紙の本
折りたたまれていく物語
2008/06/05 17:12
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投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る
村上春樹は、内向的な作家である。いかに、ポップカルチャーに表層を覆っていようが、たとえば『羊をめぐる冒険』のような、冒険の対象として「喪失」を選ぶことにも安住することなく、さらに内向していく。つまりは、自分の心の中の世界へと、その冒険の矛先を向けていくのだ。特に、本作では、その心の中の世界を、主人公自らが作り、そこから脱出するチャンスすら用意しながらも、やはり、その世界の「森」にとどまることが選択される。もちろん、その意味で選択は、たいへんな決断を要する者であったのだが、他方でそれは内向のベクトルに即して、そこに新たな女性の心を見いだすことで、外部が希求されることはおろか、むしろ内へ内へとそのエネルギーは折りたたまれていく。その先が「森」であることは、『海辺のカフカ』はもちろん、長編でいう次作に当たる『ノルウェイの森』との関連を考える上でもたいへん興味深い。
紙の本
ラストがなんともいえず
2002/05/30 14:27
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投稿者:鼠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
さて下巻! 「ハードボイルド・ワンダーランド」のほうは暗闇ばかりでなんかぜんぜん進展しないけれど、「世界の終り」のほうでは僕と影に色々と事件が起こっています。
「世界の終り」の世界の仕組みには興味津々だし(壁とは何ぞや? たまりの意味とはなんぞや? …とか勝手に考えたり…)、影の存在も気になる!!! はっきり言って、上を読んでいる時は「世界の終り」のほうはつまらん、なーんて思っていたけれど、いやあ、やはり終りに近づくほどどんどん面白くなってくる気がします!
私は「ハードボイルド…」のほうの最後のほうの数章が好きです。落ち込んだときとかその数章を読んだりします。終りに向かっているのになんでこんなに和むのだろう…と思います。村上春樹、素晴らしいです!
紙の本
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
2001/03/24 18:20
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投稿者:55555 - この投稿者のレビュー一覧を見る
上巻に続く下巻。ハードボイルド・ワンダーランドの「私」は老博士から、驚愕の秘密を聞かされる。実は「私」には認識できないのだが「私」の脳には三つ目の回路のようなものがあり、その回路がもうひとつの自分の世界を作り出している。「私」はもうすぐ世界の終りとともに、完全にもうひとつの世界に移行してしまう。そして、もうひとつの世界とは「僕」が主人公の世界の終りの世界だった。
ふたつの物語が世界の終りとともに完結する。
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一番好きかも。「世界の終り」と「ハードボイルド・ワンダーランド」2つの世界が交互に影響を与え、折り合いながら進んでいく不思議な感覚が楽しい。
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ラストはこういうカタチなのかー、と。これを読んだ時はこういうラストが受け入れられなかったけど、最近はみんなこういうラストにすることが多いような気がする。
最後に何かを置いて行く村上作品。
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実は大江作品に影響されてると勝手に思っているこの作品は、春樹嫌いを克服させてくれた本でもあります。いやー、すごい小説。
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この本を読むと、ほんとにいま見えてる現実ってなんだろうと考えてしまう。世界の終わりの図書館は素敵です。
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村上春樹を読むきっかけとなった本。
ハードボイルなところと、
不思議な世界に入り浸ってしまった。
近未来的で、オールドな匂いがするする世界観が大好き。
現在英語化されたものを読んでいます。
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わーもう、何度も言うよ、さすが春樹!後半は「世界の終り」もほんとによかった。ファンタジーでこんなわくわくしたの久しぶりでした。あと、「ハードボイルド〜」の方で死(正確には死とはちょっと違うけど)を告げられたあとの主人公の心の動きがなんかすごいリアルで、だんだん自分まで悲しくなってた。「世界の終り」読みながら、私も影を選ぶか図書館の彼女を選ぶか迷っていて、答えが出せなくて、やっぱりなんか悲しくなった。悲しい小説だった。でもいい小説読んだ。ご馳走様でした。笑
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一方ではスリリングな冒険、そしてもう一方ではどこか切ない静かな物語。
この2つが、ラストに向かって動き出していく下巻です。
読了後は、何ともいえない満足感に包まれること必須。
ぜひともお読み下さい。
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ストーリーは忘れてしまいましたが、面白かったということだけ覚えています。時間のあるときもう一回読みたいです。
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全く違う二つの話が少しずつ並行して進んでいくんだけど、少しずーつリンクしていく、それがほんっと巧妙で、どきどきそわそわしながらどんどん先が読みたくなった。
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現実と幻想。
二つの物語は密接にリンクして終結する。二重世界、可能世界というものに興味を持ったりした。
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『―認識ひとつで世界は変化するものなのです。世界はたしかにここにこうして実在しておる。しかし現象的なレベルで見れば、世界とは無限の可能性のひとつにすぎんです。細かく言えばあんたが足を右に出すか左に出すかで世界は変わってしまう。』(p124)
「いったい私は何を失ったのだろう?と私は頭を掻きながら考えてみた。たしかに私はいろんなものを失っていた。細かく書いていけば大学ノート一冊分くらいにはなるかもしれない。失くしたときはたいしたことがないように思えたのにあとで辛い思いをしたものもあれば、逆の場合もあった。様々なものごとや人々や感情を私は失くしつづけてきたようだった。私という存在を象徴するコートのポケットには宿命的な穴があいていて、どのような針と糸もそれを縫いあわせることはできないのだ。」(p233)「しかしそれでも私は舵の曲がったボートみたいに必ず同じ場所に戻ってきてしまうのだ。それは私自身だ。私自身はどこにも行かない。私自身はそこにいて、いつも私が戻ってくるのを待っているのだ。 人はそれを絶望と呼ばねばならないのだろうか?」(p234)
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友達に薦められたので読んでみました。
村上氏の著書はこれで2作目かー。
何の説明もなく、異なる2つの世界の物語が交互に進んでいく。
最初はとまどう。
まぁ、でも、読み進んでいくうちに慣れてくるので問題はない。
話が進むに連れて、ちゃんと2つの世界の関係も解かれてく。
あと、もろもろの謎とかも。
この話、結構随所に難しい話があったりして理解するのに苦労した。
自分の理解力がないだけかもしれんが…。
そこそこ専門的なカタカナ文字も出てくる。
個人的に専門的なカタカナ文字は好きじゃない。理解できないから。
でも、話し自体は面白い。
満足度は★★★☆☆か。もしくは★3.5か。
この本は一言でいうなら「不思議な世界」な本でした。
村上氏の著書をこれからもっと読んでいきたいなぁ。
いまいち村上氏の作風が掴みきれてないし。
不思議話は好きやしねー。