎がクズ。行助は達観し過ぎ。だけど共感できる部分が多かったので、作者は物語の流し方が上手だなと思う。
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どうしようもない義兄、少年院に二回も入る主人公。
暗い気持ちになるかと思いきや、爽やかな読後感。
一気に読めた。
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SMAPの中居くんが、ラジオでお薦めしていたので手に取りました。
最後まで、行助という少年が掴めませんでした。達観し過ぎている部分もあり、残酷な一面もあり…。気づいたら引き込まれていました。
「内面の問題」と繰り返す姿といい、周りの少年だけでなく大人たちまで変わっていく様子といい、本当に不思議な少年だ でした。
少年院のリアルな現場も読みどころで、どこか不運に見回れた少年院仲間たちとの交流も読みごたえありました。
中居くんの言うとおり、「THE・小説」。