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ダンサー・イン・ザ・ダーク みんなのレビュー
- ラース・フォン・トリアー (著), 石田 泰子 (監修), 杉山 緑 (訳)
- 税込価格:1,760円(16pt)
- 出版社:アーティストハウス
- 発行年月:2000.12
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紙の本
本というより、映画のことなんだけど
2001/04/30 00:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:eno - この投稿者のレビュー一覧を見る
うーん、どうしてそんなにみんな難しく考えちゃうかなあ? この映画は、「音が音楽に変化する瞬間」を描いた映画で、その意味でまちがいなく「ミュージカル」。
ふらふら揺れる手持ちカメラも、ミュージカルシーンの100台のデジタルビデオカメラも、「悲劇的」って言われるストーリーも、ぜーんぶ「音が音楽に変化する瞬間」を明らかにするための道具立てにすぎない。と思うっす。
たぶんこの上か下かに書いてあるブックナビゲーターさんの書評も、映画パンフに書いてある阿部和重さんの解説も、深読みしすぎの的外れだと思うなあ。
「画」じゃなくて「音」に注意して観ていれば、こんなに無駄のない、明解な映画もないっすよ。そもそも、最初に画面が真っ暗で序曲が流れるのって、「この映画では音が重要ですから注意してください」ってものすごくわかりやすく教えてくれてるじゃない?
もう、みんなどうして難しく語りたがるかなあ。やだやだ。
紙の本
個性豊かな北欧シンガーの中でも
2021/03/10 23:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
スティーナ・ノルデンスタムでもハンネ・ヒュッケルバーグでもなく、ビョークだからこそ成立した世界観なのかもしれません。息苦しい物語の中で、セルマが歌い出す瞬間に救われます。
紙の本
書評前編:夢を見る人間は逞しい?
2001/02/28 18:15
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:越川芳明 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ことしの正月に、デンマーク人のラース・フォン・トリアー監督の『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を二度見た。感動のあまりというより、あまりに情けない理由からそうなったのである。
一度目は、めずらしく家族で映画館にいったのだが、一番前の席しか空いていなかった。もっとも、ぼくは結構一番前の席が好きで、他の席が空いていても一番前に行くのだが、それはともかく、映画がはじまって一時間もしないうちに気分がわるくなってしまった。いったん喫煙コーナーに出て休んでみたが、気分はすぐれずそのままあえなく帰途についたのだった。
この監督の多用するハンドカメラによるせわしない映像に酔ってしまったのか、それとも小さな映画館で一番前の席にだけ強烈に暖かい風がくる空調構造がわるかったのか、ともかく最初の一時間、映画のさわりの部分だけを見て、正直いって、こんな退屈な映画がほかにあるか、といった印象だった。
その日は、興奮して帰宅した家族からストーリーのあらましを聞き、涙でハンカチをびしょぬれにしたという娘から感動の伝染病を移された。その後、映画のパンフレット(阿部和重や中条省平の解説)も熟読してから、こんどは大きい映画館に行き、真ん中あたりにすわって見た。ストーリーを知った上で最後まで飽きずに見られたのだから、映画としては上出来の部類なのだろう。まだ見ていない人に秘密めかして教えないように警告している最後の処刑のシーンだって、『冷血』という前例があるではないか。それが分かったからといって、感動が薄まるわけではない。
この映画を作った監督の対話集『ラース・フォン・トリアー』(水声社)を読む機会があった。なかでも、監督の出生にまつわるエピソードは、あまりにドラマティックでまるで小説のネタになりそうなものだった。あまりにできすぎていてウソっぽく感じられるほどだった。
監督によれば、母が臨終のときに、あなたの本当の父は別のところにいる、と告白したそうだ。無神論者で自由主義者の母は、息子を芸術家にするという見果てぬ夢を実現するするために、やさしく面倒見のいい役人の夫ではなく、芸術家の遺伝子を有していると彼女が狙いを定めた一族のある男(これも役人だったらしい)に狙いをつけて、計画を実行に移したらしい。この話を聞いてから、監督はアイデンティティの危機に陥り、カンセリングを受けたという。 (bk1ブックナビゲーター:越川芳明/翻訳家 2001.03.01)
〜 書評後編へ続く 〜
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