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戦争について話しているが、
本当は死について書かれている。
淡々と述べられる戦場での生活、
仲間の死、敵の死、人間の死。
二十編あまりのなかで
好きなのは
「勇敢であるとこと」
思考は巡る。記憶は巡る。
しかし時間は止まってはくれない。
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二十歳の頃のベトナム従軍の体験。娘から「お父さんは人を殺したことがあるの?」と問われ、殺していないと答えるのが正しいのか、それは正しくないのか、父親となった著者の葛藤。
数々の短編が集められた一冊だが、フラッシュバックのように同じ状況の描写が繰り返される。かつての戦場と、現在の平和、どちらが本当のリアルであるのか分からなくなってくる戸惑い。本当に見たこと、その現実を語ることは、それは果たして真実なのか。逆に語られないことは真実ではないのか。
苦楽を共にした若き仲間たち。自分が死ぬことへの恐怖、殺すことへの恐怖、仲間が目の前で死んでいく現実。壮絶な日常の中、祖国に残してきたガールフレンドの手紙や写真がささやかに青年たちを慰める。
そして現在、生き残った著者は、ここで物語を織り成しながらも、これは真実ではない、フィクションであるという祈りのような客観性に読者は打ちのめされることだろう。
自分が手をかけたベトナムの青年の、生きていれば体験したであったろう未来を描く著者の苦悩が胸をえぐる。
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戦争。国と国との争い。戦争に参加する人は、よく分からないけれど大きな意味と価値があると思わされている(受動)もののために、自分が感覚的に感じることのできる(能動)小さなかけがえのないものを捨て去ることを迫られる。
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[ 内容 ]
日ざかりの小道で呆然と、「私が殺した男」を見つめる兵士、木陰から一歩踏み出したとたん、まるでセメント袋のように倒れた兵士、祭の午後、故郷の町をあてどなく車を走らせる帰還兵…。
ヴェトナムの・本当の・戦争の・話とは?
O・ヘンリー賞を受賞した「ゴースト・ソルジャーズ」をはじめ、心を揺さぶる、衝撃の短編小説集。
胸の内に「戦争」を抱えたすべての人におくる22の物語。
[ 目次 ]
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
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戦争の中で死と向き合うこと。それは自分であったり、友であったり、知らない誰か、敵。どこか非現実であるが、きっと戦争に行った人が本当に感じるリアルなのだろうと思う。
死んだ人はそこで時が止まる。作者の作る物語の中で再び息を吹き返し、語りかけてくる。
しかし未来へ進むことはできない。
ところで村上春樹の本は訳本も含めて読みにくいなぁと感じる。自分に合っていないのかなぁと残念な心持ちだったが、このたびそれを打開できたと感じられたので満足。
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作家の語りが好き。訳文抜きに、無骨で、訥々とした語り。
いっそ創作の度合いが強いと見える「勇敢であること」の方がうまい。お話し度合いが強いとうまい。弱いと、それはそれで味がある。きっと、こういう普通のはなしを味があるとか面白いとか感じさせるのが、才能であったり、努力であったり、アマチュアとの差なのかもしれない。普通のことのように見えることを普通に語っているように見せること。
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1年半前に単行本を読んだことがあるけど、今一度読んでみたいと思う。今までのどの戦争作品とも違う、ティムオブライエンの著作。村上春樹の訳はわかりやすいし、英語の表現から日本語の表現への置き換えが的確です。
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戦争あるいは戦場にまつわる色んな狂気が描かれた作品集。何かの映画で観たような戦場の場面や戦場に赴き次第に正気あるいはそれまでの自分を失っていく局面など、あとがきで訳者が書いているけれども私小説ではないけれども無骨な感じの文体(であろう)で単なる反戦ではない戦争の物語が紡がれていく。
その中でも特に『レイニー河で』が非常に印象深かったかな。この記載では弱いかな?この短編は自分にとっては相当に衝撃的でまだ半年だけれども本年No.1位の印象あり。
何より悲惨なのは、道徳的に戦争を悪と考える普通の市井の人間個人の意思表明そのものの孤独性。自分の拠ってたつ家族・地域・国が仕方なしとする行為への絶対的反対行動がそれらとの永遠の別れを二者択一的に迫ることとなる現実。
作家は最後に卑怯者として主人公を描き出すが、これって半世紀以上前のどこかの国であったことと同じ話では?と考え込まざるを得ない。戦争は戦場だけにある話ではない。
もう一つ。モハメド・アリの凄さを思い出す。確か彼はベトナム人を殺す理由は俺にはないということでベトナム戦争への従軍を拒否し、投獄されたのでは?
