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紙の本
くだけた口調の文章に乗せられて、短時間で英国史を概観できたが、記述の正確さには疑問が残る。
2011/02/04 21:34
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
歴史学の専門家ではなく、しかもかつて自身も学校の英国史の授業を苦手に感じていたイギリス人の著者が、子どもたちに少しでも自分の国の歴史を楽しく学んでもらうことを目指して書いた本です。「The Very Bloody History of Britain (without a boring bits!)」という英語の原題からも推測できるように、かなりくだけた、ジョークに満ちた文章でつづった原文を、同志社大学英文学科教授(つまりこちらも歴史学が専門ではない人物)が翻訳しています。
イギリスでの出版は1990年。日本で1993年に出た翻訳を1997年に文庫化したものです。
土着のブリテン人が住んでいた紀元前4000年から説き起こして、第二次世界大戦が終了するまでをおよそ250ページで駆け足に見ていきます。隣国フランスとの関係は度重なる領土争いの歴史があるだけに、著者はかの国の人々を蛙よばわりするなどかなり辛らつであるのが特徴です。
著者の英語ジョークを訳者はかなり努力して日本人に分かるように噛み砕いた注釈を付してくれていますが、それでも理解が及ばない、もしくはジョークの意図するところが分かったところで必ずしも笑える種類のものではない文章が残っているうらみもあります。
また訳者が指摘するように、事実誤認がいくつか見られます。
ヘンリー8世が1536年に姉の孫娘メアリーと結婚しようとしたという原著の記述に対して訳者は、メアリー・スチュアートは1542年生まれであるのでありえないと記しています。
またエリザベス1世が斬首したこのメアリー・スチュアートがカクテル「ブラディ・メアリー」の由来としている箇所にも、「ブラディ・メアリー」はメアリー・スチュアートではなくてエリザベスの異母姉メアリーがカトリックの女王として新教徒たちを迫害したことに由来すると正しています。
しかし訳者による原文チェックも万全ではないようで、ナポレオン三世のことを「ナポレオンの息子」(205頁)とする記述はそのままになっています。ナポレオン三世はナポレオンの甥っ子。となると訳者も私も気づかない誤りがまだまだ他にもあるかもしれません。
書かれていることを鵜呑みにするのではなく、一種のジョーク本として軽い気持ちで読むくらいがちょうど良いかもしれません。
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