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停電の夜に みんなのレビュー

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みんなのレビュー96件

みんなの評価4.3

評価内訳

89 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

「恋愛」よりも「夫婦」という男女の関係にのぞく感情のきしみをうまく切りとって見せるセンスに好感。ピュリツァー賞ほか全米で高い評価。著者近影「美人」にて必見。

2001/06/22 11:59

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 1967年生まれの高学歴の女性が作者。両親ともにベンガル人だが、彼女はずっとアメリカの東部で二世として暮らしてきて、この短篇集で新人としては出来すぎの高い評価を受けた。
 小さな顔写真を見ると、美人。表情豊かでチャーミングそうな人である。

 舞台は米国であったりインドであったりするが、インド(ベンガル)の文化をベースに持つ人たちの生活者の視点がどの作品にもある。だがしかし、その視点は、高学歴の若い夫婦だったり、多感な少女だったり、しがない中年男性だったり、過去の栄光にすがる老婆だったり、彼女の父を思わせる年配の男性だったりする。

 純粋な小説の楽しみ方ではないかもしれないけれど、この美しい女性の生活体験や日ごろ考えていることが、あちこちにちらほらするように思えるとき、作者のニューヨークにおける生活のスタイルを想像してみたりする。そんな楽しみもある。

 登場人物の性や年齢や職業はちがっていても、共通の何かがそこに漂う。端的なところ、それがインド人としての生活様式なのかもしれない。表紙の写真も、インド料理のスパイスがきれいに並んだおり、それをさりげなく意識させる作りになっている。普遍的な人間関係のありようを独自のセンスで切りとって見せてくれ、その見事さに感心させられてしまうのだけれど、そこにさらに濃い陰翳をつくって読み手を深いところに運んでくれるのが、そのインドの雰囲気なのかもしれない。

 余談だが、世界のどの国へ行っても、自分たちの文化を大切に生きるインド人や中国人やユダヤ人、そこから新しい小説や芸術をクリエイトしていく民族に私は敬意を持っている。

 所収されている9編とも、大切に言葉を紡がれた小説というイメージで味わい深いけれども、なかでも表題作「停電の夜に」と最後の「三度目で最後の大陸」が印象深い。

 夜間1時間ずつ停電になる措置が5日間だけ続くことになった。それ以前に大きな悲しみを経験して関係がぎくしゃくし始めていた夫婦が、秘密にしていたことをその時間に話してみようとゲームを始める。
 最後の日、妻から告げられた意外な秘密を聞いた男は、愛するがゆえにそれまで秘密にしていた事実を勢いで告げる。人間として絶対に伝えてはならないような内容である。「停電の夜に」は人間の中に表裏一体にして在る感情の空恐ろしさを取りだして見せてくれる。

 「三度目で最後の大陸」は訳者もずっしりとした感慨が残ると絶賛している。他の短篇とちがって30年の時の流れというものが、移民男性のひとり語りとして描かれている。結びの数行で、生活者の力強く前向きな意志が書かれていて、胸に清涼なものがいっぱい満ちていく気がした。
 そして、この最後の短篇に漂う時間の流れに対する哀感は、彼女がいつか見事な長編を書くに違いないという期待につながる。

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紙の本

インドが舞台だと何かが起こる何かが起こらざるを得ない

2020/11/26 15:08

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

ジュンパ・ラヒリはインド系アメリカ人だ。この短編集にはインド系アメリカ人が数多く登場するし、まったくアメリカとは関わらずインドだけを舞台にした2篇「本物の門番」「ビビ・ハルダーの治療」もある。インドに住んだことがないという彼女なのだが、ことさらにインド人、インド系ということが主張されるのではなく、さりげなくキリスト教社会であるアメリカに暮らす戸惑いや悲哀が醸し出される作品に出合うことができる。中でも私が好きだったのは「三度目で最後の大陸」で、親類から勧められた好きでもらったわけでもない奥さんと長い間、連れ添うことになった経緯を描いたものであったが、静かにこころに染みる、温かな作品だ。もちろん、悲しい予想外の結末が待っている「停電の夜に」も好きだ

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紙の本

珠玉の名作

2016/10/26 17:36

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:390 - この投稿者のレビュー一覧を見る

表題のデビュー作を含む9つの短編集。作者の瑞々しい感性や言葉選びが素晴らしく爽やか。訳者によるあとがき同様、私も9編目の『3度目で第3の大陸』がとても好きだ。『本物の門番』も切ないのに、柔らかな情景が浮かび上がる。珠玉の名作。

文庫版も出ているが、個人的にはこの単行本版を薦めたい。装丁が美しい!

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紙の本

知的中流階級に属する移住者の悲哀

2000/09/26 13:31

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:FAT - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この短編集は、イギリス生まれアメリカ育ちのインド人二世女流新人作家の手になる9編の短編からなっており、この9編のうち6編はアメリカに移り住んできたインド人家庭を舞台とし、他の3編はインドが舞台となっている(ただし、1編についてはアメリカ系インド人夫婦の旅行者を描いている)。
 このうち、やはりラヒリの筆捌きが冴えるのは、「アメリカにおけるインド人家庭」を巡る6編であると思う。これらの作品の底流に流れるのは、「移住者」としての寂寞感、寂寥感である。この6編はどれも良いのだけれど、その内、特に感銘を覚えたのは、「セン夫人の家」と「三度目で最後の大陸」である。
 前者は、アメリカに赴任してきたインド人大学教授夫婦の家に放課後預けられるアメリカ人母子家庭の少年と大学教授夫人の心の揺れを描いた作品、後者は、インドで結婚したものの極めて短い結婚生活しか営んでいない、アメリカの大学図書館に勤務する青年が、徐々にアメリカと、そしてよそよそしい関係であった妻と「なじんで」行く様を描いており、いずれも知的中流階級に属する移住者の悲哀をひしひしと感じさせる。
 ただ、これらの作品を読み進むうち、「どっかで読んだような」デジャブ感を覚えた。はたと気づいたのは、数学者でありエッセイストである藤原正彦氏の作品『若き数学者のアメリカ』と『遥かなるケンブリッジ』である。これらのエッセイは、藤原氏がアメリカ及びイギリスで、数学者として在外研究に従事している日々を綴ったものであるが、「移住者」のひりひりとする疎外感が、ラヒリの作品の「インド人」達にそれと通じるものがあるのだろう。
 しかし、ラヒリ自身は、恐らく完全に「インド系アメリカ人」であろうと思われるのに、移住者の感覚を描き切ることができるのは、彼女の血のなせる技なのか、彼女の才能というべきか、疑問の残るところではある。

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2004/10/02 15:53

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2004/10/08 22:42

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2005/05/17 17:37

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2005/05/14 05:52

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2005/08/18 08:43

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2005/12/24 22:26

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2006/04/17 22:33

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2006/04/28 01:36

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2006/06/01 00:31

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2006/06/02 09:09

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2006/06/21 00:33

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