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ファストフードが世界を食いつくす みんなのレビュー
- エリック・シュローサー (著), 楡井 浩一 (訳)
- 税込価格:1,760円(16pt)
- 出版社:草思社
- 発行年月:2001.8
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紙の本
庶民を悩ます必読の書
2001/09/03 13:10
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みゆの父 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本を読んで、僕は困った。何しろうちの娘はまだ二歳前なのに、ファストフードが嫌いじゃないのだ。週に一度の音楽教室(英才教育!じゃなくて、単に音楽に合わせて体を動かすのが好きなだけなんだけど)の帰りには、必ずかみさんとファストフード店に寄って、にこにこしながらフライドポテトをほおばるらしい。せっかく自宅や保育所では低農薬の材料を使った食事を食べてるのに、何なんだ、この有り様は。しかも、この本によると、米マクドナルド社をはじめとするファストフード業界は色々な問題を抱えてて、購買拒否運動したっていい位なのだそうじゃないか。
この本は、米マクドナルド社を中心にして、ファストフード企業の歴史と現状を追求したルポルタージュだ。著者でジャーナリストのシュローサーさんは、牧場から牛肉加工工場まで足で問題を追及してて、その記者魂には脱帽。ついでにいえば、この本に出てくるファストフード企業のやりかたにも脱帽。たとえば分業によって誰でもできるようにするテーラーシステムを調理に導入して、従業員の給料を下げたこと。規模を大きくすることによって畜産業などの原料供給業界を支配したこと。子供さえ味方にすれば、子供に抵抗できない大人はあとからついてくるってマーケティング戦略を立てて、学校給食を請け負ったり、プレイランドを併設したこと。こういった努力って、見ようによってプラスにもマイナスにも評価できるから、一概に否定はできないだろう。
ただし、何か問題が起こったときの米マクドナルド社の対応には幻滅。一方では自由競争を叫びながら、他方では議員を抱き込んで自分に都合の良い補助金をせしめること。食中毒が起こっても、どうにかもみ消そうとすること。これって情報公開と自己責任の原則に逆らってるし、こんなことを続けてるといずれしっぺ返しにあうような気がする。
ちなみに、日本マクドナルド社については、シュローサーさんは「人の体は食べ物しだいという考えを、何年も前から熱心に宣伝しているのが、三〇年前に日本にマクドナルドを進出させた藤田田というエキセントリックな億万長者だ。藤田はかつて日本人たちに約束した。マクドナルドのハンバーガーとポテトを一〇〇〇年間食べつづければ、日本人も背が伸び、色が白くなって、髪もブロンドになるだろう」(三二二ページ)ってことだけ触れてる。でも、これって本当の話なんだろうか。本当だったら、今の身長で十分だし、皮膚癌が怖いから色白にならなくてもいいし、いずれ禿げる家系なので今は緑なす黒髪で満足してるから、僕にとってはマクドナルドに行かないほうが身のためだ。
そうすると、娘にはフライドポテト以外の好物を探してやらなきゃいけない。いまのところ第一候補はアイスクリームだ。でも、これってカロリーが高いって問題があるし、ハンバーガー六五円っていうのはやっぱり安いし、困った。でもでも、ちゃんとしたものを食べさせろってファストフード業界に要求しないと、自分たちの健康も損するし、シュローサーさんがいうようにファストフード業界の中や周りで苦しむ人たちのためにもならないんだろうし、困った困った。こういう本を読むと、庶民は悩むのだ。悩まないよりはいいけど。
紙の本
ファーストフードがもたらす“闇”に光を照らした労作
2002/06/22 20:27
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投稿者:片桐真琴 - この投稿者のレビュー一覧を見る
マクドナルドをはじめとしたファーストフード店は日本でも当たり前の存在となって久しい。どの店でも、きれいにパッケージされた同じ味の食べ物が出てくる。そして、華やかなコマーシャルともあいまって、一般に非常によいイメージを持たれている。ところが、一歩裏に回ってみると…。
本書は、ファーストフード発祥の地アメリカのファーストフード事情をルポしたものである。表面的な現象だけでなく、そのたどってきた歴史を踏まえながら、決して表からは見えない闇の部分を徹底的に掘り下げた労作である。安いハンバーガーやフライドポテトの影には、買いたたかれ、廃業を余儀なくされた生産者や、労働法に違反して働かされている従業員がいる。そして、O157やサルモネラ菌に冒された肉を出荷することさえ何とも思わない経営者。そんな彼らが規制緩和の名の下に食品の安全管理を骨抜きにすべく保守派政治家に働きかけ、献金ほしさに政治家がそれに応えようとする。
まったく驚愕すべき現実がここには描かれている。舞台は日本ではない。けれども、アメリカの後を追い続けている日本で同じことが起こらない保障はない。雪印食品の牛肉偽装事件や無認可香料使用事件などが明るみに出るにつけ、なんとも心許ない。
ファーストフード先進国で起こっていることを知ることは決して無駄ではない。それを他山の石とし、日本で同じことを起こさないために、消費者である我々はぜひ知っておくべきである。
紙の本
食生活についてふり返させられます
2002/03/04 17:58
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投稿者:もえ - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み終わってちょっと恐ろしくなった。と言うのは、マクドナルドを子供達がよく食べているからです。
マクドナルドは大人の僕が食べてもおいしい。でも、店内で作っているのは少年少女達。彼らにどうしてそんなにおいしいものが作れるのか? 答えは簡単。人工香料だ。舌で感じられるのは甘味や苦味等6種類。しかし、嗅覚は数千種類をもかぎ分けるという。その嗅覚にどこかの会社が作った人工香料がマクドナルドなどのファーストフードの味を作り出しているという。しかも、マックを食べる幼い子供達やマックの店で働く少年少女達を食い物にしているという指摘は鋭く、恐ろしい。