紙の本
『失敗の本質』という題名が、なんだかなあ、と感じた。
2020/11/22 22:04
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投稿者:FA - この投稿者のレビュー一覧を見る
『日本の大東亜戦争史を社会科学的に見直して、その敗北の実態を明らかにすれば、それは敗戦という悲惨な経験の上に築かれた平和と繁栄を享受してきたわれわれの世代にとって、きわめて大きな意味を持つことになるのではないか』
それぞれの地域の戦闘に焦点を当てて、失敗した原因をあげている。個々の作戦をあげつらっているだけで、そもそも、この失敗の背景については触れられていない。
つまり、失敗した作戦のみをあげて、未来にいる歴史を知っている者が、指摘しているだけに過ぎない。こうした作品には、同時代の責任者の判断を予断を入れずに考えていかないといけない。そんなことを考えていたら『失敗の本質』という題名が、なんだかなあ、と感じた。
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多くの人が必読書として挙げているので、いつか読もうと思っていました。
2020/04/30 20:01
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投稿者:隣でジントニック - この投稿者のレビュー一覧を見る
膨大な実証研究による労作です。
そこから浮き上がる「失敗の本質」に十分納得しました。
なぜ日本人は今も同じ過ちを繰り返すのか。
そこを知りたいと思いました。
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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
名著として取り上げられることが多いが一つ一つ問題がさらりと紹介されていて物足りなさを感じる。端的に問題点を挙げていく手法のせいだがやはり深く考察するには他書が必要だ。問題は武力行使の前にあるが万が一の対処の参考にはなる。
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この本を読んで
2017/07/04 16:29
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投稿者:よねき - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の失敗の一面がどうかを掴む上では、参考になると思うが、
軍事の一面から説明しているためか、内容的にはヘビーに感じました。
(全部は読んでいない)
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日本人は、どこで何を誤ったのか
2015/08/22 00:50
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投稿者:Ottoさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
1984年に発行された、話題の書
「××失敗の本質」などと同類の本の嚆矢。
当時の日本が、アメリカと戦争するなど今では無謀なこととわかっている。
では、個々の戦場ではどうだったかのか。武器の性能や物量だけでなく、軍事的、日本軍の組織論的観点で、
1935.6ノモンハン事件
1942.6ミッドウェー海戦
1942.8ガダルカナル作戦
1944.3インパール作戦
1944.10レイテ海戦
1945.4沖縄戦
を題材に、作戦の立案、準備、現場での実施を検討している。
単に、日本陸軍、海軍の弱点を洗い出すのではなく、現在の日本社会の組織の特性につながる書である。
最終章の「失敗の教訓」の中で、陸軍は銃剣突撃主義による白兵戦に、海軍は大艦巨砲主義による艦隊決戦に固執した。それは、成功体験に基づいた成果学習のみを行ったことによる。そして「特定のパラダイムに固執し、環境変化への適応能力を失った点は、「革新的」といわれる一部政党や報道機関にそのまま承継されたようである。」と書いてある。まるで、現在行われている安保法制議論での一部政党や報道機関のことを予言しているかのようである。
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淡々とした記述で分析
2015/08/08 23:22
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投稿者:南家うつうつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
第1章は、ノモンハン事件から東亜戦争の敗戦までの著名な戦いを6つ上げて具体的な問題点について検討をしている。資料を基に淡々と記述し、なぜ作戦が失敗したのかについて、日本軍の組織の特殊性に触れつつ、分析をしている。
作戦が図などを用い、わかりやすく説明されており、軍事や歴史に興味がある人とっては、楽しく読み進めることができる。
第2章では、第1章の事例から、日本軍の失敗を戦略と組織の面から米軍と対比しつつ再検討している。
第1章に比べると、抽象的な話となり、やや退屈。著者も述べているように、日米の違いは程度問題にすぎないとも思われる。
第3章では、西南戦争や日露戦争までさかのぼり帝国陸海軍の組織としての特性を明らかにしている。具体的には、陸軍は銃剣突撃主義、海軍は艦隊決戦主義という原理に支配されていたとのことである。
