紙の本
賛否両論
2024/04/01 06:13
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投稿者:大賀蓮 - この投稿者のレビュー一覧を見る
岩波ブックレットシリーズを知る切掛となった本で物理学や数学と異なり人間を取り巻く課題を扱う学問の難しさを改めて感じさせてくれる一冊だ。先の大戦の戦後処理に関するもので私には解決済みとされている韓国、台湾に対する戦争補償が実はそうでは無いという内容。これを読むと聞かされていない事実があることに驚かされ、偏った情報だけで戦後処理を捉えていたことを反省する。
紙の本
歴史修正主義に反論する
2023/12/20 11:13
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
発行は古いが、今にも、いや今だからこそ通じる一冊。
日本の植民地支配について、ちまたに渦巻く懐疑論について、Q&Aで答えているので、非常に読みやすい。過去のあやまちをなかったことにしたい人たちの歴史修正主義に抗するためにも、役立ちそうなブックレットだ。
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『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか? 』(岩波ブックレット 1080)から来ました(読みました)。肯定・賛美論に対する問いが20問、簡潔ながらわかりやすい内容となっています。
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とんでもないエセ学者の妄言に毅然と立ち向かえるまともな学者たちがいることに安心しながら読んだ。
台湾は韓国のようなアクションをしないからよく知らなかったが大きな被害を受けたことがわかった。
加害国の国民のひとりとして、歴史を歪める輩は許せないと思うし、戦争準備を推進する勢力に対してしっかり拳を上げたいと思う。
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先日読んだ『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか? 』のクマさんレビューにおいて、日本人としては太平洋戦争中の植民地支配についても考えるべきとの「気付き」を頂きました
そしてそんな中でニャンコ先生に紹介頂いたのが本書になります
正鵠を射るとはこのことで、こういう良書がすっと出てくるあたりさすがはゴールドと言わざる得ません
ゴールドどころかゴールドDXαです(風邪薬か!)
そもそもでいうと、植民地支配の肯定・賛美論の存在そのものがう〜んって側の人なんですね
他国に侵略して植民地にしてる時点でほめられることってないと思うんよな
例えばそれが「めちゃくちゃ虐げられてる人たちを救うため」であったとしてもね
で、中身です
本書は『日本の植民地支配肯定・賛美論』の根拠となっている20の事柄について反証するというかたちをとっています
「はじめに」にあるように、本書が発刊された当時(2001年)、巷にあふれた「植民地支配肯定・賛美論」に対し、「表面的な事実だけでものごとを評価したり、事実を一面的・自国中心主義的に解釈することで成り立っている場合が多く」、「歴史の多面的な見方を示すことによって」「誤りを指摘する」内容になっています
まぁこの「反証」は十分に納得できるもので、一部過激で熱狂的な「肯定・賛美論」に対して努めて冷静に検証しているところも非常に好感がもてるのだが、一方で全面的にこちらに引っ張られてしまうのもそれはそれで危険な気もするし、編者の方々もそれは望んでいないような気がします
大切なことはなんなのか?
うーん、よく分からん( ̄^ ̄)(なぜ威張る)
よく分からんけど、やっぱり戦争はなくなってほしいな〜ってすごく思う
なのでやっぱり後になって「戦争行為」を肯定する論には賛同できないな〜って思うんよな〜
そしてあらためてニャンコ先生に感謝です
ねつのどは〜なに猫が効く♪(だから風邪薬違うわ!)
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前々から読みたいと思っていて指をくわえて眺めていた『検証ナチスは「いいこと」もしたのか』のレビューを、お世話になっているkumaさんが書かれていたので拝見した際に、日本についても考えるべきではと興味深いお話をkumaさんとひまわりめろんさんに聞かせて頂きました。そこで猫丸さんが教えて下さったのがこちらです。
新書かと思っていたら60ページ程のブックレットで、図書館てなんでもあるんだなと感心すると同時に猫丸さんの知識量が凄いなと心の中でお礼を述べつつ拝読する事に。
日本も学生のうちからディベートを授業で取り入れれば、違う意見もあると受け入れた上で、でも自分はこうだ、と言えるようになるのかも知れませんが、本書は偏った考えの方が読んだらちょっと危険な気もしました。
きちんと最初に「植民地支配の肯定、賛美について」と反証もしていくが冷静に読んでくれと書かれているので、大丈夫だとは思うのですが。
普段は感情移入型読者の私もなるべく心を無にして完全に神の視点で人類のやった事を眺めてやろうかい、位のスタンスで挑みました。
Q1 朝鮮の伝統社会は停滞していたのか
Q5 韓国「併合」は「合法」だったのか?
等、20の問に対する検証という形で綴られています。要所要所で図も表記してくれているので非常に読みやすいです。何より文字が大きくて目の悪い私には有難い限り(視力が悪い上に慢性的な眼精疲労)
度々例に挙げられる植民地支配賛美派の代表例、小林よしのりさんの著書ですが私も拝読しておりまして、あちらはあちらで偏りすぎてて危険だなと思っておりましたが、本当にこの手の問題は難しい!!
歴史研究家の方々が繰り返し検証し直して下さった文献を読む事しか出来ることがないので、戦争について知りたいなら多くの文献を読んで自分なりに解釈をしなければならないんですよね。
本書は具体的な数字や体験談や文献に基づき、賛美されているこの件については、実際にはこういう数字が出ていてこう言っていた台湾人もいるが、どう思うかね?といった感じで検証しつつ読者に問いかけてきます。
例えば、植民地支配の朝鮮における病院の設立数や朝鮮の方々の病院の利用率が、昔と違って新しい数字が分かってきたと提示されます。なんてこった、全然病院行けてないやないか!!
