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紙の本
プチ・オーウェル症候群
2003/07/07 01:42
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投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
同時代人の共感を得るという点で、島田さんは両村上に大きく差をつけられているように見える。なにしろ相手は強烈だ。「愛と幻想のファシズム」「希望の国のエクソダス」に「カフカ」ですよ、すごいでしょ。なんだよ、エクソダスって。
愛とか暴力とかセックスとかインターネットとかモラルハザードとか、そういうものを島田さんはとりわけ強調することもなく、ただ当たり前にあるものとして扱う。そういったもので人間が狂うとは思ってないのだ。国を売り、同胞を売り、家族を売る、そういう時に、人間は狂気に冒される。
さて主人公のジャック・アマノさんは、普段は腕のいい寿司屋さんだが、いざとなるとヒコクミンを退治するヒーローになる。
国に誇りを持つのは当然、日本人なら国益を考えるべき、国を守るのは国民の務め、そうでない人はみんなヒコクミンか。考えたらだめなんだ。その時から狂気は忍び寄ってくる。
我々を支配しヒコクミンを弾圧するのは、「1984年」に描かれるビッグブラザーのような独裁者ではない。この国では、空気がそれをする。
国民と国家はどっちがどっちだとか、長い歴史のあるこの国ではそんなことは昔っから決まっている。「あのお方」だってその空気の上に乗っている存在に過ぎない。空気を侵すことはできない。
でも本当は、未来を決めるのは歴史ではなくて、現代に生きる我々のはずだ。
お店も順調、家族も健康で子供もすくすくと育っている、そんな時に未来を考えてしまう。でも考えたら狂気に近づく。
どうするよ?
そんなに長い話じゃないので、アマノさんの狂気は嵐のように僕らの前を吹き抜けて行く。
しかしこの表紙はなんだかなあ。たしかに顔では龍さん春さんに勝ってるかもしれないけどさ。
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