環境の変化に主体的に変革していく組織を自己革新組織と定義し、軍事組織の環境適応の分析枠組を使い、日本軍が自己革新組織であったかを分析し、これに対し否定の結論を導いている。
帝国陸海軍が特定の原理に固執してしまった点について、文化、メディアの論調、世論、軍隊の創設者たちの思想などを分析し、もう少し深い考察が欲しかった。そもそも、アメリカ的価値観に疑問をもたず、70年間ひたすら間違った改革を続けている日本をみると、もはや正しい自己分析もできず、有効な解決策もとれないのではないかと思う。
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大東亜戦争で日本軍が負けた原因を科学的に考察している本なんですが、
題材が1939〜45年、本が書かれたのが1984年なんですが、内容は現代に当てはめても
かなり勉強になります。よろしければ、読んでみてください。
その中で、面白い一節がありました。
過度の精神主義に頼ったことが、敗因の一つとして挙げられてますが、それを象徴する一言
「百発百中の砲一門、よく百発一中の砲百門を制す」(by東郷平八郎)
よく、「柔よく剛を制す」なんて言葉は耳にしますが、↑読んで思わず吹き出してしまいました。
確率で考えると、
百発百中の日本軍 1 VS 百発一中の米軍 100 門がいっせいに砲撃すると、
日本軍は米軍を一門しとめます、米軍が日本軍の一門をしとめる確率は、
1/100 × (100/100)^99 ×100
(ある一門が命中する確率) (他は当たろうが外れようがどうでもいい) (100門あるから)
となって、日本の一門がやられてゲームオーバーになるわけです。
もし、東郷君がおっしゃられるような事象が起こるためには、
1回目・・・米軍の砲100門全外し=(99/100)^100
2回目・・・米軍の砲99門全外し=(99/100)^99
・
・
・
100回目・・・米軍の砲1門外れ=(99/100)^1
これを全部掛け合わせた数字ですから、
=(99/100)^{(1+100)×100/2}
=(99/100)^ 5050
PCが故障して、EXCEL使えないんで、計算できませんが、天文学的な数字ですね。
いやはや・・・。
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考えように由っては、日本の軍隊は、先の大戦で敗れるまでは幸福な軍隊であったと言える。幸福な組織が永続することは在り得ない。最初にダイヤモンド社から出版されただけあって、この本を読んで、現代日本の組織について想いを馳せるのは当然か。
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これは名著です。組織に属している人は必読の書です。この本ではなぜ失敗したのかという事に焦点を当てて分析しているので、この本を読むことで同じような轍を踏まないように勉強できます。多分(笑)。ということでビジネスカテゴリー。
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(2006.08.22読了)(2005.12.02購入)
副題「日本軍の組織論的研究」
戸部良一氏、寺本義也氏、鎌田伸一氏、杉之尾孝生氏、村井友秀氏、野中郁次郎氏の六名の共同研究による著作です。
研究のテーマは、「大東亜戦争史上の失敗に示された日本軍の組織特性を探究する」ということです。
大東亜戦史上の失敗例として取り上げた六つのケースは、ノモンハン、ミッドウェー、ガダルカナル、インパール、レイテ、沖縄です。
理由は、(29頁)
ノモンハンは、大東亜戦争には含まれないが、その作戦失敗の内容から見て、大東亜戦争におけるいくつかの作戦の失敗を、既に予告していたと考えられる。作戦目的があいまいであり、しかも中央と現地とのコミュニケーションが有効に機能しなかった。情報に関しても、その受容や解釈に独善性が見られ、戦闘では過度に精神主義が誇張された。
ミッドウェーとガダルカナルは、それぞれ大東亜戦争における海戦と陸戦のターニング・ポイントであった。日本は、この二つの作戦の失敗を転機として敗北への道を走り始めたのである。ミッドウェーでの重大なポイントは、不測の事態が発生したとき、それに瞬時に有効かつ適切に反応できたか否かであった。ガダルカナルでは、情報の貧困や兵力の逐次投入といった点が指摘されると同時に、米軍が水陸両用作戦を開発しそれを開発しそれを効果的に用いたのに対し、日本軍がそれに全く成功しなかった点にも注意が向けられる。
インパールは、しなくてもよい作戦を敢行した。戦略的合理性を欠いたこの作戦がなぜ実施されるに至ったのか。
レイテは、作戦目的はあいまいであり、精緻な統合作戦を実行しうるだけの能力も欠けたままであった。
沖縄は、作戦目的はあいまいで、米軍の本土上陸を引き伸ばすための戦略持久か航空決戦かの間を、揺れ動いた。特に注目されるのは、大本営と沖縄の現地軍に見られた認識のズレや意志の不統一である。
●ノモンハン(47頁)
中央部、関東軍ともにソ連軍が本事件に関して大兵力を展開する事はないという先入観にとらわれていた
●短期決戦志向の戦略(280頁)
短期決戦志向の戦略は、一面で攻撃重視、決戦重視の考え方と結びついているが、他方で防禦、情報、諜報に対する関心の低さ、兵力補充、補給・兵站の軽視となって現われる。防禦の不備を海軍を例に取れば、海上交通保護の軽視によって、輸送途中の貴重な兵員や物資をやすやすと敵潜水艦や航空機の攻撃にさらし、しばしば作戦遂行に甚大な支障をきたした。航空母艦、戦闘機、攻撃機などの実戦の中心となるべき兵器体系も防禦という点では技術的に見て著しく不備なものがあった。被害を最小限度に止めるためのダメージ・コントロールが不備であった。
●食糧は敵に求める(288頁)