彼の超人性への畏敬とともに凡たる人間の振る舞いはどうあるべきか?昨今の状況もあって非常に重い印象を受けました。
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短編小説集。村上春樹訳。
目次
兵士たちの荷物
愛
スピン
レイニー河で
敵
友人
本当の戦争の話をしよう
歯科医
ソン・チャポンの恋人
ストッキング
教会
私が殺した男
待ち伏せ
スタイル
勇敢であること
覚え書
イン・ザ・フィールド
グッド・フォーム
フィールド・トリップ
ゴースト・ソルジャーズ
ナイト・ライフ
死者の生命
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強烈だった。
ゾッとするような殺人器の名前が並べられ、吐き気のするような出来事が起こる。彼らはみな、私には到底理解できないようなことを繰り返す。理解できないことに感謝する。
頭の中がごちゃっとして、ただ、顔に開いた星型の穴とか、泥に沈んでいく男とか、湖の周りを走り続けるとか、そういうイメージだけが鮮明に残る。
「戦争において君は明確に物事を捉えるという感覚を、失っていく。そしてそれにつれて何が真実かという感覚そのものが失われていく。だからこう言ってしまっていいと思う。本当の戦争の話の中には絶対的真実というものはまず存在しないのだと。」135ページより
村上春樹さんの翻訳が素晴らしいです。
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昔途中まで読んで放り出していた。放り出して正解。今回この年齢になってようやく本書の本質が分かりかけたように思う。ベトナム戦争時のアメリカの若者を描いた短篇集だが、戦場の話よりも、徴兵通知が届いて戸惑う男の子の姿を描いた「ウィニペグ」が秀逸。
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戦争は非日常の殺人が行われているということがしみじみ感じられる。書き方は派手に糾弾するわけではなく、淡々と語られる。非日常、異常な世界が、自ら選んだのではなく、強制されて、受動的に命をかけて、行われている、誰のために戦っているのかもはっきりしないまま、日常としての戦争を日々しのいでいる。
人間は感情を持つ動物であり、普通に考えたらおかしいことが簡単に置き、その状態に感情としてどのような折り合いをつけるのか、つけられていないのかが複雑に本当にあるかのように目の前につきつけれれている。
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ベトナム戦争に纏わる短編小説集。短編といっても、其々には繋がりがあり、登場人物も共通している。
読んで改めて戦争は混沌だと思った。死が隣り合わせにあるその時、生もまたこれまでに無いほど輝きだす様子。勇敢さは、その実、臆病の裏返しだったりすること。拍子抜けするほどの呆気なさ、まるで似つかわしくない息を飲むほどの美しさ。
戦争をありのままに捉えることなど不可能。だから、本当の戦争の話は本当でないのだろう。
ところで、私が特に印象に残ったのは「レイニー河で」だ。徴兵の手紙が届いた後の葛藤が描かれている。やや詩的過ぎるけれども、そうでなければ書けなかったのだろうし、読者たる私も受け止めきれなかっただろうと思う。
追記:分かってもらいたい、分かりたい。これは我々の日常でもある。我々は本質的に互いを求めて止まない存在だ。だが、我々は互いにどれだけの情熱を以ってしても真に交差することは出来ない。真に迫るとは、その覚悟と謙虚さから始まるのだろう。
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短編集。23歳から約1年、ベトナム戦争に歩兵として従軍経験。兵士たちの荷物、敵、私が殺した男、待ち伏せ、ゴースト・ソルジャーズ、他。
経験を表現して伝えられるということの力。
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特に最初の方は同じモチーフが繰り返しているだけに感じたし、シチュエーションが悲惨なので辛かった… 前情報なしで読んだので映画MASHの様な物語を勝手に期待していたのかも。ただ、後半にかけて同じモチーフを繰り返し繰り返し反復していくことで、次第にテーマとして昇華、抽象化されて行く感覚が少しだけ感じられた。再読するとまた見えて来るものがあるかも。