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紙の本
「生きざま」は今も昔もかわらないのかも
2000/09/28 08:15
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投稿者:コウちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書には、タイトル『敗者の生きざま』通り、死に行く者の最後や突然の死への悲哀、愛する者の死、人生の中での成功と挫折の分岐点など、勝者になれなかった者の死に行くまでの一瞬の生き様に焦点を当てた短編時代小説25編が納められている。また、それぞれの短編は古代飛鳥時代から平安期、源平の時代、戦国時代を経て江戸時代、そして幕末の動乱時代へと歴史の流れに沿って描かれている。
実力が有りながら、ほんの少しの運がなかったばかりに勝者になり損ねた者の残りの人生は、歴史の中で語られることは、まずない(なぜなら、歴史書は勝者の側が書くものだから)。だが、その生きざまにこそ感動があったりするのではないだろうか?
鈴木輝一郎の『火床』(ほど)は、戦国時代に羽柴秀吉から織田信長に献上するための太刀を鋳造することになった野鍛冶の話。一身を賭け仕事に打ち込んだ結果の一瞬の終わりと秀吉の最後の一言が、なぜか現代の報われる事の少ないサラリーマンの姿に見えてしまった。
童門冬二の『葉がくれ猫』は、佐賀の龍造寺家から鍋島家へ権力が移行する過渡期に龍造寺家に使えた藩士の志田吉之助の心情を有名な化け猫伝説と絡めて描いている。
宮部みゆきの『お墓の下まで』は、現代人にも通じる秘密への思いが描かれている。誰でも一つや二つは、秘密があるだろう。もし秘密にするのなら墓の下まで持っていく位の覚悟は必要なのだろう。
三宅孝太郎の『死なせてあげる』は、今まさに問題になっている老人の痴呆の問題を扱っている。小説の中だけとは限らない怖さがある。
菊地秀行の『桃の花』は、ならず者と駆け落ちした娘から母親への手紙の形式だが、同じような心境を現代でも持ち合わせているものがいるような気がして怖い。
尚、本書には対の作品として『勝者の死にざま』がある。こちらも読んでみたい。
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