インパール作戦の実施とともに食糧と弾薬の補給がほとんどなかったことが、日本軍の敗北を決定付け、さらにその損害を大きくした
●学習(326頁)
ガダルカナル島での正面からの一斉突撃という日露戦争以来の戦法は、功を奏さなかったにもかかわらず、何度も繰り返し行われた。失敗した戦法、戦術、戦略を分析し、その改善策を探究し、それを組織の他の部分へも伝播していくという事は驚くほど実行されなかった。
☆関連図書
「戦略的思考とは何か」岡崎久彦著、中公新書、1983.08.25
「シンボリックマネジャー」T.ディール・A.ケネディー著、新潮社、1983.05.20
「知識経営のすすめ」野中郁次郎・紺野登著、ちくま新書、1999.12.20
☆関連図書(既読)
「南京への道」本多勝一著、朝日新聞社、1987.01.20
「南京事件」笠原十九司著、岩波新書、1997.11.20
「七三一部隊」常石敬一著、講談社現代新書、1995.07.20
「長崎の鐘」永井隆著、中央出版社、1976.06.20
「五十年目の日章旗」中野孝次著、文春文庫、1999.08.10
「極光のかげに」高杉一郎著、岩波文庫、1991.05.16
「収容所から来た遺書」辺見じゅん著、文春文庫、1992.06.10
「戦場から届いた遺書」辺見じゅん著、NHK人間講座、2002.12.01
「パール判事の日本無罪論」田中正明著、小学館文庫、2001.11.01
内容紹介(amazon)
敗戦の原因は何か? 今次の日本軍の戦略、組織面の研究に新しい光をあて、日本の企業組織に貴重な示唆を与える一冊。
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日本軍はなぜ戦争に負けたか、を組織論的な面から再考している。読んでいると、これはうちの会社でも当てはまるなぁ、といったことが多く出てきて、非常に面白く、また、ためになる。以下、読んでいて自分が特に気になった点を備忘として列挙する。
【日本軍が負けた要因】
情報収集・管理の不足・不備/
目的のあいまいさ/
第一線の技量による戦果と上層の意思決定の乖離/
日本的「人情論」、組織内融和の優先/
上級統帥と実働部隊の不和、独断/
作戦の短期志向/
戦略「指針」が硬直化し、「聖典」となり、状況に応じた戦略の進化を妨げた/
兵器の生産を「標準化」せず、少種多量生産を行い、量産ができなかった/
誰にでも操作できる兵器ではなく、名人芸を要求する兵器を作った/
人員を活性化させるシステムの欠如
【敗戦から学ぶこと】
行動を起こすのは組織ではなく、個人間の相互作用によって組織を行動させる/
組織は環境の変化に合わせて自らの戦略や組織を主体的に変革しなければならない/
組織の文化はリーダーの成功体験の蓄積によって成る/
学習は組織がするのではなく、個人個人の学習が共有・評価・統合されることで組織として学習する/
新しい知識を得るには、既存の学習を棄却する必要がある
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第2次世界大戦で日本は何故負けたのか?当時の日本軍の組織体系を探究しながら、その失敗の本質に迫る。ここでつまびらかにされる組織論は、現代の経営者が考えなければならない課題を多く示した古典的名著。
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日本人が作り上げた最も巨大な近代的組織、旧日本軍。彼らが大東亜戦争で犯した六つの失敗の例から、日本的な組織の持つ特徴、欠陥の本質を(主に米軍と比較して)研究している。
刊行されたのは20年以上も前だが、日本人の失敗の本質は、戦前も、20年前も、そして今も変化していない(進歩していない)ことがわかる。
「成長期にはうまくいっていたやりかたは、衰退期には通用しなくなる」という点は、塩野七生も「ローマ人の物語」のなかであげていて、個人的に印象深かった。
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手元に置いて、何度も読みなおす価値のある本です。
読み直す度にいろいろ気付かせてくれます。
残念ながらこの本で紹介されている失敗のフレームワークは、今の組織や社会の身近なところから国レベルまでいたるところで見つけることができます。
戦いの研究という表面の層、失敗に至った組織論という二番目の層、失敗しないためにはどうするかという三番目の層、、、、と深く読める本です。また、深く読まないとこの本の価値は見いだせません。
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大東亜戦争における日本軍の失敗を、今日の組織一般にとっての教訓として生かし、戦史上の失敗の現代的意義を探ろうとする組織論・意思決定論の名著。
戦争本というよりは、経営・ビジネス本といえる内容。
前半では、ノモンハン・ミッドウェー・ガダルカナル・インパール・レイテ・沖縄戦を個別に分析し、
後半では、その6つに共通する失敗の要因を組織論的アプローチで考察する。
現代の企業も旧日本軍も、失敗する組織は驚くほどに共通している。
【戦略上の失敗要因分析】
・あいまいな戦略目的
・短期決戦の戦略志向(長期的視野の欠如)
・主観的で帰納的な戦略策定(空気の支配)
・狭くて進化のない戦略オプション(統合戦略の欠如)
・アンバランスな戦闘技術体系(一点豪華主義)
【組織上の失敗要因分析】
・人的ネットワーク偏重の組織構造(集団主義。根回しと腹のすり合わせによる意思決定)
・属人的な組織の統合(システムによる統合の欠如)
・学習を軽視した組織(情報共有システムの欠如)
・結果ではなくプロセスや動機を重視した評価(個人責任の不明確化)