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ベンチャー企業の「仕事」 脱日本的雇用の理想と現実 みんなのレビュー

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みんなのレビュー10件

みんなの評価3.4

評価内訳

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10 件中 1 件~ 10 件を表示

紙の本

新しい組織観の受胎を告げる書

2001/02/11 00:34

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る


 著者の持ち味である実証性、イデオロギー化した言説や慣行への批判精神、そして性急に理念を語らず常に現実との接点を意識しながら理論化を試みる着実な方法論が見事に融合している。ベンチャー企業の光(新しいワークスタイルや組織の可能性)と影(ベンチャー企業の組織やマネジメントに内在する矛盾)を精緻に描き切り、その将来を期待をこめて展望した本書は、著者のこれまでの実証的・理論的研究の集大成にして今後の新たな展開を期待させる、その意味でも画期的な著書だと思う。

 実証性について一例をあげるならば、一般に成果主義の弊害とされる事柄、たとえば利益を絶対視した反倫理的行為などは成果主義自体に内在するものではなく、活動と評価の場が外部に開かれていない組織の病理現象であるとする指摘は鋭い。また、成果主義と能力主義の違いを分析した上で、大多数のベンチャー企業が掲げる成果主義が「日本型能力主義」(労働力の流動性が低い閉ざされた組織内での、年功という大きな枠の中での処遇制度)と大同小異であることを示す第4章、さらに「相対的に低い報酬で大きなモチベーションを引き出そうとする」日本企業特有のマネジメントが多くのベンチャー企業においても見られる実態を摘出する第5章の叙述は、本書に深い説得力を与えている。

 理論面では、インフォーマルでウェットな人間関係に根ざした「有機的組織」への批判(組織尊重から個人尊重へ)をベースとして、組織と個人をめぐる「間接的統合」の理論や「仕事人[しごとじん]」モデル、さらには「インフラ型組織」(伝統的な日本企業のようにメンバーを抱えるのではなく、メンバーに仕事の場を、すなわち設備・機器、情報、賃金、人的支援、ブランド、さらには孤独感への対応までの一種のインフラストラクチャーを提供することに重点をおいた組織)の提示など、著者がこれまで主として現状分析のために用いてきた、あるいは現状分析のなかで鍛え上げてきた概念が、本書第1章から第3章で試みられるモデル構築のための工具として、いわば総動員されているのである。

 本書がもつ今後の展開への可能性は、たとえば次の一文に濃縮されている。私はそこに、「インフラ型組織」の発展形となる新しい組織観の方向が示されていると思う。

《近代組織論の祖、C.I.バーナードは、組織を「二人以上の人々の意識的に調整された活動や諸力の体系」と定義している。彼によれば、そもそも組織にとって重要なのは、コミュニケーション、貢献意欲、および共通目的であり、物的な条件や人間そのものではないのである。/一方、個々のメンバーの立場からすれば、組織は「特殊利益を獲得するための手段」と定義することができるのではなかろうか。組織化することによって、あるいは組織にメンバーとして加わることによってはじめて、…さまざまな利益を獲得できるのである。したがって、個人主義で組織が形成される場合には、組織化することに伴う諸々の不利益が、「特殊利益の獲得」というメリットを上回らないことが条件になる。/このように割り切って考えるならば、仕事のみで結びつくネットワーク組織やバーチャルカンパニーの出現は、組織本来の姿への回帰現象といえるかもしれない。》(110-111頁)

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紙の本

「ベンチャーの幻想」に迫る

2001/01/28 11:37

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:dakara - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ベンチャー企業と、そこで働く人間たちに焦点を当てた本です。
 普通のベンチャー企業論の本にあるような、ベンチャー・キャピタル、株式公開、社会的インフラなどのはなしはほとんど出てきません。
 筆者の専攻が「組織論」ということで、あくまでベンチャー企業における「人間」や「人事制度」、「働きがい」などを自らの調査や文献などを活用して、大変わかりやすく論じています。
 特におもしろいのは、第5章の「日本型ベンチャーが抱える矛盾」です。ベンチャー企業というと、硬直化した日本大企業のような人事制度とは似ても似つかぬ斬新な制度をつくっているかと思いがちです。しかし、筆者によれば、日本のベンチャー企業の多くが個人優先ではなく、日本の大企業のような組織優先の論理で組織が運営されていることが明らかにされています。
 ベンチャー企業の以外な一面を見ることのできる、大変興味深い1冊です。

