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紙の本
少女的な読後感
2002/07/16 06:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:boogie - この投稿者のレビュー一覧を見る
少年の時間と違って、「少女の空間」と銘打った割には少女が主人公のものは少なかったけど、各作品のテーマはまさに「少女」で、アンソロジーとして様々な面を見せてくれました。個人的に「独裁者の掟」の救いのない結末、「死人魚」の息苦しい空気、「彼女の海岸線」の淡い余韻が一冊の中に同居しているのは、「少女」の多面的なことを上手く表していると感じました。手軽に楽しめる本です。
紙の本
手軽に楽しめる選集
2001/03/28 23:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:すの - この投稿者のレビュー一覧を見る
『少年の時間』を読んでから、この本を楽しみにしていました。特に知っているとか、ご贔屓な作家さんは居ませんでしたが大変楽しめました。
・独裁者の掟
私としてはこの本の中で一番におすすめできる作品時間軸が混ざってかかれているが、最近はそういった作品は
珍しくなく、それぞれの正義のあり方などを考えさせられる作品。ラストは救われないなぁ、と切なくなった。
現実には、忠実なのだろうけど。逆に、そういう結果でないとカリヤは救われないのかもしれない。
・死人魚
これも好きな作品。変に横文字を使わずに不思議で独自の世界を作り出している。地獄も救いも人の心にある。
・セラフィーナ
リアルな設定に作家自身のことを書いているのかと思わず引き込まれて読んでいくうちに物語の世界に引き込まれていくある種の妄想を孕んだ結末も素直に読めた。自身のことを書いただけではこの結末は違和感を感じていただろう。上手い具合に世界を変えている。
・彼女の海岸線
一人称で非日常をいきなり書き出したリアリティそれは「おたく」と名付けられた人々が描く世界かもしれない。が、そこだけを書かずにきちんと「世界」を書いているところが筆者の強さと思った。下手すると、気持ち悪く感じられるような内容も、軽い感動と上手いオチをつけて読ませてくれる。
・アンドロイド殺し
途中でオチが読めたと思ったら2転3転するのだがそれが好みに合うかどうかは人それぞれかと思う。自分は、この作品が描く「未来の世界」が嘘っぽく感じてしまったために、何となく「くどさ」が読後感に強く残った。
・朋恵の夢想時間
時間は一方通行であること。そして、それ故に自分以外には結構どうでも良いことだったりもすることで自分の中の時間を歪めてしまったと思いなおしたいと願うこと。自分にもいくつか苦い思い出があり、もしも意識だけ過去に戻るようなことがあったら、抵抗を試みるよりもすべてを諦めてしまいそうだ。自分の心に残る作品は時間がポイントなのかもしれないと気づかせていただいた。意外とシンプルな作りのクロノス・コンディショナーが現実的で好印象。
・巻末対談
前回(『少年の時間』)とうって変わって仲良さそうな巻末対談(笑)山田氏が、やたらと「EVA」「EVA」言ってた印象有り。
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