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みんなの評価3.9

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紙の本

美しい詩のような言葉で空から舞わせた「女の一生」

2004/05/19 19:40

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ろこのすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る

美しい詩のような言葉たちで女の一生を空から舞いおろさせたお話。
主人公は水の結晶である「雪のひとひら」。ストーリーはいたって単純で、冬のある日、この世に天の高みから舞いながら誕生し、「雨のしずく」と結ばれ、子供を産み、艱難辛苦をくぐりぬけ、やがて巣立つ子供との別離、夫の死、自らの老いと死を迎えるという風に女性の生涯を「雪のひとひら」にたとえてかかれたもの。

言葉の無駄を削るだけ削って、磨き抜かれた詩のような言葉たち。

夫の死後、孤独と不安の中でついに息をひきとるとき、おのれの生きた意味を問わずにいられない〈雪のひとひら〉。つつましく誠実に生きてきた自分の一生は、ささやかな「雪のひとひら」にすぎず、それ以上でもなく、それ以上を望んだこともないことを思う。
ささやかながら人々の役に立ち、何ひとつ無意味なものはなかったことに彼女が気づくという最後のくだりは心を揺さぶられる。

誰しも不安におののいたり、自分は何のためにいきているのだろうかと自問自答するときがある。そんなとき、この本を読んでみるといいだろう。
安らかな温かみに包まれた読後感。

読後ふと、良寛さんの言葉が浮かんだ

わたしは
どこから 来て
どこへ ゆくのか

ひとり 生まれ
ひとり 生き
ひとり 考え
ひとり、を思う

始まりは
いつかの昔
終わりは
いつかの明日

そして
いま、ここ、に
わたしは、いる
それが
たしかな、わたし

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