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紙の本

〈特殊から一般へ〉の限界を見極める

2001/07/19 13:51

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:小田中直樹 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 最近ベンチャー企業に熱い視線が浴びせられてるけど、そこで働く人の実態はあまり知られてない。このことに気付いた経営学者の太田さんが「働く人々の視線に立ってベンチャー企業の可能性を追求すると同時に、その実像を正しくとらえておく」(まえがき)ために書いたこの本は、「ベンチャー企業の光と影」(まえがき)を明らかにした、優れたベンチャー企業論だ。
 太田さんによると、ベンチャー企業の一般的なイメージは、多様な働き方を認めながら成果で待遇を決める「仕事を軸にしたキャリア形成」(六〇ページ)型のマネジメント、働く条件の整備と成果の評価を中心とする「インフラ型」(八二ページ)の組織、自己実現と独立開業を目指しながら好きな仕事をする創造的でプロフェッショナルな「仕事人」(五二ページ)、といったところだろう。でも、このイメージが当てはまるのは一部の先進的な会社だけで、多くのベンチャー企業は従来の大企業とかわらない(日本独特の〈能力主義〉、集団作業、和の重視、兼業の規制)。さらに、〈ローリスク・ローリターン〉で、しかも個人の自律性が発揮できないことも多い。多分それは、多くの起業家が元管理職の中高年層やマイペース型の技術者だからだ。そうじゃなくて、〈個〉の視点に立ち、「草の根的な個人主義」(一八三ページ)を再生させ、やる気にさせる待遇システムを作り上げることが必要だ、そう太田さんは提言してる。
 この本のメリットは次の二つだ。第一、たしかに、成功した会社の、しかも起業した経営者だけを見てると、ベンチャー企業に〈日本経済の救世主〉を期待したくなる。でも、これって〈特殊〉なケースを〈一般〉化しすぎてる。世の中はそれほど単純じゃないから、ブームに踊らされず、実態をよく観察しなきゃいけない。この本は、そんな大切なことを教えてくれる。第二、太田さんは〈企業は組織だけど、一番大切なのはそこで働く人だ〉ってスタンスをとってる。そして、〈働く人〉の視線で見ると、〈経営者や会社〉の視線ではみえないものがみえてくる。この本は、〈見方をかえると、みえるものもかわる〉ってことも教えてくれる。
 でも、この本には不満も残った。三つ挙げておこう。第一、太田さんは「企業と個人双方の自由な選択と交換を原則にすえた協働」(一七六ページ)が望ましいっていうけど、個人と会社、従業員と経営者って、そんなに対等な関係なんだろうか。もちろん太田さんもこのことに気付いてるけど(一五四ページ)、僕は、ちょっと権力関係に楽観的すぎるって印象を持った。第二、太田さんは「ほんとうの意味で主体的に」(六ページ)働かないと労働生産性は上がらないっていうけど、その説明がない(むしろ〈大切なのは労働生産性じゃなくて自由な働き方だ〉っていい切るべきだったと僕は思う)。第三、会社の組織が「インフラ型」になると、「市場による保障」(二三ページ)やセーフティネットの整備が必要になるだろうけど、その説明がない。これについては、太田さんも「いずれ機会を改めて詳しく論じたい」(一九〇ページ)って書いてるので、楽しみに待とう。
 よく見ると、僕の不満は〈ベンチャー企業の経験は企業一般に当てはまるか〉っていう共通の疑問から生まれてる。太田さんは「ベンチャー企業以外にも通じる」(一八六ページ)って考えてるようだけど、この本を読んだだけでも、ベンチャー企業には、それに適した業種や人材や企業規模があることがわかる。ベンチャー企業は〈特殊〉な企業なのだ。ベンチャー企業イコール企業〈一般〉って考えて、企業〈一般〉論としてこの本に飛びつくのはちょっと待とう。〈特殊〉なケースを〈一般〉化するときは慎重にしようっていうのが、この本の出発点だったはずだし。[小田中直樹]

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紙の本

個人の能力が最大限に発揮できる組織や仕事こそ,21世紀型ベンチャー企業の役割であると提言する

2001/03/18 22:16

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:野村 透 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ベンチャー企業は日本経済の停滞を打ち破る旗頭として大きな期待が寄せられている。そして,証券市場や公的支援など官民を上げての施策整備が打ち出され,ベンチャ−企業からの新成功物語も伝えられている。しかしながら,ベンチャーの成功者はごく一部の起業家にすぎず,圧倒的多数を占める起業家以外の従業員の実態はあまり知られていない。
 著者は,ベンチャー企業で働く人々の視点に立ってベンチャー企業の全体像を調査,検証し,そこに内在する「光と影」を鋭くえぐり出すことを試みている。
 序章から第2章にかけ,従来の日本の大企業では雇用者の満足度や帰属意識は必ずしも高くなく,欧米にくらべて生産性が低いと指摘する。そして,これを打開するためには,自らの創意工夫によって新しい製品・サービスを生み出すワークスタイルが必要であるという。とくに,生活が豊かになり,大多数の者が「生きるための労働」から解放された今日,働く目的は「自己実現」にあり,それがベンチャー企業に向かわせる原動力となっていると説明している。また,自己実現のための労働は仕事が趣味化し,働き手は「仕事人」となる。組織も階層の少ないフラット型やバーチャルなネットワーク型へと広がっていく(第3章)。
 ところが,歴史の浅い日本のベンチャ−企業の組織や雇用,管理は日本的経営の重要な側面である柔軟な組織,「和」の重視,集団主義などの特徴を備えている企業が多い(第4章)。このような旧来の保守性が,折角のベンチャーの従業員に私生活へのしわ寄せ,集団目標のストレス,やりがいの偏重,などの「影」の部分を内在させる。この点に関して著者は,ベンチャー企業は大企業にくらべて個人の役割が大きく,主体的な活動が期待される。だから,個人の正常な欲求や利己心を企業の利益に結び付けていく新しい「草の根的個人主義」の構築が急務であると説いている。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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2007/01/23 08:47

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2011/03/29 06:45

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2011/08/14 00:41

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2017/01/04 18:22

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