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トビアと天使 みんなのレビュー

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みんなのレビュー8件

みんなの評価4.0

評価内訳

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8 件中 1 件~ 8 件を表示

紙の本

自分勝手な親たちに翻弄されながらも、心ある人たちに支えられて自分さがしをしていく少女の家出の物語。苦境を救うのはユーモアだと教えてくれる。

2001/11/02 12:51

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 『心のおもむくままに』『うわの空で』などで人気が定着したタマーロは、ヤング・アダルトのイメージを代表する作家だ。日本でいうと湯本香樹実、森絵都、たつみや章、梨木香歩といった30〜40代の女性作家が活躍しているのと同様、欧米でも、その年代の女性作家たちがティーン・エイジャーやそのマインドをもつ人たちに向けてファンタジーを書きメッセージや生活観、世界観を提示しているという符号が私には興味深い。産業社会が来るところまで来て飽和状態になり、幸福追求のための合理化という価値観が通じなくなってきたこのとき、心ある作家たちが期待を寄せるのは、自分の姿を熱心にさがし求める中高校生のエネルギーに対してなのだ…などと考えてしまう。
 この物語は8歳のマルティーナという少女の家出の話。旅に出て、自分を慣れない空間に置いてみたとき、自分やその周りの世界、あるいは日本というものを客観的に眺められるのと同じで、幼い子どもたちにとって家出は、一種の自分さがし、自分の発見という成長のための通過儀礼なのだと思う。
 マルティーナは幸せな家庭生活を送っているわけではない。郊外のマンションの5階に住んでいる一家の生計を支えているのは掃除婦のママ。機械技師だったパパは、失業して気持ちが荒れている。年若い結婚で、大学に進学したいというママの夢、レーサーになりたいというパパの夢は、永遠の愛という夢にのみこまれてしまったけれど、結婚式の写真で二人の瞳はぴかぴか光っている。つまびらかにはされていないけれど、二人の結婚の裏には、どうやらマルティーナという存在があったようである。子どもの誕生は若い夫婦には「厄介ごと」だった。家事と育児の負担が言い争いの種とならないときはなくなってしまった。
 汚れた部屋で満足な愛情をかけられずに成長したマルティーナにとって、希望の光は、宿題を手伝いに週2回通ってくることになった母方のおじいちゃん。物知りのおじいちゃんは新鮮なものの見方、常識を少しずらしてものの本質をとらえようとする姿勢を教えてくれる。ふたりはブリキ缶や花、シーツやモーターなどの物が話す言葉を聞こうとしたり、おじいちゃんが飼い主、マルティーナがトビアという名の犬になって遊んだりする。
 世界への扉を開ける鍵をおじいちゃんの言葉から授かったマルティーナだが、突然おじいちゃんの訪問が途絶える。それと時を同じくして、パパとママの喧嘩は行きつくところまで行きついてしまい、二人が順に家を出て行く。別の道を見つけなくてはと考えたマルティーナも家を出ることにする。町をうろつき回り、警察に通報されそうになったマルティーナが隠れたのは、盛んな発酵作用で温かいゴミ箱のなか。翌朝、ゴミ回収で危ないところをホームレスの女性に助けられる。鉄橋の下のゴミの城で安心するのも束の間、警察がやってきて、逃げ出さなくてはいけなくなった。再び一人ぼっちになったマルティーナが、友達がほしいと強く願っていると、そこへ翼をもつ妖精が現れ…。
 子どもを取り巻く現代の普遍的な問題を、暗くならないようユーモアという救いを頼りに綴ったファンタジーである。
 

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紙の本

毒親

2021/08/22 03:02

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:きりん - この投稿者のレビュー一覧を見る

毒親に振り回されるこどもの話、といってしまえばそれまでなのですが、現実世界ではこうやって助けてくれる人はいないですからね、厳しい。

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紙の本

訳者あとがきより

2000/09/29 15:56

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:高畠恵美子 - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書の主人公、マルティーナの過酷な人生には、著者スザンナ・タマーロの幼時が投影されているのかもしれない。両親は彼女が幼い時に離婚し、タマーロは祖母の手で育てられた。そんな体験をもつ彼女だからこそ、幼いマリティーナの行く手をさえぎる様々な困難の中に、温かい救いの手を差し延べてくれる人を次々に登場させるのだろう。

マルティーナの両親は貧しい生活の中で心のゆとりをなくし、争いが絶えない。そんな両親の姿に、彼女の心は深く傷つく。「両親は、自分を必要としていないのではないだろうか」。そんなマルティーナの救いは、一週間に二度訪ねてきてくれるおじいさんだった。おじいさんと一緒の時間だけは、彼女の心は落ち着き、幸福感に満たされる。ところがそのおじいさんも、何の連絡もないまま二度三度と、約束をすっぽかしてしまう。

ただ一つの心の拠り所を失ったマルティーナは、とうとう家出をしてしまう。娘の家出という事実に、両親は、どんなに自分たちが彼女のことを愛していたのか、それなのに、娘の心を思いやることがいかに少なかったかに初めて気づくが、もう遅かった。

いっぽう最初マルティーナは、物質世界に背を向けていきる老女の助けられるが、その後で、彼女だけが見ることのできる「守護天使」が登場し、その導きで危険から守られ、両親との再開を果たす。カトリック教徒が国民の大半を占めるイタリアで、創造主や、創造主と人間の間を橋渡しする守護天使や精霊の重要さを、日本人が想像することはちょっと難しいかもしれない。

この本は、家族向けに書いたとタマーロは語っている。子どもたちだけではなく、親や、これから親になる人たちも読み、共に考えてほしいと願っているのである。タマーロの願いをしっかり受け止めれば、あなたは子どもの「守護天使」に慣れるのではないだろうか。

■編集部コメント(あすなろ書房 編集部)
『心のおもむくままに』インフォメーションの作者スザンナ・タマーロの新作ファンタジー。
不仲な両親のもとを飛び出し、自分の運命をみずから探し出そうとする少女の心の痛みは、主人公と同じように「傷ついた子ども」だったタマーロだからこそ、描くことができたのではないかと思います。
深刻になりがちなテーマではありますが、ユーモアが随所にちりばめられ、読後感はさわやか。心あたたまるものがたりです。

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2004/10/16 21:53

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2006/06/14 21:10

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2013/07/08 22:58

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2015/02/19 22:26

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2017/07/12 22:38

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