紙の本
何人かの経済学者と業績を紹介した、アンソロジー。意外と面白い。
2003/06/29 14:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人文科学には興味がなく、法学よりも更に経済学には興味がない。経済学は最も興味のない分野である。しかし、高度資本主義社会である現在の日本において、経済を知らないということは、生活上いろいろと不利益な立場にある、ということである。経済学の入門書のつもりで読んでみた。何人かの人物と業績を紹介した、アンソロジーである。こういうものは、個人別に書かれた伝記などほど面白くないのが、普通である。どうしても個々の内容が簡略になり、概要的な話で終わってしまうためである。最初はこれもそうかと思っていたが、意外と面白い。経済学の概要が朧げながらも解ったような気がする。高校の倫理社会で習ったことも、いくつか思いだした。
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一人当たり10ページ弱でコンパクトにわかりやすくまとまってて、時代背景とか本人の境遇もちゃんと書かれてあるののはいい。
でも、著者自身の経済思想がかなり入っているのがすごく気になる。それぞれの学者に対する批判的な文章があるのだけど、それがあまりにも素朴すぎて、いや、そんなに簡単な話じゃないだろうと感じるところもひらほら。問題を単純化してばっさばっさと切っていくからわかりやすいし爽快感もあるんだけど、そのかわりに先達が人生かけて考えた問題意識の深さとか豊かさがどんどんそぎ落とされていって、経済学がものすごくやせ細って薄っぺらくみえてしまう。
というより、著者本人の経済学に対する感覚が、とても狭くて一方向からしかみていないという感じもする。著者の方向以外から経済学を見る学者に対しては、くだらないこと言ってるよ、って感じで切り捨ててしまう。そこに確かなロジックがあるならまだいのだけどそれもない。自由主義を純朴に信頼してるって域を出ていないというか。
この手の本ではあまり見かけない日本の人物が出ているのは面白かったけど(人物選択の基準がよくわからないけど)、それ以外はかなりいまいちな印象。これじゃ、巨人の理論もすごさも、経済学の面白さも伝わらない。
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経済学の発展に貢献した主要な思想家達の生い立ちとその論旨をダイジェストで紹介。人選はアリストテレスなどの古代ギリシアの哲学者からノーベル賞受賞者までに渡る。そのため、本書がいう経済とは経済学という学問を超えた、社会、政治はどうあるべきかといった社会思想・哲学として捉えられており、経済学の知識がなくても理解できる。思想であるがゆえに抽象化された概念であるが、現実社会における社会問題や、政治、行政、政策について自分なりの考えをもつ上でのガイドとなる本である。
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国内外36人もの経済思想を取り上げた本。
よくまあこの人数を調べまとめ解説を加えたものだと思う。
経済思想というが簡単な評伝もあり単なる学術本というわけではない。
また、経済に絡めて社会主義などの政治形態にも触れており、幅広い知見が得られる。
一人当たり長くても26ページなので、読みやすい。
ところどころ入ってくる日本社会の分析も面白い。
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古代ギリシャの哲学者から、20世紀の経済学者などの人物が取り上げられている。
著者の評伝も語られていて、なかなか面白い。
多くの人物がいて共感できる部分もあり、ここから深く研究したら良いかなと思う。