となるわけで…。
1番印象に残った例はQ17の朝鮮人・台湾人志願兵は「自発的」だったのか?です。
植民地で行われた特別志願兵の募集が「高倍率」になったとの件から、全てが強制ではなかったとされるのが肯定派意見です。
もうこれに関しては当時の現場を見ていないと何とも言えないのですが、その「募集方式」に対して本書は切り込みます。
勿論、喜んで出兵します!となった方も少ないだろうけれどいらしたとは思うんですが、私だったら確かに「誰がおめぇらの為に命落とすか!!ぺっ!!」となりそう…。
これを読んで、第一次大戦でドイツの為に命をかけて軍服まで大事に置いていたユダヤ人を手のひら返しで強制収容所に送ったナチスを思い出し、なんとも切な���気持ちに。
そしてまた『検証 ナチスは~』が読みたくなるループ。
個人的には、洗脳されていたと言われていても国の為に命を懸けて美しい日本を守って下さった先人の方々を尊敬しています。
なので昨今の思いやりのない事件を目にすると恥ずかしい気持ちになってしまい、せめて自分は小さな事でも良いから先人の方々が守って良かったと思って下さる日本人でありたいと、柄にもなく思ったりするのですが(出来ていない事が多いですけれど)、目を逸らさず本書のような文献を目にする事の重要性を感じました。
猫丸さん、とても良い本をご紹介下さりありがとうございます!
最後の刊行の言葉に「読者の皆様が、市民として、学生として、またグループで、この小冊子を活用されるように、願ってやみません。」と書かれていたのですが、これは新書で『検証 ナチスは~』とセットで販売しても良かったのじゃないのか、と思うほど良書でした。
たまに真面目な事を書くと脳を使いすぎて血糖値が足りなくなるので、少しお高いりんご飴を買って食べようと思います。もぐもぐしながら本を読みましょう。
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「日本の植民地支配 肯定・賛美論を検証する」と題して、20もの設問に対して専門家が2頁から4頁のみで答えてゆくパンフレットである。読み始めたときは、いくら何でも頁数が少なすぎやしまいか、と危ぶんだのだが、半分以上はグゥの音も出ない「事実」が記されていて説得力があった。
この出版された目的は、当時(2000年頃)「新しい歴史教科書をつくる会」や小林よしのり「台湾論」などの植民地支配・賛美の影響が大きかったため、それに学問的に反論しておく必要があったためである。設問が多くなったのはそのためだ。これら出版や住民の運動の成果か、作る会分裂などもあって、流れを汲む育鵬社の歴史教科書占有率は2015年度は6・3%、安倍政治の終わった2020年は1・1%までになっている。ただ、SNSの広がりを見る限りは、無視できるような状況ではないとわたしは思う。
以下、個別の感想。
Q5 韓国併合は合法だったのか?
結論的には、日本の朝鮮植民地支配が「不法」であったかどうかの見解は分かれるものの、それが「不当」なものであったことについて、論者の見解は一致している。とのこと。国際法で「合法」になるアクロバットが可能になる、というのは私には驚きであったが、現在の日本政府がその「蜘蛛の糸」にすがりついているのは、あまりにもみっともない。
「閔妃殺害」「第2次農民戦争での日本軍の虐殺」の2点のみでも、合併の不当性は明らかであると、私は、思う。
Q6 日本は植民地で政治的・社会的平等を実現しようとしたのか?
「内鮮一体」が政府のスローガンであった。しかし、スローガンと内実は全然違うということは、私たちか日々実感することである。数字的実態でも論証。差別を支える法的根拠に戸籍制度があったというのは発見だった。
Q7 近代的な教育の普及は、日本の植民地支配の「功績」なのか?
「日本政府は良いこともした」と言われる典型的な根拠の1つ。しかしそれは「飛躍」があるという。日本は「普及に対して抑制的」だったし、「近代的」なものでもなかったのである。初等教育就学率は台湾33%、朝鮮16%の数字は驚き。金時鐘「朝鮮と日本に生きる」(岩波新書)を読むと、少年が教育によっていかに皇民化してゆくか記されていた。目的も実態も決して「功績」とは言えない。
Q12 植民化の工業化・インフラ整備は民衆生活を向上させたのか?
これも、日本の「功績」に数え上げられる典型。確かに巨額の投資が行われ、経済成長率も高かった。しかし目的は日本の利益の増進にあったし、民衆への利益の分配もいびつにならざるを得なかった。個人的には、このとき育てた「親日派」がいかに戦後の朝鮮の政治を歪めたか、日本人はもっと知るべきだ。と私は思う。
Q15 「慰安婦」問題で日本国家に責任はないのか?
後半は「慰安婦問題」や「強制労働」について、ページ数を取っているが、この部分が20年後の現在1番SNSを騒がしていて、もっと丁寧な論証が必要なところだと思った。特に、この20年間で話題になった、従軍慰安婦像、強制労働裁判、政府見解などについて、もう一度きちんと答える事ができる入門書が必要だと思う。
このようなブックレットで、もう少しページ数を増やして、設問は半減させて、わかりやすく、もう一度このテーマで入門書がほしい。